神崎美麗【中2】
絵を暫く眺めていた父はこの絵を出展してみはどうかと提案してきた。
いくらなんでもそれは親バカが過ぎると、私は思ったのだが、ここまで喜んでいる父に私は嬉しく思った。
心が満たされた。
私が頑張って初めて書いた絵にそこまでの歓喜してくれる事に、とてつもなく私に幸福感を味合わせるのだ。
「お父様の気持ちは嬉しく思います。ですが、流石にこの様な絵が出展できるとは思えません。それに、もし私の絵が評価されなければ、父の恥になります。」
これは正直な気持ちだ。
父の書いた絵を1度見た事があり、それはとても言葉で表現出来ないものであった。
素人の私ですらも、一目見ただけで感情が伝わってきたのだから。
それに比べ、私の絵は何も感じ取ることが出来ない。
それこそ、ただ絵が上手い。という表現が相応しいと思えたのだ。
「そんな事は気にしなくても良い。この絵になんの意味が無かろうとも、私はこの絵が気に入った。それに、なんの意味がなくとも、そこに意味を見出してしまうのが人間だよ。」
それともう一つ。この絵を出展してこそ、そこに意味ができる。と父はそう言った。
そこまで言われてしまうと反論出来なくなり、出展する事を渋々、了解したのだった。
イベントの開催は今日を含めて四日後。
応募期間は3日前まであり、今日を含めてまだ二日の猶予があった。
イベント自体にはあまり興味が無く、絵自体にも興味が無いのだが、父がここまで喜んでくれていたので、私はそれ以上の重要性を重視しなかったのだ。
「それにこの絵が売れたら寄付に回せばいい、お金はいくらあっても困らないからな」