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10/15

No.10

 


現在、とても非常に困ったことが起きてるのだ。

そう、それは今着ている服についてだ。

森で激戦を繰り広げたカマキリ。マンティスって言ってたかな?

あいつが服をビリビリに破いてくれやがったのだ。


ここに来てまだ全然経っていないのに、新しいのに変えてもらう必要がある。

あまりお金を使いたくはないのだが、装備を新調してくる場所探すことにする。


このままお腹を露出させながら歩くのは結構恥ずかしい。

スカートにも、おおきくスリットが入った。とっても色情的にみえる。

けど、僕には露出で興奮する趣味はないのだ。きっと。


戦闘後に空腹なっていたので、道中パンを買って食べ歩きをしながら探すことにした。

パン屋の店主は血塗れの僕に目を見開いて驚いていたが、グロテスクなのは本当に申し訳ないと思う。

でも、破れたスカートとチラチラ横目にみてたのは、少し許せなかった。


通りを歩いていると突然聴き覚えのある僕を呼ぶ声がした。

振り向いてみるとそこにはやはりカールがいた。

仕事終わりなのか、剣を腰にほんのり血の匂いを漂わせている。


その剣はうっすらだが赤色になっていた。

なんとなくだが、魔力……のようなものを感じる。

魔法を使うようになってから、見えるというより感じる。いわゆる魔力というやつだ。


例えば、魔法使いはその魔力がより鮮明で、繊細さを感じる。

剣士のように人は、逆にあまり魔力を感じ取れづらい。

だがカールは違った。

魔法使い並みの鮮明さ、そして力強さを持ち合わせている。


「よう!アニエス。...ってどうしたんだその血は!?」


僕は検問所のおじさんに話したように、森の入り口近くの開けた場所でマンティスに襲われたこと、それを倒したことを検問所のおじさんい報告をしに行っていたことをカールに同じように話した。


「そうだったのか......できれば次は魔物を倒しに行くときは一緒に行かせてくれ。まだ新人の冒険者なのにマンティスを倒せたのはすごいと思うが、無理はするんじゃないぞ」


最近はどこも危険だから気を付けなきゃいけないと、とても心配そうな顔をした。


他にも相談があれば出来るだけ助ける、と言ってきた。

ならばである。

この際、カールに衣服について聞いてみることにした。


「わかった。ひとまずローブあるからこれでも着ておけ」

「ありがとうございます」


いいところがあるとのことで、カールについていく。


カールの横にピタリとはぐれないようについて行ってる途中、何件か古着屋さんがあった。

チラチラと見ながらどこだろうな、と考えていると古臭い感じの防具屋の目の前に着いた。


本来は店の中まで客引きのために付けられた窓ガラスも汚れのせいで、一切といっていいほど中の様子が確認できないようになっていた。


「外観はちょっとアレだが、中に入れば大丈夫だ」


そういってきたのだがなんだがちょっと怖くなってきて、誘拐じゃないだろうか?と思っていたが、カールに入りなと呼ばれてしまった。


本当に大丈夫なのだろうかと恐る恐る扉を開けて中を覗いてみると、

店の外観とは違い綺麗に掃除が行き届いた、清潔感のあるお店にびっくりしてしまった。


「ん?カールか、今日はどうした」


椅子に座っていたのは燃えるような真っ赤な色をした髪を持つ筋骨隆々のおじいちゃんだった。

けど、身長は僕よりも低くい。子供ぐらいの身長をしている。


「今日はこの子の新しい装備をな。いいのを選んでくれ」


そうか、と言いこちらをみる。


「俺は見ての通りドワーフ(小人族)の鍛冶師ビルドだ」


おおぉドワーフなのか!

伝説の種族で一生会えないと思っていたけど、まさか話すことができるなんて感動だ。


「それにしてもカールが連れて来るなんて、ずいぶん世話を焼かれてるな。名前は?」

「アニエスです」


普段からカールは人助けしてそうだが。

実はそうじゃないのか?


カールを見る。がすぐに目をそらされた。

ビルドはカールをみてニヤニヤしていた。


(……何か企んでる?)


