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2/12

 参道の整備を始めてから約1ヶ月。片目が水竜の神殿に帰ってきた。

 帰ってきたという報告を聞いてから数日が経つというのに、一向に話し合いの機会は設けられていない。

 やきもきしてシレルにどうなっているのか尋ねてみても、答えは「わかりません。申し訳ありません」の一点張り。

 片目が帰ってくる前にはちょこちょこ顔を出していた長老も、顔を出そうとしない。

 何が行われているのだろう。

 確かに、片目の業務は私のことだけじゃないのはわかっているけれど。

 でも一刻も早く会って、彼の見たもの、知ったもの、全てを知りたかった。

 なのに、片目よりも先に一番厄介な人と会うことになってしまった。

 祭宮カイ・ウィズラール。

 どうして来るのよと悪態をつきたくなる。

 はーっ。

 溜息しか出てこない。

 会いたくないって言うわけにもいかないし、挨拶だけで済ませるっていう訳にもいかないし。

 もしもご神託をなんて言われたら、どうやって切り抜けたら良いんだろう。

 本当に困る。

 来ないで欲しい。

 今はあなたに会いたくないのよー! って叫んでしまいたいくらい。


 そんなこと思っているの、悟られるわけにはいかない。


 意を決して扉を開けると、にこやかな笑顔がこちらに向けられる。

 ぱっと見は上品で綺麗な笑顔。

 そしてお約束のように、小走りで目の前にやってくる。

 ああっ。本当に逃げ出してしまいたい。

 ここで回れ右したらダメかしら。

 きっと真後ろにいる神官たちにダメ出し喰らうわね。

 とりあえず、向こうのペースにならないことだけに気を配ろう。

「お久しぶりです。祭宮様。お変わりございませんか」

 丁寧に一礼して顔を上げると、にこにことした笑顔を返される。

「ええ。お気に掛けていただけて光栄です。巫女様もお元気そうで何よりです」

 めんどくさい社交辞令だわ。

 でもこれをこなさないと先に進めないのよね。

「こちらこそありがとうございます。ああ、でも今日も神官たちが同席させていただきますが、お気を悪くなさらないで下さいね」

 ちらりと目線を私の背後に動かして、それから何もなかったかのような顔をしてウィズが笑う。

「ええ。皆様が巫女様をとても大切に思っていらっしゃるのでしょうから、気になりませんよ」

「ありがとうございます」

「さあ、どうぞ。立ち話をするとお体に障りますから、どうぞお掛けください」

 促されていつも座る席につくと、神官長様が視線をふいっと逸らす。

 どうしたんだろう。何か気に障ることを言ったかしら。

 機嫌が悪そうという感じには見えないけれど。

 気にしていてもしょうがない、かな。ご機嫌を損ないましたか、なんて馬鹿なこと聞けないし。

「先程神官長様からお伺いいたしましたが、今年は奥殿に行かれるのに難儀されているそうですね」

 しまった。他の事に気を取られていたから、ウィズに話の主導権をとられてしまった。

「そうですね。今年は例年よりも雪が深くて、奥殿への参道の整備に手間取っています」

「参道の整備はお一人で?」

「はい。参道から先は巫女以外は入れませんから。でも色々神官たちが手伝ってくれていますから」

「そうですか。ご無理はなさらないで下さい。大切な御身、掛け替えの無い方なのですから、巫女様は」

 それは、祭宮にとってってことなんだろうか。

「大丈夫です。もう巫女に無理はさせませんわ。わたくしたちが全身全霊をもってお守り致しますから」

 口を挟んだのは神官長様だった。

 そういえば、神官長様は長老から話を聞いているのだろうか。私が話した色んなこと。

 レツの声が聴こえない事。

 奥殿のこと。

 私に起こった奇跡のこと。

 横顔からはその心中を伺う事は出来ない。

「ですから、あなたがどのような手段を講じようとも無駄ですわ」

 冷たい視線がウィズに向けられる。

 やっぱりまだ神官長様は疑っているんだわ、ウィズの事を。

 全部の真実を知ったとしても、それでもウィズのことを信じられなくても仕方ないと思う。

 実際に話をした神官たちの中でも、祭宮の評価は分かれている。

 危険だとする声と、利用するべきという声と。

 それぞれの意見を聞いて、これからどうやって祭宮と対峙していくべきなのかも、片目の報告を聞いてからにしようと思っていたのに。

 とりあえず、余計な口は挟まずに情勢を見守った方がいいかな。

 そっと視線を長老に向けると、長老が目礼をした。

 うん、黙って様子を見守ることにしよう。

「手段とは? あまり穏やかではない印象を受けますが」

 口元は笑っているのに、ウィズの目は笑っていない。冷笑を浮かべているといってもいいかもしれない。

 でもその笑みは誰に向けられたものなのだろう。神官長様に、それともウィズ自身に?

