プロローグ〜BOWS会場にて
Re:crossWORLD 「color by numbers」
第一話配信しました。
はじめまして。LA noteです。
異世界を舞台にした、SFロボットバトルの始まりです。
是非読んでみて下さい。
おおおおお!」―――――BOWS試験会場内に歓声が上がる。
ARO本部BOWS試験会場内。
先程行われた試験の結果が大画面モニターに映し出された。
モニターの前に自然と人だかりが出来ている。
「今回の注目は、この505番と512番だな!」
「505番の索敵能力が群を抜いてるな!」
「512番の得点もすごい!」
「何でも512番は、あの天道 京華の妹らしいぞ!」
「あの2色紋の?」
ギャラリーと呼ばれるBOWS卒業生たちが会場に集まりそんな会話をしていた。
BOWS。
国が運営する対ラグナレク機関の育成学校の名称。
Anti Ragnarok Organization 。
アンチ.ラグナレク.オーガナイゼーション。
通称アローと呼ばれるこの機関は、大阪港の一画に、かつてIR、統合型リゾート Integrated Resortとして、カジノの併設を認める総合娯楽施設区域として指定された広大な跡地に本部を構える。
ここでは主に機動巨人と呼ばれる人型兵器の操縦者とそれを補佐する添乗員と呼ばれる人員の育成が行われていた。
「模擬戦を行いますので、合格者の方たちは、模擬戦エリアへ移動をお願いします!」
場内にアナウンスが流れる。
アナウンスに促されて、ブリーフィングルームと呼ばれる部屋に全員が揃い、それぞれの番号の票が置かれた席についた。
「これより、50分後に模擬戦を行います。ペアは、番号順で隣の人と組んでいただき、それぞれ操縦者と添乗員を交互に交代していただきます。」
AROの制服を着た試験官から説明がある。
襟元の階級章が2色、2色紋と呼ばれる、高官であるのがわかる。
「この後、時間まで各自ペアで模擬戦の準備をしてもらいます。各員それまでに更衣室に用意してある専用の操縦服に着替えてここへ集合!以上」
試験管は、一通りの説明を終えると部屋を退席した。
「ねぇ、あなた、さっきの試験内容でよく残れたものね!」
512番と書かれた名札を付けた少女が高圧的に声をかける。
栗色の長い髪を2つ括りにしている。
「天道 明日華だ!」
512番の名札に気付いた受験生が呟くのが聞こえた。
声をかけられた黒髪の受験生は、「は…はい。」と答えるとその小さな体を強張らせ、その姿はより一層小さく見えた。
試験の合格者は通常1組〜3組。
その回によって多少ばらつきがある。
倍率が回を重ねる毎に高くなるのは当然で受験生同士のこういったライバルへの牽制は日常茶飯事だった。
何度も受験に失敗し再度挑戦する人数も毎回増えていくので無理もない。
試験の常連たちの中には、あからさまに妨害行為をする者なども、けして少なくは無かった。
「見たところ、今回の試験であなたが合格することは無さそうね。棄権するなら今のうちですわよ!」
天道 明日華と呼ばれたその生徒は高圧的にそう言い放つ。
「きっ、棄権は…しません!絶対に…」小柄な黒髪の少女が小さな声だが強い口調で答える。
「フン!生意気ね!」
意外な反論に少し戸惑いながら天道 明日華と呼ばれた生徒は取り巻きと共に自分の席に戻る。
「あの、私とチームですよね…」そう言って黒髪の小柄な少女が隣の席に座っている受験生に恐る恐る声をかけた。
メッシュの様な銀髪混じりの黒髪を後ろで一つ括りにしている。
長い髪の毛先には赤毛が少し混じっていた。
節目がちの長い睫毛が印象的で左目の下にホクロがある。
かなりの美人だ。
声をかけられたその受験生は無言で頷いた。
読んでいただいてありがとうございます。
続きは明日の17時に更新予定です。
同時配信中のRe:cross WORLD
異界探訪ユミルギカース。
灰色の月と赤い魔女
も併せて読んでいただくとより一層楽しんでいただけると思います。そちらもよろしくお願いします。