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最後まで見ていただけると幸いです!
期末テストが終わって、生徒会が再開した。
「期末テストで少し期間が空きましたが、今まで通り文化祭の準備を進めていきたいと思います。まず、全学年の費用が決定しました。おそらく、費用が足りないなどの問題がどの学年も出てくると思います。特に一年生は初めてなので多いと思いますが、費用を増やすのではなく、希望に沿った代替案をいくつか提案してください。また、どのようなことを希望されるかを事前に考えて備えておいてください。私からの連絡は以上です。」
今日は先生の頼まれごとで少し遅くなるという麗奈先輩に変わって、副会長である田中先輩が今日の流れを説明していた。
文化祭についての書類整理をしながら、田中先輩の言う通りどのような要求が来るのかを考えておく。
飾り付けや衣装に関してなら、学校にもいくつか材料があるので、その辺は問題なさそうだ。
その点、企画自体の材料費が足りないとなった時、この前のように必ずしも近くに安い価格で売っているとは限らない。
その部分を重点的に考えた方がいいかもしれない。
お化け屋敷とかだと、かなりの量の塗料がいるだろう。
一色だとしたらホームセンターに行けば業務用のものがあると思うが、何色もいる可能性が高いので、費用が足りなくなるかもしれない。
他にも、迷路教室だとダンボールか木の板が必要になる。
ダンボールが必要なクラスはかなりあると予想できるので、もしかしたら足りなくなるかもしれないな。
文化祭については、たくさん思っていたより考えなければならないことがたくさんあるようだ。
期末テストが終わり、文化祭の準備が再開した。
みんな生き生きとしていて楽しそうだ。
今は、神沼とその他数人で全員分のシフトを組んでいる。
事前に行った希望する時間帯などのアンケートを基に、できるだけ多くの人の希望が叶うようにシフトを組んでいく。
僕は本当は料理を作る係が良かったのだが、神沼に強引に接客係にされてしまった。
希望時間は思っていたよりばらつきがあり、シフトは案外すんなり決まった。
これまた強引に、神沼と同じ時間のシフトにされた。
シフトが組み終わったので、接客の練習をしている班に混ざることにする。
いくら文化祭とはいえ、一般のお客さんも来るなら、ある程度の接客はできた方がいいだろうと、こうやって手の空いている接客係は練習することになっている。
僕を接客係にした張本人の神沼を恨めしく思いながらも、接客は笑顔が基本なので、あえて神沼に笑いかけておいた。
クラスでの文化祭の準備が本格的に始まってからは、生徒会もシフト制となっている。
今日は僕は休みの日なので、クラスメイトと一緒に最終下校時刻ギリギリまで残っていた。
家に帰ると、時刻は七時半を回ろうとしていた。
急ぎ目でご飯を用意しながら、明日は生徒会に行く日だったなと思い出す。
生徒会のシフトは規則性はなく、連続で休みの時もあれば、逆に連続で行く日もある。
そのため、ある程度は頭に入れておかないと忘れてしまうので、いつも気をつけている。
そういえば明日は麗奈先輩も生徒会に来ると言っていた。
少し楽しみだ。
って、なんで麗奈先輩が来ることを喜んでいるのだろうか。
麗奈先輩に出会ってから、なんだか壊れてしまったかのようだ。
「昨日来た人は知っていると思うけど、生徒会も文化祭で出し物をしようと考えています!内容はこの学校の歴史などについてです。展示のみなので、シフト制で一時間に二人ずつ立ってもらおうと思っています。仕事内容は、お客さんに質問に答えることです。三年生と二年生の一部の人には二回シフトに入ってもらいます。現時点でもしクラスのシフトが決定していた場合、その人から順に仮のシフトを組み始めようと思っているので、後で教えてください。今後の生徒会は展示の準備がメインになると思います。以上です!」
麗奈先輩からの説明が終わった後、麗奈先輩にシフトが入っている時間帯を伝えに行く。
「麗奈先輩、さっき言ってたクラスのシフトのことなんですけど。」
「おぉ、もう決まってるの?早いねー!早速何時か教えてくれる?」
「朝の十時から十一時です。」
「オッケー、じゃあそれ以外の時間帯でシフト組むようにするね!何時がいいとか希望ある?」
「いえ、特にないです。」
「わかった、展示の準備についてはもう聞いた?」
「まだです。」
「じゃあ私から説明しておくね。展示するものとしては、さっきも言った通り学校の歴史に関するもの。例えば、創業時はどんな感じだったのかとか、この学校に関する大きな出来事とかを当時の写真に説明をつけて展示するの。今はその大きな出来事を探したり、創業時の写真を探したりしてるから、春哉くんも、お願いできる?」
「わかりました。僕も大きな出来事とか、調べてみます。」
「よろしくね!」
早速、生徒会室に備え付けられているパソコンを立ち上げ、調べてみる。
それらしい記事がいくつか出てきたので、先輩たちに聞いてまだ誰も担当していない記事をまとめることにする。
内容は、この学校のサッカー部が、初めて全国大会で優勝した時のものだ。
サッカー部には神沼が入っていて、今の強豪チームだが、もとはあまり強くなかったらしく、その年に転入してきた二年の部員が相当強く、全国大会優勝へ導いた時から強豪チームになっていったらしい。
