黒木 ふみ 【終5】
そして放課後、私達は約束通り占いの館へ。
学生割りが効くのはここのお店でしか無く、お手ごろの価格で占いが受けられるのだ。
「なんか怖いね…薄暗いというか、雰囲気が…」
友香ちゃんはビビりで私の腕にくっ付いていた。
「あはは、まぁ、占いだしね。雰囲気から入るんじゃない?」
ふーん。と言いいながら私の腕を強く抱き締めてまるで離れようとはしない。
「こちらです。ツクヨミ先生が担当になりますので、こちらの部屋でお待ちください。」
学生だと言うのに、接客態度は花丸で、丁寧に飲み物までサービスしてくれたのだ。
「おやおや、これはこれは可愛い子達だね。今日は何を見に来たんだい?」
部屋で待っていると、老婆という程とは行かないが、おばあちゃんが対面の席へと座った。
恐らく、私達を担当するツクヨミと言う占い師である。
「初めまして。私達占いという物をあまり詳しくない為、少し説明をしてくれるとありがたいです」
「ふむふむ。ではまず、数秘術は生年月日から人の本質と性格を見る事ができるんじゃ。」
性格か…。予め知れる事は優位に働くが
別にそれはこれから関わっていく上で知っていけばいいだけの事だ。
「他には、タロットという物があって、ありとあらゆる事が占う事ができる。たとえば、恋人はいつできるのか。とか好きな人が何を思っているのか、とかじゃの。」
それだ。私は友香ちゃんを助けてあげたい。
友香ちゃんの未来がどういうふうになって行くのかを見るのはどうだろうか?
だけど、それだと一緒に来た意味が無くなってしまう。
「私と、ふみちゃんの未来をみてもらうのは?」
…それだ!!
私と友香ちゃんの未来をみてもらう事で、今後、友香ちゃんがどうなって行くのかを必然的に見ることが出来る。
だが、悪魔で占い。全てを信じる訳では無いが、参考にはなるだろう。
「それでお願いします」
「よかろう、では始めていこうかの」
―――――――――――――――――――
「…ふむ。なるほどのう。カードはこう出ておる。」
これから2人に幾度とない試練が待受られ、
その試練は2人の仲に亀裂が入る程の物だと。
それを乗り越えるには多大な信頼と常人には理解し難い程の愛情が必要なのだと。
「ワシはの、若いもん。占いは娯楽で、当たらなくていいと思っておる。それは占い師のワシが言うのもなんだが、未来という物は不確定で無ければならない。でないと乗り越えられるものも乗り越えれないのじゃ。」
これは長年の占い師の言葉なのだろう。
ありとあらゆる人達占ってきた。
だからこその、占い師の言葉。
「時に、大占い師は言った。人類に危機が迫っていると。じゃが、外れた。幾度と無くそのような占いは外れてきた。ワシにはそのような占いは出来ん。なぜか?」
占い師は言った。
人類全体は滅びるのではなく、滅びに進んでいるからだと。
自然を崩し、地球に有害な物を撒き散らす。
それは、人類の開拓が進む一方でどこかで不幸が舞い落ちているからである。
人類が繁栄に進む中、滅びは刻一刻と進んでいるからだと。
占い師が占いをしようがしなかろうが、人類はやがて自らの手で首を絞めるのだと。
いずれ滅ぶのが分かっているからこそ、いつ滅ぶのかの占いはしないという事なのだろう。
外れたほうが占いらしい。と言う占い師の言葉であった。
「じゃが、皮肉にもワシの占いはよく当たる。いや、当たってしまう。と言った方がいいじゃろう、お主らの担当がたまたまワシ出会った事も何かの縁じゃ。ここからはそれに従おう」
「ここで出た、常人には理解し難い愛情。とあるじゃろ?これは恐らく、お主らしか把握出来ない何か。を把握する事じゃ。それが何かは分からんが、ワシの感じゃが、どちらかが今何らかの目的の為に関係が続き理にかなった行動をしようとしておる。それを共有することじゃ。」
当たっている。私は今、友香ちゃんに助けを求めて欲しくて、ここまでやってきた。
それはきっと、一般的な友人ではなく、どこか理屈な部分で動いている。
もちろん、友香ちゃんを大事な友達として認識しているが、そうなった感情も元はと言えば彼女の環境を良くしたい、解放されて欲しい。という勝手な願望。
それを共有する?
どうやって?
「ふむ。その顔は当たっていたと言うことかね?お嬢ちゃん。」
と、考え込んでいた私に声をかけたのかと思ったが占い師が声を掛けたのは私ではなく、友香ちゃんであった。
「え?あ…」
すごく焦って困った顔をした彼女は言った。
「はい…。当たっています。だけど、どうしたらいいのか。」
当たっていた…?彼女も?
彼女にも私に共有したいことがあるだろうか?
だとしたらもうすこしなのかもしれない。
私を頼ってくれる時が来るのが…。
「ふむ。お嬢ちゃん。時を待て。それでいい。」
時を…待つ…?
あの男にも言われた言葉、
ただ、待てばいい。
まだ待つの?いつまで待てばいい?
私はいつになったら、彼女を助けられるの?
「待つ…。わかりました。いつまでも待ちます。希望が見えるまで」
友香ちゃんは納得したのか、清々しい顔になっていた。
分からない。私は何を待てばいい?
「そちらのお嬢ちゃんは納得したかの?」
「いえ。全く。私に何か出来る事はあるのでしょうか?」
「ふむ。それは知らん。しかし、カードには待て。としか出てこん。状況がただただ、一定であると。しかし、なにかが起こることは確かじゃ。」
「そ、そうですか。」
納得は出来ないが、今の所私にはまだ何も出来ない。
結局まだ待つことしかできないのか。
私は無力なのだろう。
「それじゃあの。また何かあれば来るといい。こう見えてワシは多忙での。次からは予約して来るといい。」
そう言って部屋を後にした占い師。
私達はそれに続き店を出た。
「私はね、ふみちゃん、あの占い師の事結構好きだよ。なんと言うか偽らないし、私達に媚びを売らない。なんと言うか尊敬する」
確かに、客であるはずの私達の顔色を一切伺わなかった。
学生で子供である。と言う前提でも
揚げ足を取るような言い方も無く、自分流で占ってくれた。
尚且つ、私達の心情を当てて、それに見合う解決策を提示してくれた。
「常人には理解し難い愛情」とはなんなのだろうか?
それを得る為に、私達には一体なにが必要なのだろう。
「そうだね、ところでさ、今気付いたんだけど、やっと敬語使わなくなってきたね」
はっ!と驚いたような顔をした彼女は笑い、ふみちゃんのおかげと一言添えたのだった。




