桜の少女
私立如月学園高等部。
これから俺はこの学校に通う。
なんでもいいとこのお嬢さんやお坊ちゃんが通う学園らしい。
私立だけあって校舎はキレイだし敷地面積が驚くほど広い。
さらに大型温水プール、映画館、ボーリング場まで完備されている。
お金持ちは金の使い道に困ってるんだな、きっと。
そしてこの学園は3年前までは女子校だったらしく、女子の人数が8割を占めている。
まぁ、俺には関係がないな。
俺はこの学園に遊びに来たんじゃない。
姫さんの護衛をするために来たんだから。
今日の帰りに佐倉家の本家に荷物を持っていく予定だ。
そんなことを考えていると、誰かにぶつかった。
「きゃっ!?」
「うお!?」
「す、すみません…急いでいたもので」
「い、いえ、こちらこそぼーっとしてて」
ぶつかってきたのは2つ結びの女子生徒。
黒髪で小さくてメガネかけてて、いかにも大人しそうな女の子だった。
「すみません、失礼します」
女の子は小走りにかけていった。
けっこう可愛いかったなーなんて、考えてたらまた
「わっ!?」
「うおっ!」
今度はぶつかってきただけでなく押し倒された。
「いてぇ…」
見上げると、そこにいたのは天使。
いや、女神様と言ったほうがいいのだろうか。
流れ落ちるような黒髪。
涙が溜まりそうなくらい長いまつげ。
通った鼻筋。
柔らかそうなほんのりピンクに染まった唇。
制服の上から見てもよくわかるくらいの豊満な胸。
ワンピースタイプのセーラー服にマッチした黒のスパッツ足。
これが細いのに太ももはむっちりとして色気がすごい。
そしてかすかに桜の香りがした。
「申し訳ございません。おケガはありませんか?」
その少女は心配そうな顔でこちらを覗き込みつつ手を差し出してきた。
「あ、えっと、全然平気です」
「本当ですか?よかったぁ…」
その少女はにっこりと微笑んだ。
これがまた可愛らしくて目を奪われる。
こんな可愛くて上品な子がこの世にいたのか…
「あ、私、先生に呼び出されていますので、失礼しますね。ごきげんよう」
長い黒髪を翻して歩いていく姿から、俺は目を離せなかった。