 そんな風に笑うところ、今まで見たことがない。

 受けて立つ神官長様は優雅な笑みを浮かべ、小首を傾げる。

「あら、そうかしら。そのように思われるのは、心にやましいものでもお有りなのではないかしら」

「そういう含みでしたか。神官長様ともあろう方が、そのように祭宮を試されるとは」

 一触即発の状態に、私は二人の表情を目で追うしかない。

 ウィズは神官長様の言葉を鼻で笑うようにあしらい、神官長様は美しい笑みを湛えたまま、その表情を崩そうとはしない。

「疑われて困るような企みがあるのでしたら、今教えて下さるかしら。わたくしが何も知らないとでも思っていらっしゃるの」

「どういう意味でしょう。痛くも無い腹を探られるというのも、あまりいい気分は致しませんね」

 神官長様の笑みとは対照的に、ウィズは深い皺を眉間に刻んで不快感をあらわにしている。

 どうしたんだろう。

 私の知らないところで、何かが動いているとしか思えない。

 一体何が起こっているんだろう、外で。

 もしも今レツの声が聴こえるなら、その答えを教えてくれるのに。

 そしてきっと一笑に付してくれるはず。

 レツの声が聴こえないだけで、今目の前で繰り広げられる口論が大事件の予兆のような気さえしてくる。

 ふっと視線を感じて、視線を壁際に移すと、片目と目が合う。でもそれは一瞬のことで、あっという間に目を逸らされてしまう。

 きっと「何か」を片目は知っている。

 知っているんだという事を伝えようとしてくれたのかもしれない。

 そのまま長老へと視線を動かすと、小さく横に首を振る。

 黙っていろって事ね、きっと。

「端的に申し上げたほうがいいのかしら、祭宮様」

 くすりと笑って、神官長様はたおやか身のこなしでテーブルのお茶を手に取る。

 その一連の動きをウィズは目で追うだけで、何も答えようとはしない。

 ゆっくりとお茶で口の中を潤してから、カチャリと小さな音を立ててカップをテーブルに置くと、神官長様が顔から笑みを消す。

「それとも言い方を変えましょうか。第三王子カイ・ウィズラール殿下」

 その言い方に、ぴくりとウィズの眉が動く。

 睨むようなウィズの視線を全く気にすることなく、神官長様がもう一度笑う。

「更に付け足して差し上げましょうか? 行政執行権と軍の指揮権を共にお持ちの王位継承権第三位のカイ・ウィズラール殿下」

 しーんと部屋の中が静まり返る。

 どうしてそんな事を突然神官長様は言い出したんだろう。

 ウィズはあからさまに憮然としている。

 二人の顔を交互に見回しても、敵意のような苛立ちを見せるウィズと余裕綽々の神官長様の間の溝を埋める言葉は見つからない。

 ただ成り行きを見守る事しか出来ない。

「祭宮を拝命した時に、その全ての名を捨てました事、もうお忘れですか。我が従妹殿」

「形式上でしょう。お立場を捨てたということ」

「……何をおっしゃりたい」

「軍と政治。今どなたが動かしていらっしゃるのかしらね」

 一呼吸置いて、ウィズが苦笑する。

「国王陛下に決まっております。名実共に」

 名実共にという部分を強調するように言い、それから吐き捨てるように言葉を紡ぐ。

「そんなに単純ではありませんよ、王宮の中は。例え大将軍が敵地で倒れようとも、国王陛下が後宮に篭ってしまっていたとしても」

「あら、そうかしら」

「それに、これ以上火種を作っても仕方ないでしょう。国は荒れる一方です」

 国が荒れる。

 もしかして、外の情勢はあまり良くないのでは。

 そう思いながらウィズを見るけれど、ウィズはこちらに目を移そうとはしない。

 神官長様の知っている「何か」を見据えようとしているのか、それとも神官長様の真意を測ろうとしているのか。

 とりあえずわかるのは、私はこの話の蚊帳の外ってことかな。

 それにしても、今は違うけれどウィズと神官長様が親しげだったのって、二人が従兄妹同士だったからなんだ。

 いつも二人の会話の端々から感じる、ふんわりとした柔らかい雰囲気はそういうことだったんだ。

 神官長様がウィズの従妹っていうことは、神官長様もとびっきりの王族だったのね。なんか、納得。

 私には到底身に付きそうにない気品とかは、やっぱり生まれつきと育ちが違いすぎるからなんだわ。

「では、貴方はわたくしの味方? それとも敵なのかしら?」

 さらりと細く滑らかな髪を揺らしながら神官長様が笑う。

 そんな神官長様にフっと笑い、ウィズが私のほうに目線を移す。

「巫女様の味方です。お守りするは巫女様と水竜の神殿。それが祭宮でしょう」

 おほほと声を上げて神官長様が笑う。

「それは拡大解釈ではなくて? 貴方は所詮王家側の人間でしょう。伝書鳩とご自身でその役割についておっしゃっていたのは、そう遠くない過去だったと思いますわよ」

