神崎美麗【中3】
イベント開催日。
私の絵が人に見られる日。
私の絵が評価される日。
この日で何かが変わればいいと、そう切実に思う。
私は私が書いた絵を見て欲しい訳ではなかった。
私。神崎美麗が生きている、この重要性を感じて欲しいのだ。
父には悪いが、
絵がいくらで売れる。
絵がすごい。
そんな事は端から端まで私にとってどうでもよかったのだ。
「では、そのように、手配させていただきます。神崎様と神崎美麗様は、指定の時間に特別席の方にご案内させてもらいますので、それまでの時間この会場で好きにしてもらってかまいません。では、失礼致します。」
スタッフであろう者が一礼をし、控え室から出ていく。
この会場はとても大きく、物凄い人で溢れかえっていた。
聞けば、海外のアーティストや絵描き、政治家、大統領までが参加していたのだ。
それほどの会場に初めて書いた私の絵が展示される。いや、もう既にされているのだ。
恥ずかしさと高揚が入り浸る中、不甲斐無さを感じていた。
展示された絵を見ていると、悲しい感情を抱けたり、楽しい感情を抱けたのだ。
そして、そのどれもが、多大な努力の末、完成されている。
その多大な努力をした者の物は、不思議とどんな形であれ、感情が湧いてくるのである。
この人はどんな気持ちでこの絵を書いていたのか、想像してしまう程に。
しかし、そんな事はどうでもよかった。
絵を夢中になって見ていた事に気が付くと、隣に居たはずの父の姿が無く、この建物は凄く大きく、人が溢れかえっていて、1人じゃ心細く不安だった私は父を探しに会場をウロウロし始めた。