その記事から大切な部分だけ切り取ってメモする。
写真は、記事にも載っているメダルをかけた部員たちの集合写真にすることにした。
この感じだと、一人三つくらいは作れそうだ。
次の日の昼休み、今日もいつものように神沼と弁当を食べている。
「さっきの時間の内容難しかったよー。」
「歴史の古代ギリシャについてだっけ。」
「そーそれー。あの先生、説明早すぎてついていけないよー!」
「たしかにあの先生の説明は早いな。説明といるより、スライドを切り替えるのが早すぎてノートを取っている暇がほとんどない。」
「俺ノート全然取れてないよぉ。夜瀬、全部写せた?」
「まぁ、一応。」
「後で見せて!お願い!」
「わかった。でも頑張ってある程度は移せるように工夫しなよ?」
「うぅ、頑張る。」
歴史の先生は確かに少し意地悪なところがある。
さっき神沼が言っていたように説明がはやかったり、当て方が独特すぎたりと、生徒からの評判はあまり良くない。
とはいえ、名門高校の教師なのだから、優秀ではあるのだろう。
弁当を食べた後、神沼にノートを見せるついでに、授業内容が全然わからなかったというので教えていた。
「なるほど、授業の内容大体わかった!マジでありがとう。助かったよー!」
「それはどういたしまして。さ、そろそろ休み時間終わるよ。」
「わ、もうこんな時間!ところで次の授業ってなんだっけ?」
「数学だよ。早く準備しないと間に合わないよ。」
「数学かぁ。嫌だなぁ。一番苦手な科目なのに。」
ぶつぶつ言いながら、カバンから教科書とノートを取り出し、準備をしている。
「俺、今回の課題だいぶ解けたんだよ!」
「よかったな。先生からも褒められるんじゃないか。」
「そうだといいなー。」
ちなみに数学の先生はこのクラスの担任である大橋先生だ。
真面目な性格で曲がったことが嫌いなため、怒るとかなり怖い。
だが行っていることは全て正しいし、普段は優しいので生徒からの人気は高い。
授業が始まることを告げるチャイムが鳴った。
切り替えて授業に集中しないと。
木曜日の放課後、今日はたまたまクラスの出し物で係のリーダーになっている人が二人とも休みだったので、急遽準備が休みになった。
今日は生徒会のシフトも入っていない。
何をしようかと思っていたら、神沼に図書室で勉強を教えて欲しいと言われたので、暇だったし引き受けることにした。
図書室に行くと、田中先輩がいた。
「田中先輩、お疲れ様です。何してるんですか?」
「、、あぁ、夜瀬さんか。創業時の資料がないか、図書室で探してるの。ネットだけだと、出てこないことも多いし。」
「なるほど。たしかにそう行事の資料なら図書室にありそうですね。頑張ってください。」
「夜瀬さんは何をしにきたの?」
「急遽クラスの準備が中止になったので、横にいる神沼に勉強を教えに。」
「どーもっす。」
「頑張って。それじゃ。」
「ありがとうございます。」
田中先輩は奥の棚へと消えていった。
「さっきのって副会長の田中先輩?だっけ?って人だよね?」
「そうだよ。」
「すっげー綺麗な人だったな。生徒会長も綺麗だけど、また違う綺麗さだった。」
「田中先輩のこと気に入ったのか?」
そういった瞬間、神沼の顔が真っ赤になった。
「いや、べべべ別に?そういうのじゃないし?」
「わかりやすいぞ。」
「うー、認める、認めるよー!」
「図書室では静かにね。」
声が大きすぎて司書の先生に注意されてしまった。
「とりあえず席着こうか。今日は勉強しにきたわけだし。」
「はーい。」
適当に空いている席に座り、教科書を広げる。
「わからないところ挙げてみて。」
「えーっと、ここと、ここと、ここと、ここと、ここと」
「ストップストップ。結構やばいね。」
「だろー?だから夜瀬に頼んだんじゃん!」
「よくここまで放置してたね。」
「えへへ、期末テストの範囲外だったから大丈夫かな、と思って。」
「大丈夫かな、じゃないよ。期末テストの範囲外なだけで二学期の中間テストには出てくるんだから。」
「うぅー、お願い夜瀬!俺を助けてー!」
「わかったから落ち着いて。声大きいから。」
「あ、ごめん。改めてよろしくお願いします、夜瀬先生!」
「だから声大きいって。」
それから、神沼に丁寧に説明しながら教えていたら、いつのまにか最終下校時刻が近づいていた。
「そろそろ終わろうか。」
「あー、疲れたー。でも大分わかった気がする。ありがと夜瀬!」
「あら、二人ともまだいたの。お疲れ様。勉強は終わった?」
「田中先輩こそまだいたんですね。お疲れ様です。勉強は終わりました。」
「夜瀬、めっちゃ教えるの上手いんですよ!」
「そう。神沼さん、だったっけ?少し声が大きいからもう少しボリューム抑えてね。」
「あ、わかりました。」
「じゃあ私はこれで。改めて二人とも、お疲れ様。」
「お疲れ様です。」
そういうと田中先輩は去っていった。
「田中先輩っていい人だな!」
「そうだね。一見無愛想に見えるけど、人のことをよくみてる人だと思う。さ、僕たちも帰るよ。」
「そーだね。帰りますか!」
今日は暇な日になるかと思ったが、案外いい一日になった。
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