仲良し
「今日、病院に行かなきゃなんだ。
香夜も時々行っているでしょ?」
一人で行くという夏津を恨めしい顔で私は見る。
困ったように先程から言葉が沢山出てくる。
目覚めた後の無口な彼はどこへやら…
「でも、1人で行かなくてもいいじゃん。
ついてく!」
負けじと私は反論するが、夏津は時計を気にするばかりで話半分で行こうとしていた。
一緒に入れる時間を長く保ちたいと思うのは、私の我儘なのかもしれない…
それでも、私達はいつ離れ離れになってもおかしくないんだ…そばにいたいと思うのは当たり前だと思ってた…
「あんまり、病院はいいイメージがないから…
そんな場所に大切な人を連れて行きたくない…」
そう言い飛び出すように早足で歩いていってしまった。
ポカンとしている時間なんてない。
私は持つものを持ち駆け出した。
「夏津!待って!」
自転車とはなんと便利なんでしょう。
ずっと病院生活だった夏津は自転車には乗れない。
歩いてバスに乗ろうとしていた。
それに追いつき、声を掛けると眉根を寄せなんとも言えない顔をこちらに向けた。
「何してんの?
俺、バス乗るから…
来ても面白いことないんだから帰りな。」
冷たい目。
でも、きっと待ってるのは退屈だから家でいつも通り寝て待ってていいよって言ってくれてるんだ。
これは、優しさ。
見えないだけでとても優しい夏津は、昔と同じ。
ずっと、根はとても優しい。
「じゃ、バスと自転車どっちが早いか競走しよ!」
言うとすぐに私は足に力を込めた。
止まった状態から漕ごうとするととても重い。
それでも、私は力を沢山込め進んだ。
だんだん小さくなる夏津は曲がり角を曲がると当たり前だが見えなくなり、私はニコニコのままペダルを漕いだ。




