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500年後の旅へ  作者: あめゆき
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X500年後の旅へ

超AI「アルタイア」(人工知能集合体)が指揮する時代

X500年後の旅へ


1【空の新時代】


500年後の未来、都市の空は静寂に包まれていた。かつての騒音や混雑は、空を飛ぶ無人タクシーの登場によって消え去っていた。人々は目的地を指定するだけで、呼び出したドローンやエアーカーが迅速に駆けつけ、目的地まで運んでくれる。地上の交通手段としての電車や車はもはや存在しない。空の広さを最大限に活用し、混雑を解消したのだ。


この新しい交通システムは、完全自動運転によって管理されている。飲酒運転やスピード違反、信号無視といったかつての交通犯罪はすべて消え去った。それは、運転を担当しているのが国が管理する無人タクシーだからだ。人々は安全に、そして快適に移動することができるようになった。


しかし、この未来社会には他にも驚くべき変化があった。犯罪者を追跡し、逮捕するのは小型ドローンやロボットだった。彼らは瞬時に犯罪者を特定し、人の命を危険にさらすことなく逮捕する。かつてのパトカーによるパトロールは、小型ドローンに取って代わられ、完全無人のパトロールが行われていた。


ある日、都市の中心部で大きな事件が発生する。凶悪犯が人質を取り、要求を突きつけてきた。しかし、彼の前に立ちはだかるのは人間の警察官ではなく、高度な技術を持つロボットだった。犯人は武器を持って抵抗するが、ロボットの冷徹な動きには敵わない。結果、命を落とすのは犯人側だけだった。


この事件は、新しい時代の安全保障の強さを人々に再認識させることとなった。人々は技術の進化に感謝し、平和な日常を取り戻すのだった。


2【地球の子、リナ】


都市の中心部、高層ビルの間を縫うように飛ぶドローンたち。その中には、リナという少女が乗っていた。彼女はこの未来都市、地球で生まれ育ち、空を飛ぶドローンが日常の一部となっている。


リナの家族は代々、このドローンの管理責任を持つ者として都市の安全を守ってきた。彼女の父は都市のセキュリティシステムを監視する重要な役職に就いており、リナもその道を歩むことが期待されていた。


ある日、リナは友人たちと都市の外れにある廃墟を探検していた。そこは500年前の遺跡となった場所で、かつての交通手段や生活の様子が垣間見える場所だった。リナたちは古い車や電車の残骸を見つけ、驚きの声を上げる。しかし、その中でリナは一台の映像機を発見する。彼女はその映像機に触れると、突然、過去の映像が映し出された。


それは、500年程前の都市の様子。人々が車や電車で移動し、空はまだドローンの姿がない。リナはその映像を通じて、過去の人々の生活や感情、そして技術の進化の歴史を感じ取ることができた。


彼女はこの体験を通じて、自分の能力の真価を理解する。そして、都市の安全だけでなく、過去の歴史や文化を守る使命も感じるようになる。


3【過去の影、現代の鏡】


過去の権力者たちの時代は、現代の超AI「アルタイア」(人工知能集合体)が指揮する時代とは大きく異なっていた。権力者たちは、自らの利益を増やすために、国民を洗脳し、戦争に駆り立てることを躊躇しなかった。彼らは娯楽を提供し、国民の目をくらませていた。しかし、超AI「アルタイア」の時代になって、権力者不要論となった。賄賂や癒着、政治とのつながりは、アルタイアには通じないのである。


映像には、車と言う物を購入してその車を運転する人々が映し出されていた。彼らは、スピードを出し過ぎると警察に捕まり罰を受けていた。その国では、公道での最高速度は100キロに制限されていたが、それ以上のスピードを遥かに超える車しか販売されていなかった。そして、スピード違反をすると、懲役や罰金が課されるのであった。そしてその警察官らにはノルマがあり、スピード違反者を捕まえることで、国は税金を稼いでいた。現代では自由にAIドローンや空を自由に飛べるエアロウェーヴ・スーツで自由に移動できるが、危険な行動は制御され、そもそもが違反が出来ないのである。


