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泡恋
俺は千代が大好きだった。
千代は大人しいけど優しくてとてもいい子だった。
吸い込まれそうなほど深い蒼色の瞳。
雪のように柔らかな白い肌。
つやつやの黒髪を緩く2つに結んでいた。
身長はまだ中学生でそんなに身長が高くなかった俺より少し低かった。
薄紅色の柔らかそうな唇。
長いまつげ。
まるでお人形さんみたいな少女だった。
千代と俺は小さい頃からずっと一緒にいた。
千代と俺はギリギリ同じ学年だった。
俺は4月2日生まれ。
千代は3月31日生まれ。
千代はみんなに優しかった。
だから千代はよくモテた。
俺はそれが嫌だった。
千代に彼氏ができたとき、俺は思わず千代につめよった。
千代は悪びれる様子もなく、「告白されたから」と答えてそれきりだった。
千代に彼氏がいるにもかかわらず、俺と千代はよくキスをした。
けれど、千代はそのたびに泣いていた。
どこか痛いのか聞いても、「大丈夫、大丈夫だから」といって泣くばかりだった。
俺は千代と会えなくなるその日まで、いや、今でもずっと千代を愛している。