表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

ドラマー

むむむむむむ・・・。

ガラス張りされたショーケースの前で僕はべったり張り付いて見ていた。

『テレキャス』

とてもいい音を出すが、

下手な人にはとことん扱いにくい代物、

テクニックを磨けば磨くほど素直な子は綺麗になっていく。

「ひろきーもう行こうぜ」だいきがあきれた顔で文句を言う。

「いやいやまてもう少しだけ見ていく・・・」

「おまえそれしか見てねぇじゃねぇか」冴え渡るだいきの突っ込み、

「やっぱり試奏してくる!」

「おまえじゃ弾けないと思うよ・・・って聞いてないし」

僕はだいきを無視してさっさと中に入っていった。

「あの・・・テレキャス弾いてみたいんですけど」

「あぁいいですよ?でも普通の人じゃあのテレキャスは弾けないよ?」

とりあえずスタジオへ店員さんについていった、

だいきも後ろからついてきた。

「と・・・チューニングはできる?」店員が聞く。

「あ、できますよ?」と言ってペグをまわし始めた、

なにか違うものを感じる、

いやいつもと違うギターだからか。

「じゃぁ行きます・・・あ、ゲイン高くしてもらえます?」






・・・・唖然。

まさかひろきってこんなにうまかったのか・・・。

こんなに滑らかな速弾きはじめてみた。

いやほぼプロ並。

見てて不思議聴いてて唖然。

何も言うことは無い。

「これキープしててもらえます?」ひろきが店員に聞く。

「あ、いいですよ?」

そんなやり取りよりまだ耳に音が残っている目に姿が焼きついている。

店を出て暫く歩いてポケットから煙草を取り出す。

「ひろきってうまいんだな」俺は無意識に言っていた。

「ん?そうか?そういやだいきに見せてないもんね」

そう言えばそうだ。

ひろきと出会ったのは中学1年のころ。

同じクラスになったも関わらずあまり喋る事の無かった俺たち。

俺はほぼ人との接触を避けていたからだ。

別に怖いわけではなかった。

なんというか一匹狼ってやつ?

そのころのひろきは明るくて人気者だった。

いじめがあれば駆けつけ泣いている人がいれば慰めに行き。

とにかくほっとけない性格だった。

でも女ったらしかった。

二学期の終わりころ、俺は煙草を吸い始めた。

影で隠れてすっていたところをひろきに見られた俺は焦った。

だがひろきは「一本ちょうだい♪」と馴れ馴れしかった。

その馴れ馴れしさは心地よかった。

甘い声音は一人のやつをほっとけないのをよくあらわしていたようだった。

「ねぇ煙草ってどこで買えるの?僕まったく買えなくてさ・・・」

「じゃぁ俺が買ってきてやるよ」無意識に言ってしまった。

ひろきは「ほんとに?」って言って「ラッキーストライクね?」っと言って約束した。

だが買える所に「ラッキーストライク」が売ってなかった。

結局マルボロを買って来てしまった。

だがひろきは「おぇぇぇマルボロかよぉ・・・でもありがとね」と言ってくれた。

それから3年間ずっと二人きりだった。

そしてひろきは今でもマルボロを吸っている。

「どしただいき?」いきなり現実に戻って来てびくっとした。

「いやなんでもない・・・それよりさ」ひろきは「ん?」と言って耳を傾けた。

「なんでずっとマルボロなんだ?ラッキーじゃなかったっけ?」と今聞いた。

「ん~・・・」と少し考えて言った「僕とだいきの友情のマルボロだから♪」

・・・俺とひろきのか。

悪い気もしない。





やっと学校が終わった・・・。

疲れたよぅ・・・。

だいきは「あー今日は弟たちのお守しないと」と言うことでさき帰って行った。

あ、確か音楽室にギターあったからちょっと寄っていこう。

ここだっけ?第二音楽室か・・・ここにはギターが・・・ん?

音楽室からなにか叩く音が聞こえてくる。

そろーっとドアを開けると誰かがドラムを叩いていた。

あいつは・・・りゅうやだ!

髪の毛を変な風に盛り、女の子に話しかけられただけで鼻の下を伸ばすような変態勘違い野郎。

でも意外にうまい。

あいつのキャラは面白い、みんなを笑わす人気者。

あいつドラム出来るんだ・・・。

「ふぅ・・・今日はここら辺にするか」と言ってりゅうやはスティックを置き、

ドアのほうへ向かってきた。

ヤバッ!と反射的に慌てふためく。

バタン!

足がほつれて転んでしまった。

「・・・なにやってんの?」とりゅうやが引きつった顔で見下す。

「いや・・あの・・え?あ・・・バンドやらない?」なにいってんだ僕・・・いきなり過ぎるだろう。

「うーんバンドかぁ・・・」少し考えてから首を横に振った。

「俺今女の子と遊ぶのに忙しいから悪いね」と言って階段を降りて行った。

・・・僕はただ後姿見つめて思った。

あいつ絶対入れよう。

とりあえず今日はだいきに報告報告♪

うーん・・・。

いきなり回想に入るのはちょっとまずかったかなぁ・・・。

もっと引き伸ばしてから入れたかったけど。

うんまぁよしとしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