Bersaglio-1
「ボスのお姫さまは日本に居るのよねー。」
「そうでしょー?フォン。」
フランス人形のような美少女が二人。睫毛は長く、シルバーグレーの愛らしい瞳。そして、白磁のような肌。どちらが姉か、妹かなど全く判断出来ない程にそっくりな容姿。
そんな二人に話しかけられた青年は、少しため息をつく。
「あまり詮索すると、ボスが怒りますよ。まぁ、その通りなんですけどね。」
「きょるん♪」
「何か来たわ、ローラ。」「そうね、マーラ。」
部屋に入って来た少年は、ペロペロキャンディーを手にしている。その様はつぶらな瞳を持つ彼に、素晴らしくマッチしていたが……。
「どう見ても同い年にしか見えないわ。」
「年齢詐称だわ。これで18歳なんて。」
容姿を誤魔化しているなら、何と言うんだろう?身体詐称、容姿詐称とか?フォンは考えをめぐらした。ゆらり、と影が揺れた。
見目麗しい少年が、黒いオーラを放ちながら構えたのは鎖鎌である。
「スス、スプラン落ち着いて。この二人の憎まれ口は何時ものことでしょう……?」
フォンの静止を振り切り、風を切る音が響く。双子姉妹がいたところには、怪しく黒光りするそれ。
「外した。」
先程とは違う地を這うような低い声。
「応戦しましょ、ローラ。」
「そうね、マーラ。」
宙を舞いながら、お茶を飲んでいた時傍らに在ったテディベアの背中のチャックを下ろす。
こちらも風を切った、と思えば小さなナイフ。
「また、談話室を破壊するんですか!?」
がちゃり、と硬質な音に一同がドアに注視する。
金髪にブルーグレーの瞳。顔には表情が見えない。
「………。」
バタン。
「ボスー!止めてくださいよー!」
その瞬間、フォンの頬にナイフが掠めた。栗色の髪が十数本はらはら舞い落ちる。
「もう知りませんからねー!?」
「気が換わった。」
「私もー。」
「私もー。」
「……はぁ?!」
苦労人フォンの受難の一日であった。
「うお、いいねぇ。ボスは青くて。」
「…………。」
「大切なお姫さまの為にファミリー一つ潰すなんてなぁ。」
目の前のどこか、だらしない雰囲気を持つ男をじっと眺めた。
「眉間に皺寄ってるぜ?」ユリウスは気だるげに外界を遮断する。
「……あいつらが乃愛に手を出そうとしたのが、悪い。」
「お姫さんにだって護衛居るだろ?あっちだって同じようなもんだし。」
「………カンフー娘が一人だけで、飛び道具には敵わない。」
「だから、スニを日本に遣ったのか。」
納得〜♪とラルタニアは鼻歌混じりで呟く。
それを見ながら、ユリウスは再び目を閉じた。
最後に会ったのは何時だっただろうか?
自身に問う。確か、俺が14の時だったか?
……10年待ったんだ。
拒むことは許さない。
はい、主人公出ていません。なんか作者にはそういう習性があるようです(>_<)
ラブコメちっくにしたいと思いますo(^o^)o