2話
「俺ら一緒に住むって…」
うわ、爆弾持ってきよったぞ、こいつ。
…ほほうそう言うことかって、どーゆーことだよおい!いや、まあ、理解はしたけど…何でそんな事に⁉︎そりゃあ、いつもならお帰りって聞こえるはずの声が聞こえないな〜とは思ってたけども!おっかしなあとか思ってたけど!仮にも思春期男子と思春期女子を一つ屋根の下で住まわせるかぁ?我が母の事ながら、考えてることが訳わかめだよ!…現実逃避は良く無いか。
何て、バカな事を考えながらリビングに行くと机の上に一枚の紙が。内容は、『ごっめ〜ん!後のことは奏多くんに聞いてね。ちなみに、仲良くしなかったら仕送り止めるから、そのつもりで』とのことだった。いやいや!自分で言えよ!つーか、それって強制ってことじゃん!
乱暴に書いてある辺り、出る直前まで書くの忘れてて、急いで書いたんだろうなぁ…。まったく、うちの親は…。
「マジ、悪い…」
凹んでいる奏多を見て、ため息をつく。…なーんかだいたいわかった気がする。とりあえず事情を聞こうと思い、いーから言ってみなよ、っと言うと奏多は申し訳なさそうに、ポツポツ説明しだした。
「また、かーさんの思いつきで俺以外海外旅行に行く事になったんだ。まあ、ここまでは良いんだけどよ、お前んとこのかーさん達も行くことになっちまって…。んで、俺らが一人で家にいるってのはアレだから泊めてもらえって。マジ、悪い…何回も止めたんだけど、ああなっちまうと、もうどうしようもなくって。」
おい、マジか!?海外か!若干行きたかったかも。
話しているうちにだんだん小さくなっていく奏多が妙に面白い。お母さん達が私たちを一緒に住ませたいって思うのは納得出来る。私も奏多も一人っ子だし、安全上の問題だってある。なにより、私としても仕送りが無くなるのはちょっとキツイ。
一人、納得した私は奏多を見てため息を吐きつつ、普段見ない幼馴染の姿に、可愛いなぁと思いながら、頭をバシッと叩く。うわ今の絶対痛いわ。ごめん奏多。
「なにらしくない顔してんの。ってか、バカじゃ無いの、ホント。んなこと気にしてないってば。さっきも言ったじゃん、バーカ。」
「バカって二回も言うな。つーか、お前マジかっこよすぎ。惚れるわ〜。」
「だろ〜?でも惚れないでしょーが。ってか、それ、二回目な。」
冗談を言いながらキッチンに行く。さてと。ん〜紅茶とコーヒー、どっちが良いかなぁ。まぁいっか、コーヒーめっちゃ苦くしてやろ〜。奏多、甘党だし。ニヤニヤしながらお湯を沸かしていると、
「俺、紅茶な〜」
って言われた。
え、なに、何なの。あいつエスパーなの!?エスパー伊東なの!?…げふんげふん…。ポーカーフェース、得意なんだけどな。
「あ、そういえばさあゲームしに来るって言ってたけどどーすんの?」
「あー。いや、荷物整理しねーとなんねーから、終わってからやる。で、部屋どうすればいい?」
結局するんだ。え、ちょ、待って待って。
「荷物は?部屋は、私の向かいで良いよ。」
「りょーかい。荷物はもう運んでる。」
お母さん何も言ってくれなかったんだけど。あ、そういえば、夜中にダンボール持って帰ってきたことがあったようななかったような…。あんまり覚えてないけど。だって、寝起き悪いし…自分でわかってるし!
なーんて事を考えていると、奏多の姿が見えないことに気付く。まぁ、どーせ二階だと思うけどね〜。一人で整理するのは大変だと思うし手伝ってやろ〜。うっわ、私やっさし〜。こんな出来た幼馴染、他にいないでしょ!!