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美少女になれば幸せになれるとこの時は信じていたんだ  作者: 草壁輝美
第1章 女神のような美少女爆誕までの物語
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第7話 魔族と人間。この2種族が並ぶとかなりの確率で戦争をしている気がする。

大陸は大別して2つの種族に分かれる。

魔族と人間。


見た目だけは大差がない。

人間のような魔族と魔族のような人間といる。

吸血鬼のように見事な犬歯があるなど、あからさまに違う場合もあれば、髪の色が違うだけの場合もある。

見た目だけで分けることは困難である。


ではどうやって分けるのか。

まず基本は住処によって分かれる。

魔族と人間、それぞれの住処は北と南に大きく分かれている。

北が魔族で南が人間。

大陸は1つではないため、この"大陸は"という条件付きだが、住処が異なることが目安となる。

つまり、生活する国が違う。

そのため、方言のようなものがあり、見た目が似通っていても、方言のように話し方で相手の種族がわかる。


だが、そのような違いがなくても、この世界の住人ならば、会った瞬間わかる。

それは遺伝子宿っているとしか言えない感覚で、相手が魔族か人間か、つまり敵か味方か細胞レベルで感じることができるのだ。


これは、それぞれの創造主たる存在が仲たがいしていたことが要因と考えられている。

遥か昔、紙も存在しない時代に、人間と魔族が戦争を始めたばかりの頃の様子が壁に描かれた遺跡がいくつも発見されている。


その壁画には、魔族と人間とそれぞれを率いる巨大な存在が描かれているものがほとんどであった。

いったい何のために描かれたのかは、誰もわからない。

いったいだれが何を目的として描いたのか、何を伝えたかったのか。

ただ言えるのは、遺伝子レベルで感じる、相手の種族を憎む衝動と、壁画から伝わるメッセージでいまだに戦争は続いているということだ。


―――――――◆◆◆―――――――


ここ魔王城では、水晶石を見つめる1人の魔族がいた。

全身をローブで包む姿からは、男性か女性かもわからない。

誰もいないその空間で、全身を包むローブは過剰なまでの守秘性。


「……」


そんな魔族が見つめる先には、1つの水晶石。


「占い師曰く、魔王の因子を持つものが触ると黒く光るとのこと……」


光なのに黒いとはこれいかに。

そう思いながらぼんやりと水晶石を見つめる。

今頃はティアの奴が目標と接触しているはずだ。


人間の国にいらっしゃるとは……ひょっとして今代は人間なのか?

偉大なりしあのお方の力が人間に宿るとは考えられないが……。


とはいえ、もしそうならば人間の国になど置いておけない。

どれほど根拠が薄かろうとも、疑わしいのであれば確認することは必須。


見つめること数時間。

水晶石が黒く光った。


ふむ。占い師が言っていたことは本当だったのか?

未だに疑わしいが、特にリスクもない。

予定通り、ティアには攫ってもらうとしよう。


そう思い、魔族はティアへとメッセージを送る。

メッセージとは、ペアとなっている魔力結晶を振動させることによって送信する。

今回は水晶石が黒く光った場合,振動を送るという条件であるため、特に信号は決めていない。

振動は軽く魔力を込めるだけで送信される。

昔と比べれば、便利な時代になったものだ。


その後,魔力結晶が1回振動した。

これは任務完了の合図だ。

これで、魔王の因子を持つと思われる存在を確保できたということ。


……魔王の因子が人間に宿っていた場合、歴史上初となる。。

魔王の因子は魔族に繁栄をもたらす偉大なるあのお方の力。

信仰を持っていない奴らには、到底宿るものではないはずのもの。


このままでは人間を魔王として崇めることになってしまう可能性があるのか。

それを他の民達が良しとするか……。


その人間が魔王の力を存分に見せつけてくれれば、民達もきっと認めるだろう。

しかし、未だその力に目覚めていなかった場合、その人間を民達から守る必要が出てくる。


果たしてどのような存在に力が宿ったのか、その結果魔族にどのような未来が訪れるのか。

魔族の行く末を慮る魔族であった。


―――――――◆◆◆―――――――


先ほど首トンで気絶させられてからは、私はいつもの天国にいました。

いつもの天国という響きはちょっと思うところがありますが、まぁいつもの光景です。


この世の中に転生してから早10年。ここに来た回数は数え切れません。

この空間では私の考えたことはすべてマコト様に筒抜け。

気が付けば思考回路ですら敬語を外せなくなってしまったのはこの辺に原因があるわけですね。


「いったい誰に説明しているのさ」


「いえ、特にそういったわけではないですが、状況整理みたいなものです」


目の前にいるマコト様は、繰り返しあっているせいか、かなり素の態度となっております。

まぁ私もちょくちょく敬語ではなくなってしまうときもありますし、家族のようなものですね。

神であるマコト様を家族扱いとするのは不敬かと思いますが。


「別に気にする必要はないよ。毎回かしこまられてもわたしも疲れちゃうし」


「私としても気楽で助かります。ところで、マコト様に聞きたいことがあるのですが」


「さっきの吸血鬼の話?」


パリポリと何かお菓子のようなものを口にしながら回答をするマコト様。

かなり見慣れてきましたが、そのだらしない顔であっても神々しさを感じる溢れる美貌に脳がクラクラしちゃいますね。

むしろ慣れたからか昔より強烈に感じます。

美人は3日で飽きるといいましたね、あれは嘘です。


「まぁその件ですね。なぜ私は捕まったのでしょうか」


「知らないよそんなの。私は神だけど、そんなすべての生物を監視しているわけじゃなし、個々の存在がどのような目的に沿って行動しているのかなんて、認識していない。できないことはないけど、意味も感じないしね」


「ふーむ、そうですか」


そして大きく欠伸をするマコト様。

最近のマコト様は本当に退屈そうです。

天国は確かにとても綺麗な場所ですが、面白い場所ではありません。

退屈になるのも仕方がないのでしょうか。


「それでは質問を変えます。魔族は私のような存在を探していたようです。しかし、"私のような存在"というのが何を指しているのか、私にはわかりません。マコト様によって転生させられた存在でしょうか?」


「いや、違うよ。わたしはエリスのことしか転生させていない。ていうか下界はマコト様のことを認識していないし、できないはず。答えを教えてあげるよ。それは私が授けた力。あの世界でいうところの、魔王の因子を君がもっているからさ」

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