表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/15

No.3:冒険者ギルド2


「こんにちは、冒険者ギルドに登録をしに来たのですが」


 真ん中の受付に並ぶと、自分の番はすぐに回ってきた。


「こんにちは、ようこそネビアン冒険者ギルドへ。

 私はこの受付を担当している、リアよ。よろしくね」


  リアさんは青色の髪を腰まで伸ばしているとても綺麗な女性だった。

 服装は青色を基調としたギルドの制服を着こなしており、優しい雰囲気を出す人だ。


「アニエスです、よろしくお願いしますリアさん」

「リアさん、ね…なんかいいわね。アニエスちゃんだけ特別よ。じゃあ待っててね」

「え、えぇはい。…わかりました」


 よくわからないけれど、たぶん好印象。

 僕だけ特別っていわれるのは純粋に嬉しい。


「お待たせ〜」


そういうと、リアさんは奥から筆箱ぐらいの白い箱を持ってきた。

リアさんは優しく微笑みを浮かべると、テキパキと話し始める。


「まずは、カードに自分の魔力を登録するわ」


魔力?


純魔石(じゅんませき)に手を乗せてね。そのままでいいわ、魔力は勝手に吸い取ってくれる」


言われたとおり、魔法陣らしきものが書かれた純魔石?に手をかざす。


「……!」


 そのとき感じた。身体(カラダ)を駆け巡るような感覚。

 足から手へ。まるで流れる血液を操っている。

 これが。


「魔力……!」


➖ ー ➖ ー ➖ ー ➖ ー ➖


「アニエスちゃん?」

「……はい」


 僕は純魔石から手を離した。

 昂る余韻に若干だとは思うが、少なくともリアの声が届かないほど、上の空ではだった。


「ふっふっふっふ!

 アニエスちゃんは適正があるのね。きっと」


 次に職業を選べるそうだ。

 メリットはシンプル。

 職業を選択することによってステータスに補正を受けることができる。それによって、成長速度、適正も変わっていく。


 して、適正範囲なら職業は自由に決めることができる。


「適正範囲?」

「そ。誰しも得意不得意があるでしょ?」

「うん。でも、すこし残酷に感じる」

「それは人によるよ。アニエスちゃん」

「?」

 

 リアさんはカウンターに前のめりなって僕をのぞいてくる。

 その表情は、幼い子供を相手にする優しい笑顔だった。


「ヒトは誰しも才能がある。わたしはそう思ってる。

けど、一生かかってもその才能を開花させれずにいる。

そんな人を大勢見てきた」


「だから人によるかな?」

「……確かにそうかもしれません」


 沢山の冒険者を送り出したリアさん。

 その中にきっといたのかもしれない。リアさんの言葉に僕は共感した。


「…ちなみにリアさんは、どんなだったり?」

「わたしぃ?わたしはぁ……」


 一息ためた後、真剣な表情をしたリアは。

 こう放った。


「農家さんだって。おもしろいでしょ?」


 似合わない……。

 ほんとに似合わない。

 似合わなすぎて…、もう。


「っくっくっく……。お腹痛いぃい」

「笑いすぎよ?でも。ようやく笑った。ふっふっふっ」


 こっちにきて、ようやく緊張が解けたのがわかった。

 リアさんのこの雰囲気が、今にも大好きになってしまう。

 そんな気もした。


「たとえ適正は農家でもね。

努力の方向によっちゃ、ギルドで受付嬢に成れる。

 アニエスちゃんには、そう教えたかったのよ」


 がんばれと。そうリアさんはエールをくれた。

 同じ同性なのに、ほんとうにカッコいいと思う。


「はい、勉強になります。

 リアさんは頑張り屋さんだったんですね」

「そぉよ!もっと褒めたらさらに頑張っちゃうわ!」

「もちろん。すでにいっぱい頑張ってますよ」


 リアさんはかっこいいけど。

 やっぱりかわいい。


「はいどうぞ!これがアニエスちゃんのギルドカードよ」


 こうして、僕らはギルドを出た。


 この世界でようやく馴染めそうな人と出会えた。

 カールに出会えて、リアさんに出会えて。

 本当に良かったと感じられた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