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思い出
「はぁ…だから、家で寝てればよかったんだ…」
待ってる最中に眠ってしまった香夜を揺さぶり起こす。
眠そうに目を擦る。
「夏津〜、眠いよ〜
遅いよ〜、夏津〜」
変な顔、可愛い。
けど…いつまで隠し通せるだろう…
俺が聞いた事…
俺の事…
「ね、どっか寄って帰ろ〜
毎日海しか行かないから、今日はあそこ行こあそこショッピングモールな所よ。
分かる?お店いっぱいある所連れてってあげる…」
それくらい分かる。そう思いながらも笑顔の香夜に手を伸ばして立ち上がらせ病院を後にした。
自転車を押し、歩く彼女の横を少し頬を緩め歩いていた。
香夜はその顔を見たのか、ニコニコと笑顔でずっと話していた。
「でね、その子なほちゃんって言うんだけど…
あ、ちょっと自転車止めてくるね!」
話の途中でショッピングモールに着くとコロッと変わり自転車に跨り自転車置き場にキチンと止めていた。
笑顔で小走りに駆けてくる。
嫌な予感がした…
彼女の笑顔が消える感覚と、車の通る音…
駆けてた足がとうとう止まった…
何も見えない…
俺は、何をして生きていたんだろう…
周りの人の悲鳴のような、心配のような声がうっすらと聞こえる。
彼女に勉強を教えて欲しいと言わなければ…
香夜にもう一度会わなければ…
何も考えられず、救急車の音だけが頭に響いた…