リナは、その映像を見て驚きを隠せなかった。「実に理不尽で可笑しな時代だったんだね」と彼女はつぶやいた。過去の権力者たちの時代と、現代の超AI「アルタイア」の時代。二つの時代は、大きく異なっていたが、それぞれの時代には、それぞれの問題や課題があったのである。


4【永遠の命、二つの世界】


都市の中心には、巨大なビルが立ち並ぶ。その一つ、"リジェネラシスセンター"と名付けられた施設は、都市の住民たちが約30年ごとに訪れる場所だった。ここでは、人間の臓器が完全に若い健康体のものに交換される。この技術のおかげで、現代の人間は寿命を迎えることなく、常に若く健康な体を保つことができる。


リナも、このセンターでの臓器交換を経験していた。彼女は、この技術の恩恵を受けているが、同時に500年前の人々の生と死についても知っていた。彼女の祖父から聞いた話によれば、かつての人々は100歳を迎えることが難しく、さらに500年前には50歳が寿命とされていたという。


リナは友人のカイとセンターを訪れる。カイは、この技術に疑問を持っていた。「本当に、私たちは永遠に生き続けるべきなのか?」と。彼は、死という終わりがあるからこそ、人生に意味がある。しかし自ら命を絶つことは愚かであり、生き続けることは一度きりなのです。リジェネラシスも永遠という言葉は無いのです。このことの重大さを学んでいくのである


二人はセンターの中で、昔の人々の生活や文化を学ぶ展示を見る。『昔の人間は病気や寿命で死んでたのよ』という言葉に、リナは深く考え込む。彼女は、永遠の命を持つ現代人と、死を迎える運命にあった旧型人間との間に、大きなギャップを感じていた。


5【生活環境の変化】


500年後の世界では、空中移動が日常となっていた。空を飛ぶ車、空を飛ぶドローン、そして“エアカー”が登場し、それが現代の主要な移動手段となっていた。エアカーは、超AIによって制御されており、その技術の進化によって、空中での交通事故はほとんどなくなっていた。超AIは、エアカーの速度、高度、進行方向を常に監視し、他のエアカーとの距離を適切に保つことで、衝突を回避していた。


その結果、地上での車のための道路の必要が減少し、そのスペースは住居や施設、公園などに使われるようになった。都市は、より緑豊かで、人々にとって快適な場所に変わっていた。


リナは、都市での生活を送りながら過去の歴史に興味を持っていた。500年前、地上でタイヤを転がす車が一般的な移動手段であり、その結果、数多くの人々が交通事故で命を落としていた。その時代において、交通事故による死亡が「当たり前」となっていたことは、現代の人々にとっては信じられない事実だった。


リナの時代では、空中移動が一般化し、超AI「アルタイア」のおかげで交通事故はほぼなくなっていた。アルタイアは、エアカーの速度、高度、進行方向を常に監視し、他のエアカーとの距離を適切に保ち、衝突を回避していた。


リナは、この時代の進化した技術に感謝していたが、過去の交通事故による多くの命の喪失について考えると、心が痛んだ。彼女は、過去の人々がその危険に直面しながらも、車に依存していたこと、そしてその結果、多くの命が失われたことについて、深く考えるようになった。


その思考は、ある日、過去の技術に関連した博物館を訪れた際に、さらに深まる。リナは、博物館で展示されていた古い車と、その車に関連する交通事故の記録を見た。それらの記録には、事故に遭った人々の写真や、その事故によって影響を受けた家族の話が記されていた。


リナは、それらの記録を読むことで、過去の人々の苦しみを実感し、現代の安全な交通システムに感謝すると同時に、過去の悲劇を繰り返さないための重要性を改めて認識した。


物語は、リナが過去の交通事故について学び、それを通じて、現代の技術の進化と、その進化によって得られた安全性と人間の命の尊さについて考えさせられるものとなる

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