 目を閉じ、それからウィズが微笑む。

「どう思われようと構いません。しかしわたしは二度と巫女様を危険に晒すつもりはありません」

 穏やかな笑みから目を逸らせない。

 唇が何かを紡ごうと動いたけれど、私が何かを言い出す前に神官長様が切り捨てるように言い放つ。

「そうしていただければ、わたくしも何の心配もありませんわ」

 何を言おうとしたんだろう。

 神官長様の辛辣ともいえるような言葉に、私は自分の中にあった言葉を見失う。

 伺うように二人の顔を交互に見ても、二人とももう何も話そうとはせず、ゆっくりとお茶で喉を潤している。

 まるで口論なんてなかったかのような静けさで、居心地が悪い。

 だけど、一つだけわかったことがある。

 外で色々事態が動いている。

 それはきっといつかこの神殿をも巻き込もうとしているんだということ。

 その時、私はレツを取り戻せているんだろうか。


「では、これにて失礼致します。あまり長居しても巫女様のお体に障りますから」

 唐突にウィズが立ち上がる。

 こんなに早く帰ることなんて無かったのに。

 いつもはあれこれ話して、それからご神託をって言うのに。

「もうお帰りになられるんですか」

「はい。今日はご機嫌伺いに参っただけですから。お元気そうなお顔を拝見出来て幸いでした」

 問いかけにウィズは笑顔で答える。

 なんか、色々構えていただけに拍子抜けした気分。

 でも、ご神託をなんて言われなくて良かった。本当に。

「こちらこそ、久しぶりにお会いできて良かったです。どうぞまたお越し下さい」

 丁寧に頭を下げて顔を上げると、ウィズが同じように一礼する。

「神官長様、御前失礼致します。また寄らせていただいてもよろしいでしょうか」

「お待ち申し上げておりますわ」

 神官長様も立ち上がり優雅に一礼する。

 さっきまで諍いを繰り広げていた相手なのに、満面の笑みを浮かべて答える。

「では、こちらへ」

 神官長様付きの神官が、出口を案内するように扉を指し示す。

 それに倣うように扉に体の向きを変えたとき、ウィズの手許から防寒用の膝掛けが落ちる。

 あっと思って屈んで拾おうとすると、同じように屈んだウィズと至近距離で目が合う。

「下。取って」

 私にしか聞こえないような声で耳元で囁き、ウィズが膝掛けの下に一瞬手を入れる。

 膝掛けの下に手を入れると、何かがある。

 その何かごと膝掛けを拾うと、ウィズが苦笑する。

「申し訳ございません。巫女様にお手数をお掛けしてしまって。先程立ち上がった時にそちらにおいておけば良かったですね」

「いいえ。こちらこそ気が付きませんで、申し訳ありませんでした。こちらは私がお預かり致しますね」

 それでいいんだよね。

 この何かは私が持っていっていいんだよね。

 そういう気持ちを籠めて、ウィズに問いかける。

「ええ、よろしくお願いいたします。ではまた」

 踵を返し、ウィズが神官長様付きの神官と扉の向こうに消えると、ウィズが使っていた膝掛けをシレルに手渡す。

 その時に「何か」に気がついた様子で、シレルが「何か」を他の誰かに気付かれないように、素早く防寒用のコートを手渡してくれる。

 部屋に戻りコートの端から取り出したそれは小さな布袋で、短い手紙が入っている。



 足元を掬われるな。決して気を抜くな。

 お前を失脚させようとしている者がいる。

 場合によっては命さえ狙おうとしている。

 例え身近な者でも信用するな。



 几帳面な字で書かれたそれは、何かの本の切れ端のようだった。

 どうしてこんなものに。




 誰に話していいのかわからず、でも誰かにこの事を伝えなくてはいけないとも思うし、どうしたらいいのか決めがたい日々が続いている。

 神官たちに話していいのかな。

 でも身近な者も信用するなって書いてあった。

 だけど、少なくとも円卓の間であう神官たちは、みんな親身になって色々考えてくれるし、してくれる。

 疑いたくない気持ちと、でもっていう気持ちのせめぎ合いで答えが出せないまま、何度も何度もその切れ端を溜息交じりに眺めている。

 誰かに見咎められるといけないので、参道の整備の合間に参道で。

 それにウィズに対して神官長様が言っていたことも気になる。

 あれは、外だけの事なんだろうか。

 もしかしたら神殿内部でも、何かが起こっているんじゃないんだろうか。

 何が起こっているんだろう。

 私の周りは、いつもと何も変わらないのに。

 何かが起こっているなんて気配すらないのに。

 でも、そろそろ決めなきゃ。

 ウィズの言葉の意味を知るために、誰を信用するのかを。


