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美少女になれば幸せになれるとこの時は信じていたんだ  作者: 草壁輝美
第1章 女神のような美少女爆誕までの物語
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第4話 退屈は時間を加速させる。長生きするためには、以下にしない人生を生きるかによるかと

入学式からしばらくの時が経ちました。

私ももう4年生、つまり10歳です。


魔力計測の後、教師から軽く尋問を受けましたが、特になんてことはありません。マコト様から言われたように、何もしていない。私は何も知らないと答えたのみ。それからは特に何事もなく、読み書きから始まり、魔術のことを学んできました。


この世界では成人となるのは16歳からとのことで、それまでは学校に通う必要があります。10年近く通うことになるのですが、それだけ学ぶ期間があれば、卒業する頃には魔力を目的に沿って使用する術は十分に身につきます。


そんな中、私は勤勉でありました。

10歳になる頃、つまり4年も経つ頃には16歳までに学ぶべき内容はほとんど学び切ってしまいました。

読み書きと算術のベースが、前世の経験によりできていたのが大きかったですね。


ここは日本で言うところの小学校に該当する場所な訳ですが、運動会や文化祭などの行事は一切なく、毎日ひたすらに魔術についての勉強ばかり。


体育も道徳もありません。どちらが優れた教育体系なのかはわかりませんが、短期間で修めてしまうのも頷けるというもの。


というか、娯楽がないので暇すぎて魔術を学ぶくらいしかやることがなかっただけですが。


ルーシーちゃんと話すか魔術について学ぶだけの毎日だったため、人生が加速し気がつけば4年。そんな中、ついに変化が起こりました。


「……私ってすごい美少女」


特別何かを努力した記憶はないけれど、私は10歳の時点でとんでもない美少女となりつつあります。髪は母親譲りの金髪。長髪の方が美少女っぽいかなと思い伸ばして、だいたい腰程度まで伸ばしています。枝毛は1本もない。発光しているのではないかというほど艶があり(油じゃないですよ)、触り心地は絹のよう。カツラにして売れば城くらい買えるのではないかと思います。


肌は太陽のように白く瑞々しい。ハリがあるのに柔らかく、女の子の肌と男の肌の違いに感動する毎日です。瞳はサファイアのような青色で、眼はパッチリと開かれており、鏡でみていると吸い込まれそうです。鼻はそれほど高くはありませんが、口は小さく、10歳にしては大人っぽい顔つきをしているかと思います。


ついでに身長は高めですね。140センチ程度でしょうか。まだまだ大きくなると思いますが、他の同年代と比べるとかなり大きめです。


発育はまだまだですが、少し胸が膨らみ始めた気がします。気がするだけですけど。下着などはつけていません。この世界にブラが存在するのは母親で確認済みですが、いつくらいの年齢からつけ始めるものなのでしょうか……その時のことを考えると気恥ずかしいものがありますね。


「もー、エリスちゃんいつまで鏡見てるの!早く行くよ!」


「はい、お待たせしてすみません。ルーシーちゃん」


おっと、自分の美少女っぷりに感動していたらルーシーちゃんを待たせてしまいました。


「何してたの?……って聞くまでもないよね」


「ええ、私って本当に美少女だなと思い、鏡を見ておりました」


そういうとルーシーちゃんはため息をつき、呆れ顔でこちらを見てきます。

ちなみに、ルーシーちゃんも美少女へと育ちました。私よりもかなり童顔ですが、オレンジ色の髪を肩より少し長いくらいまで伸ばし、いつも天真爛漫でとても愛らしいです。


瞳の色はルビーのように紅く、私と対照的ですね。仲良くなった少女が私とキャラが被らなくて良かったと安心します。


身長は私よりも小さいですが、発育は私よりいいです。というか、10歳で早くないですか?Cカップくらいはあるかと思います。私が知らないだけで、女の子とは本来こんなものですか?


「まぁ、確かにエリスちゃんは可愛いけど、そんなに自分のこと好き好きしてると、嫌われちゃうかもよ?」


「大丈夫です。私が私のことを好きでいれれば、他人からはどう思われても構いません。あ、ルーシーちゃんは別ですよ?私のことを好きでいてくれないと」


「はいはい、私は今更嫌ったりしないけどさ。こう、いつもやられると心配だなぁ」


私は傾国の美女となる予定です。それくらいの美女となれば、むしろ謙虚さが他人を傷つける場合もあるでしょう。というか、下手をすれば存在するだけで傷つけてしまいます。どうしても傷つけてしまうなら、考えても仕方がありません。


「まぁでも、最近エリスちゃんいっきに女の子っぽくなったもんね!気持ちはわかるよ!」


「ルーシーちゃんには言われたくないですね……」


ルーシーちゃんは男の子から人気が高い。いつも明るくみんなに優しいルーシーちゃんは、(私も含めて)みんなのアイドルだ。美少女の私を差し置いて……まぁルーシーちゃんなら仕方がない。

え?私?私はほら、先生とか大人の人から人気あるよ。いつも大人の人がいっぱい声をかけてくれます。色目使われるのはちょっと嫌な気分になりますが、日本と同じで、この国はロリコンがいっぱい。平和なことです。


「最近学校つまらないよねー。毎日同じことの繰り返しでさー。魔術の授業はおもしろいっちゃおもしろいんだけど。結局根本は同じっていうかさー」


「そうですね、魔術の基本的なことは私たちは学び終えてしまっているので、今教わっているのは応用に当たります。それも、道具の使い方とかそのようなレベルなので、ちょっと刺激が足りないかもしれないですね」


「だよねー。なんか面白いことないかなー」


ぶつくさと不満を垂れながら、私の横を歩くルーシーちゃん。

この世界の住民は、なぜか退屈を感じない。

私が退屈な理由は、周りが退屈していないに尽きる。

娯楽が存在しないだからか、退屈という概念が存在していないのではないかと思ったほどです。


「それじゃ次の休みの日、一緒に遊びましょうか」


「ほんと?何して遊ぶ?」


「まぁ慌てないでください。それまでに考えておきます」


ルーシーちゃんが退屈を覚えているのは、きっと私が娯楽を提供したからでしょう。しりとりや鬼ごっこなど、大した遊びではないですが、娯楽というものがないこの国においては画期的だったようで。とはいえ、ルーシーちゃんとしか遊んでいないのですが。


それからはたわいのない雑談をしながらルーシーちゃんを楽しみつつ、学校に向かう。

普段と変わらない日常。

しかし、私の知らないところで事態は動いていたのです。

いつから動いていたのかは伺い知りませんが、この日、私の人生にしばらくの間退屈がなくなるのでした。


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