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No.9



カマキリと激戦を繰り広げた場所は、大量の草花が薙ぎ払われ、ちらほらと巻き込まれた動物が近くに転がっていた。


そして、あの中二病の塊でできたような強烈な剣は既に効果が切れたようで、元の普通の剣に戻っていた。


予想以上にすごい効果だ。

あの巨体を一刀両断するほどの切れ味になるとは。

効果は短く魔力の消費は多いが、期待以上の効果で驚いた。


かっこよく決めポーズをとって鞘にスラっと差し込もうとするが、カチャカチャと音を立てるだけで入ってくれない。

初心者には無理だなっと早々に諦めて普通に鞘に差し込む。


きっと次に使うときはカッコよく決めれるように

ちょっと練習をするのもいいのかもしれない。

もちろん人に見られない場所で。


僕は改めて自分の体をみてみるとお腹の服や腕に数か所の浅い切り傷を負って血を流していた。

服には血がついて、怪我の割には服はボロボロという重傷者にしか見えない。


いててててと、ヒリヒリとするのを我慢しながら少し遠くに1匹のウサギにソウルチェンジを使って、怪我を癒していく。


「ふ~...初めてにしてはうまくいったけど...結構疲れちゃったな」


そうして、怪我を直し終わったら精神的にも肉体的にも疲れているので休憩をしようとその場に腰を下ろした。


もしもまた、あんな奴が近づいてきたらすぐに逃げられるように空から異常がないか見張る。


すこしは苦労したのだから何か収穫があったのでは。

なにかステータス変化していてくれ!

と、

思いながらステータスを確認した。




名前:アニエス 年齢:17

職業:見習い剣士 JobLV:1

レベル:【不明】


ステータス


体力:F 魔力保有量:G 


筋力:E 魔力:F 物理防御:G 魔法防御:G


素早さ:D 器用度:F


スキル


剣術LV1 闇魔法LV2


称号

【不明】


魔力は予想以上に結構ギリギリなのが感覚でわかった。

一番消費したのはブラックオーラだ。

ブラックオーラは消費量は多いが効果も短く、

長期戦に向かいない必殺技にしか使うことができなさそうだ。


もっと効果が長ければ検証できたのにと思っていたが、そんなことはないだろう。

ただブンブンと格好よく振り回したいだけだった。


それと、職業と書かれたところにJobLV1と新しく表示されており、

ステータスもわずかながらも上昇していた。


とりあえずまた大きな魔物が現れない内に、ブラックストレージで倒れているウサギを回収する。

次に、カマキリに向かって丸い形をしたストレージを投げつけた。


これはウサギを回収するときに気づいたのだが、近づけていくとウサギに吸い寄せられるようにして黒い靄の塊が飲み込んでいくのを見て思いついたのだ。

形を変えることもでき、

もしかしたら投げつけることができるのではないか?


予想通りだった。


カマキリに投げた黒い塊はすぐにカマキリの体を飲み込んで、元の丸い形へ変化する。


アニエスはそれを拾いに向かうのだった。


「カマキリ!ゲット...?ぶへっ...!?」


何かボールを投げ、モンスターを捕まえるマネをしたら、

背中にドスンと衝撃を受けた。


「キュゥ!」


ウサギから飛び蹴りをされてた。こっわ…。

多分さっきSPを奪い取った子が復讐にきたのかも。

きっとそうに違いない。

別にしょうもないことをしようとしてウサギに怒られたって ことは無いはずだ。


……というか何か記憶が混雑してる。

思い出せないものがあると思ったら、どうして覚えてるの?と疑問に感じるものもあるし…。

エスが言っていた。過去の記憶。

奪われたのか、捧げたのか?どっちでもいいけど。全て無くなったわけじゃないみたいだ。


「謎が深まるばかり」


いくら考えても、今の僕にはわからなかった。





検問所に着くと、朝から見張っていた人がこっちをギョッと驚いた表情でこっちに近寄ってきた。


「貴様!あれほど森の奥には行き過ぎるなと言っただろう!

あれほど警告したのに忘れたのか!」


そりゃそうだ。

こんな血まみれで帰ってきたら、警告を無視したと思われているだろう。

きっと僕でも同じ状況なら焦る。


と怒りながら説教タイム入りそうだった。


だが森に入ってすぐの少し開けた場所でウサギと戯れ始めていると、魔物とおもしき大きなカマキリが襲ってきたとおじさんに説明した。


が、あまり笑えない冗談はよしてくれと少し怒ったように言われた。


僕はこっそり、ブラックストレージを開きおじさんにしか見えないようにカマキリを出した。


「なあっ!?」


それを見たおじさんは驚いた顔をした。


「貴様が倒したのか?マンティスウォーリアを?」


と聞かれたのでもちろんYesと返事をしたら、とても苦い顔をしたのだった。


「......かなり近くに来ていたのだな。そうだ、まずはすぐに治療しに行ってこい、施療院だ」


怪我跡が付くとよくないからなと、聞こえないようにヒソヒソ言う。


わかったと、その場を後にしようとするとそれともう一つあると言ってきた。


「今回の件で一時森は出入りを禁止する。

貴様が言ったことが本当か確かめるために先に偵察を送らせるとしよう。もし本当だとしたら大規模な討伐隊を組むことになるかもしれん。

なんせマンティスウォーリアが見つかったんだ、大規模な群れが近くにいる可能性がある」


「…これだと、深い森から大型の魔物がいきなり現れたのにも説明がつく。が、何か違和感を感じる…」


そういうと急ぎ足で他の職員に同じ内容を知らせに行くのが見えた。


あのカマキリって予想以上にヤバいやつだったんだ、ちゃんと報告してよかったな。

大規模で討伐ってことは、ほかの冒険者も見れるのか。

少しぐらい見に行ってもいいよな?

どんな戦い方をしてるのか参考にしたい。


破れたとこを隠しながら街の中に入る。

こんな僕でも恥ずかしいものは恥ずかしいのだ、別におかしくはないはずだ。


実際に歩いていると、いろんなところからチラチラと視線を感じる。

中にはためらいもなくガン見してくる猛者もいた。

主にスカートに。


「急いで対策をしよう」


僕は冷静に呟いた。このまま僕の名誉が消え去るのを恐れて。


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