「それにしてもずいぶんとボロボロだな。新人冒険者なのになにか無理したか」

「森でマンティスと遭遇しちゃって破れちゃいました」

「ほ~、それは災難だったな」


ビルドは店の中を回り始めた。


「いまちょうどいいのがある。...よし、この鎖帷子(くさりかたびら)なんてどうだよ。

いい感じのローブもつけてやるぜ」


丁寧に鎖帷子を渡してくる。

手でもつと、意外と軽くて長時間着ても疲れなさそう。

女の子になった僕でも十分大丈夫だとおもった。


それにローブをつけてくれるのは助かる。

僕は女の子らしい服はわからないからね。

ほんとうにありがたい。


「すこし薄いが、魔法合金を使ってるから通常の鉄よりも軽く、頑丈にできてる。

雨風や魔物の返り血に汗がついても錆びることはない。コストの割に良いのが作れたんだが、男どもには小さいから中々買い手が付かなかったんだ」


じゃあなんで作ったんだよ。

そうツッコミたいが、喉の奥へ飲み込んだ。


「どうだ?安くしとくぜ」


今日だけでもマンティスだけで何回も体が傷ついてしまっていた。今後も死と隣り合わせの状況が続いてしまうかもしれないだろう。

魔物と戦う以上安全ではない。

買わない選択肢はないだろうと思い、購入。


いのちだいじに、だ。


「嬢ちゃんわかってるねぇ!」


ガハハハッと豪快な笑い声をあげてお金を受け取る。


「更衣室はあそこだ、ゆっくりでいいからな」


あと破けた服の代わりになるだろうと新しい服をのをくれた。

しかし、こっちもまたスカートだ。

なぜ持ってるのやら疑問が湧くが、受け取る。

けど、他にも数着必要だな。同じものばっかりじゃあ良くない。


更衣室に入ると正面に鏡があり、近くにハンガーが掛けられてる普通の更衣室だった。


鎖帷子を着るために、

破れた服を脱いでから気づいた。気づいてしまった。


エスのような女の子がいることに。

目の前の鏡にエスと瓜二つの美少女がいたのだ。

正確には僕がだった。


今まで自分が女の子になっていた認識はもちろんあった。

ただまあ、まさかエスとほぼ同じ姿だとは思いもしなかった。


違う点と言えば髪の毛が綺麗なブロンドヘアだということだ。

茶髪のエスとは違い、煌めくようなブロンドヘア。

エスより少し長いぐらいだろう。


1000年に1人の美少女と言えば、みんながそうだろうと、うなずくかもしれないほどであった。

思わず自分の見惚れてしまいそうだ。


「カール!お前がまさか恋をするなんてなあ!信じらんねぇ!ガハハハ!」

「うるせぇ!」


突然の出来事に固まってしまったが、カールたちが何かを話し合っている声に気づいて急いで着替え始める。


それにしても、恥ずかしい。ほっぺたが赤くなってるのが、みなくても感じる。

エスと瓜二つだった。

姉妹と言われても納得してしまうほど似ていた。


僕の体だけどエスと同じ体でもあると思ってしまうと、罪悪感が湧き始めて鏡から目をそらし、素早く鎖帷子と服を着て急いで更衣室から逃げ出した。


「おっ?来た来た。ローブもいい感じじゃないか。それとな。あともう1つ、嬢ちゃんへプレゼントだ。これはカールからだぜ」


ビルドはそう言って何か持ってきた。

持ってきたのは淡いピンク色のブレスレットだった。

ガラスのように透明で、光に当てれば宝石のように煌めくのがとても神秘的だ。


「これはブバリアって花をイメージして作ったブレスレットだ。利き手でも付けやすいように工夫して作ったんだ」


ビルドは丁寧に包む様にして渡してくる。


受け取ったブレスレットを右手に付けてみると、

お花の優しい匂いが自分の周りを囲む。とても癒される。

疲れた心を回復させてくれた。


「このブレスレット付けてる間は、病気にあまりかかりにくくなるんだ。効果はほぼ永久だ」


つけてるだけで?とってもすごいじゃないか。

でも。


「急にどうしてですか?」


見た目的にも高価なものだとは、僕のような一般人でも分かるほど、とても素敵なブレスレットだった。

こんなに凄いものをどうしてかと、思わず聞いてしまう。


「これは安全を祈願しての贈り物だ。これからも冒険者として生きてくためにも安全を祈ってる」

「心配だな」


僕の為、わざわざ用意してくれたらしい。


「本当にいただいてもよろしいのですか?」カールに聞く。

「そのぐらい構わねぇよ」


俺が勝手に買っただけだから、アニエスは気にすることは無いと言った。

最後に、「まぁ失くしたらタダじゃおかねぇぞ?」と不敵に笑うのだった。


その光景をビルドは相変わらずニヤニヤしてみていた。


「今日は本当にありがとうございました。こんな時間まで付き合ってもらって」


店の外に出るとすっかり日が落ち始め、空は赤く染まっていた。


町にはところどころに家や宿から明かりが窓から漏れ出して、夜の飲食店にはたくさんの人が腰かけて、昼よりも大きく賑わい出していたのだった。


「いいって事よ。また今日みたいに困ったことがあったらできる範囲で協力してやるよ」


カールの顔が夕焼けに真っ赤に照らされながらそう言ってくれ。

その顔はカッコよくて頼もしくみえた。


気を付けて帰れよと言いながら軽く手を振って人ごみの中へ入っていく。

僕も宿に帰ることにした。


しかし予備の服を買い忘れたので、後日また来ることになる。





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