第17話『王子様、旅に出る』
このパットの大活躍は、すぐ村中に知れ渡ることになった。
村で盗みを働いたという過去も何のその、盗人少女の評価はうなぎのぼり。
村のヒーローとして君臨していた俺としては、すっかりお株を奪われた形となった。
後日、クラウディアはパットを犯人扱いしたことを謝りに来たそうだ。
詳しく話を聞いてはいないが、まだまだ溝を埋めるとは行かなそうだった。
それでも、いつかはわだかまりなく話ができる日も来るだろう。
彼女たちは、これからも同じ村で暮らし続けるのだから。
そして、オズマの命令のもとで盗みを働いたという男たち。
彼らはジードの前で申し開きの場を与えられることになり、その場には俺も同席させてもらった。
話をじっくりと聞いた後、寛大な村長は罪を犯した彼らをこの村に受け入れることを決めた(ただし、念の為に試用期間付き)。
どれだけネーフェの人々の気が優しくても、はじめのうちは様々な偏見や誤解の目が彼らに浴びせられるかもしれない。
だけど、努力次第ではそれをひっくり返すことも可能だ。
そのことは、もうパットという少女が証明済みなのだから。
そして、もう一つの重要案件──。
この島にもう一つ、善良な人々が住む村がある、ということ。
パットが聞いたところによれば、ここからほぼ真東に位置する場所にあるらしい。
俺はほぼ真南からこの村に来たし、ジードたちは島の西側から故郷に似た地を求めてここへとやってきた。
だから、この島の東側のことは誰も知らない。
もしも話が本当だとすれば、決して無視してはおけなかった。
2つの村が協力すれば、資源を融通し合うこともできるだろうし、村同士で貿易をすることも可能だ。
人的な交流が図られれば、この閉じた島の環境が少しは改善される。
どんな人間が住んでいるかわからないが、互いに手を取り合うことができればこの島でもっと豊かに暮らせるはずだ。
じゃあ、誰がその村にどうやって行くか、という話になるわけで──。
それは結局、俺が行くことになった。
道中現れるかもしれない獣や罪人を退けることができるのが、俺しかいないからだ。
「……じゃあ、行ってくる」
「頼みましたぞ、王子どの」
「きちんと帰ってきてくださいね。無事をお祈りしています……」
「王子ならきっと大丈夫っス」
あくる日の朝。
村じゅうの人々に見送られ、俺はネーフェを後にした。
初めてここを訪れたときとは違い、その足取りは力強かった。
そよ風がふわりと俺の背中を押してくれた。
その風に、微かに慣れ親しんだネーフェの村の香りが混じっていた。
【了】
PVやブックマーク獲得数、その他データから、このお話はここで終了が良いと判断しました。
色々と設定を生かしきれなかったと思います。
次作を書くことがあれば、反省を繋げていきたいです。




