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特訓開始

*関門外→野原

ジーハは野原を歩きながら講釈を始めた。

「まず、魔法とは何か、から始めようか。この世界には一部地域の例外を除いて、魔力が満ちている。」

「そして、ヒト以外の生物はそれを体内器官に取り込み、活用するという進化をしていた。なぜヒトが体内に取り込む道を取らなかったのか。それは、体内に取り込む事で発生する有害性に耐える者が少数しか発生せず、異質な存在としてほとんどの集落で差別されていたからだ。そしてそのまま時が流れ、杖や魔方陣を用いて魔法を生み出す技術を発見した。だから、器官が発達しなかったんだ。」

「質問、いいですか?」

「なんだ?」

「なぜ杖や魔方陣を発見するに至ったんですか?」

アレアの質問にジーハは困り顔をした。

「いい質問だけど…実はよく分かってない。まあ一番有力なのは、大昔は魔力を使わずに火を使っていた。しかし、それでは腐るのが異様に早い肉を食えない。もしやと考え魔力を扱える者にやらせるとすぐ火が付いた。そして、文明が発達するにつれ火だけでなく雨を降らせたりするその存在や獣の器官が研究され、杖や魔方陣に発展した。って説だね。」

「…有難いけど不憫ですね。」

「まあ特殊な技術は疎ましがられるってのは、よくあることさ。」

そういった講釈がしばらく続いた後。


「今さらだけどさ。」

と、前押しし、

「母親の意見は聞かないの?」

と、アレアにジーハが聞いた。

「…普通は母にも言うべきでしょうね。」

「でも、母は心配性が過ぎるんですよ。こういう手段を使わなきゃ、ボクは魔術師になるのを諦めなきゃいけなくなるのに。」

言い訳のように話していたが、ジーハはそれを無視し、

「そうか。ま、羊皮紙はやるからたまには手紙送ってやりなよ?」

と返した。

「はい。じゃ、続きをお願いします。」

「熱心なのは良いけどさ。気を付けなよ?」

「わかってますよ。」

「ならいいけど。魔術のコントロールの仕方は知ってるよね。」

「はい。一つ目は、術の行使をイメージしつつ周りから魔力を集約し、放つ。二つ目は、契約した精霊に命じて放つ。ですよね。」

アレアの答えに、ジーハはニヤリと笑うと

「上出来だ。」

と、称賛した。

「ところで、ジーハさんって魔力で体ができてるって言ってましたけど、その場合全部使われたりしないんですか?」

「問題ないね。だって使う分だけ使えるし。」

「あっ、そうか。そうですよね。」

「ま、その話は置いといて風の魔術から始めようか。」

「やっと始められるんですね!」

「あぁ、そうだ。じゃ、これ、杖…というか同じような感じで使える式媒体ね。」

そう言って、ジーハはリュックから腕輪を出し、渡した。

「風のイメージ、流動。景色を変えたり香りを運んだりといった流動をイメージして私に放て。」

「え?大丈夫なんですか?」

「素人の風でダメージ食らってりゃ、教師なんかやってられなかったよ。」

「そういうもんなんですか?」

「あぁ、そういうもんだ。さあ来い!」

日が暮れるまで、その特訓は続いた。


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