マッチ売りの少女 in サマー
「マッチ……マッチはいりませんか……?」
素足にボロを纏った幼き少女は、今日もマッチを売り歩きながら彷徨っていました。
真夏のビーチで……
熱された砂浜は少女の素足を焼き、ボロが汗で肌に張り付き不快この上あひません。マッチの箱は熱と湿気でふやけ、既に湿気ってしまっています。
「もうダメ…………」
少女はその場に座り込み、隣に座る家族連れを覗きました。
ビーチパラソルの下で涼しそうにドリンクやアイスを楽しむ家族がとても羨ましく思いました。何故なら今の少女にはドリンクもアイスも楽しい家族すら居ないのです。
──スッ
少女は静かにマッチを擦りました…………しかし湿気っているので火が着くわけがありません。
ココナツオイルでアーユルヴェーダな貴婦人が少女を一目見て鼻で笑いました。オールインクルーシブなリゾートを満喫する貴婦人にとって、少女は捨てられた子犬以下なのです。
少女はマッチを擦る力も無くなり、ついに力尽きました。マッチが砂浜の上に落ち熱を帯びていきます。
ココナツオイルでテカテカな貴婦人が少女の隣を通り過ぎます。まるで少女が視界に入っていないかのように気にも止めません。
その時、砂浜と灼熱の太陽で熱を帯びたマッチが自然発火し、貴婦人の体に塗られたココナツオイルに引火しました。
貴婦人は火だるまになり悲鳴を上げながら海へと飛び込みました。
「こりゃあいい!」
倒れる少女の傍らから、マッチが飛ぶように無くなり、小銭が雨のように降り注ぎました。お金の無い者はココナッツや食べ物を置いていきます。
少女は久々の食べ物をその場で食らいつき、小銭を握り締めよろよろとビーチを後にしました。
「やっぱり夏は似合わないわね……」
少女は日焼けした肌を見てため息をつきました。
読んで頂きましてありがとうございます!!
ビキニに頭巾を着けてマッチを売り歩く少女を想像したらとても興奮しました!
(*´д`*)