ひとひらの春 もみの木の雫の下で
ひとひらの春
桜がほころび始め
道の両端から アーチを織り成す
今年の冬が厳しかっただけに
春の陽気はすこぶるうれしい
身体が少しずつほぐれてゆく
心が少しずつほぐれてゆく
散歩にはもってこいの天気
公園に着いて芝生で寝転ぶ
身体と心を自然にまかせる
思い切り深呼吸
帰り道 ふと目に留まった
ひとひらの春
もみの木の雫の下で
霧が降るような雨の中
もみの木を眺める
殆どクリスマスにしか縁のない木だと思うが
春の光の中 もみの木の緑は力強く優しい
絶望の淵にあるように思える今の自分にとって
願いをかけることに関わっているこのもみの木は
今がクリスマスではないだけに残酷に思える
希望を持った時 願いは叶うのかも知れない
もみの木の緑から雫が垂れる
もみの木の下の緑の苔へと
枝が風にゆらゆらと揺れながらバランスをとっている
そよそよと少女に囁いている