 参道の整備を終えて部屋でゆっくりしていると、長老が顔を出す。

 数週間ぶりに部屋に来た長老は、いつものようにニコニコと笑顔で、どこも疑う余地すら無い気がする。

 挨拶をして当たり障りのない話をしていると、すっと長老が右手を上げ、シレルに合図を送る。

 人払いを、という合図。

 シレルは長老の背中に頭を下げ、一番恰幅のいい女官に声を掛ける。

 女官は心得た様子で、他の女官を引き連れて部屋の外へと姿を消す。

「どうされたんですか」

 長老に問いかけると、長老は笑顔のまま話し始める。

「そろそろ、片目の話をすべきかと思いましての」

「片目の?」

「ああ、そうじゃ。ですから後日お時間をいただければと思いましてな」

 それだけで全て通じる。

 後日円卓の間で話があるということね。

 でもその前に、ウィズの残したものを見せておく必要があるかもしれない。

 そんなことは無いと思うけれど、円卓の間にくる神官たちの中に、疑いたくはないのだけれど該当者がいないとは言えないし。

「それは構いません。では明日以降、一番最初に天気の崩れた日の昼過ぎでどうでしょうか」

「かしこまりました。そのように皆に申し伝えましょうぞ」

 にっこりと笑う長老の笑顔にほっとする。

 でも、何て伝えればいいんだろう。神官たちの中に疑うべき人物がいるって。

 胸がドキドキと高鳴るだけで、上手く言葉が出てきそうに無い。

 どうやって伝えればいいんだろう。

「それにしても、この間は驚きましたな」

 言葉を考えあぐねていると、長老が突然切り出す。

「この間?」

「ええ、神官長様と祭宮様の」

「あ、はい」

 咄嗟に言葉が出てこなくて、間抜けな声が零れる。

 また巫女らしくない発言をしてしまった。

 きっと長老に咎められる。

 一瞬身構えたけれど、長老は気にする素振りもなく、話を続ける。

「神官長様が祭宮様をお疑いとはのう。てっきり気心の知れた間柄かと思っておりましたからのう」

「そうですね」

 ああいう風に腹の探りあいをするようには、今まで見えなかったし。

 どちらかというと仲がいいのかなって、こっそりとヤキモチを焼くくらいだったのに。

「しかし神官長様がおっしゃるように、外の状況はあまり良くないようですし、こちらに火種が降り注いでこないとも言えないところじゃし、難しいのう」

 後半は考え込むようにひとりごちで、きっと長老が何かを掴んでいるということはわかる。

「あの、何があったんでしょうか。外で」

「うーむ。非常に省略して申し上げるなら、挙兵したんじゃよ。民に向かって」

「え?」

 挙兵した。民に向かってって。

 何だかよくわからない。

 戦っているのは隣国ではなかったの?

「まあ、国の情勢は色々難しい局面になっているようでの。わしも全てを把握しているわけではないから、巫女様に説明できない部分もありますが」

 腕を組み、難しい顔で長老が続ける。

「その兵の向かっている方向が、この神殿のある方向なんじゃ」

 ……絶句した。

 どういうこと?

 兵がこの神殿に向かっているって。

「しかし方角がこちらというだけで、確実にその兵が神殿を目指しているとは言い難い。こればかりは状況を見守るしかないようなんじゃが、備えは必要になることは間違いないじゃろうな」

 咄嗟に手の中に握り締めていた紙を長老に差し出した。

「あのっ。これを見て欲しいんです」

 何度も見て、暗記した文面が書かれている紙片を長老の手に押し付けるように渡す。

 折りたたまれた紙をゆっくりと開いて目を通すと、長老の目つきが変わる。

「これは」

「……先日」

 どこで誰が見ているか、聞いているかわからない。

 私は長老とシレルは信じようと決めた。でももしかしたら今この扉の向こうにいる誰かは敵かもしれない。

 言葉を濁すと、それだけで長老は心得たようで深く頷く。

「左様でございましたか。これはしかるべき対応を考えさせて頂かなくてはなりませんな」

 声を潜め長老が答える。

「お任せしてもいいですか」

「勿論ですとも。お任せ下さい」

 長老は袂に紙片をいれ、何も無かったかのような顔で立ち上がる。

「今日はもうお疲れのようじゃ。ゆっくり休まれると良いのでは」

「ありがとうございます」

 長老に頭を下げると、長老がふっと口元に笑みを浮かべる。

「わしに頭を下げる必要などありませんぞ、巫女様」

 そう言い残し、長老は部屋を後にする。

 長老には渡さなかった、もう一つの紙片をさっきの紙片が入っていたのとは反対の袂ごと握り締める。



 例え世界を敵に回しても、お前を傷つける者は排除する。

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