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思い出の味  作者: 赤岩実
1/7

いち

 中学を卒業して約15年が経った今日、実家に中学の同窓会の案内状が届いたと母親から電話が来た。


 俺が産まれ育った町は当時、小学校は全学年合わせてもわずか5クラスしかなくて、1年生と2年生は同じ教室で勉強し、上級生が下級生の面倒を見るのは授業の一部のようなもので、小学校を卒業すると今度はそのまま同じ中学校へ進学するのだから、当然のように生徒全員が顔見知りで、もちろんそれぞれの家がどこで、どんな家族構成なのかもわかっている、そんな地域だった。

 都会のように進学校や有名私立中学を受験して進学する者はいなかったし、中学を卒業すると隣町にある普通高校に進学するか、県の工業地帯にある工場に就職するか、実家の農家を継ぐために農業高校や、手に職を付けるために実業高校と呼ばれる学校に進学する者がほとんどだった。

 俺は決して良い子ではなかった、頭が良いわけではなかったし、何かに秀でた才能を持っているわけでもなかったが、俗にいう不良という言葉が当てはまるわけでもない、それでも悪戯程度の悪いことはいくらでもやった。そんな悪戯やんちゃ坊主はクラスでは浮いた存在だったかもしれないが、それでも人数の少ない教室で、家族構成まで知られてしまっているような狭い世界では、悪戯もわずかな青春時代の何かへの抵抗、可愛いものだったのかもしれない。


 案内状に書かれている幹事の数名の名前の中に懐かしい名前を見つけた瞬間、甘酸っぱい思い出が蘇ってきた。

 すでに結婚していて苗字は変わっているが、今ではキラキラネームなどと呼ばれるような当時では珍しい名前を見たとき中学時代のあの子の笑顔が浮かんだ。

 当時、彼女の身長は自分の肩ぐらいまでしかなくて華奢な体つきだったが、足がとても速くて陸上の短距離種目では地区の大会でいつも優勝争いをするような活発で明るい彼女、家が近かったせいで幼い頃からまるで兄妹のように仲良く遊んだ俺の初恋の人だ。

 小さい頃から兄妹のように育ったせいか互いにいつも名前で呼びあっていたが、中学に入ってからも彼女だけが俺のことを下の名前で呼んでいたから、とても異性として意識してもらえなかったのだろうと思っているが、俺は彼女のことが好きだったから、ちょっかいを出して泣かせたこともあった。

 すでに結婚しているとしても、初恋の彼女に会えると思っただけで同窓会に参加する気になったし、これをきっかけに久しぶりに実家に帰る気になった。

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