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美少女になれば幸せになれるとこの時は信じていたんだ  作者: 草壁輝美
第1章 女神のような美少女爆誕までの物語
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第15話 魔力が身体に流される感覚は、相手から征服されているというか、独占欲というか独占されたい欲が刺激されます。

「それで、組手ということですがどういうことすればいいんです?」


「とりあえずエリスの実力が知りたい。魔術の心得はあるんだろ?」


「まぁあるといえばあります。ですが、私はまだ幼いですから学園でも攻撃性のある魔術は教わってませんよ?」


「魔術は1つ使えればどれを使うのにもそれほど難易度は変わらない。まだ魔術を使用するのに詠唱を使用していた頃は、どれほど正確に詠唱を記憶しているかを求められていたが、今は外部デバイスによるサポートによって魔術を実現しているものがほとんどだ。基本的には魔術はデバイスに魔力を流すだけで使用可能となっている。つまり、攻撃性のあるデバイスを使用すればそれだけでよいということだ」


そう、私の認識でも、魔術は昔の世界でイメージしていた神秘の力というよりは、魔力を電気の代わりとした科学的な産物に近い。

学園で習ったことも、どのような仕組みでそのデバイスが実現されているかと、魔術について習っているとは思えない内容でした。

元の世界でいうと、プログラミングが近いイメージですか。

パソコンのようなものはないですけど、とても興味深い内容でした。


「しかし、詠唱を用いていた時代があったように、魔術を使用するのに必ずしもデバイスは必要ではない。意思の力を物体に伝えることを、どのような手段で実現するか、そこが問われる。どのような人間でも使用できるよう、様々なデバイスが開発され、それを使用する文化が根付いているが、それだけでは強さにある程度限度ができてしまう」


「そこまではわかりました。それではこれから行う修行は、デバイスを使用しない方法で行うということでしょうか」


「そうだ。攻撃に用いるデバイスを使用すればある程度強くなれるが、本当の強者と呼べる存在はデバイスを使用しない。とくに、魔族の天敵と呼べる勇者と呼ばれる存在がいるのだが、奴らはデバイスを使用するよりも強固な干渉力を持った独自の武器を使用する。それは光の剣と呼ばれるものなのだが、それは今後必要になった場合に解説する。要するに、本当の強者に対抗するには、デバイスを使用せずに魔術を実現する必要がある。その修行だ」


「目的はわかりました。それで、組手とはどのようになるのでしょうか。あまり組手で修行を行う内容とは思えませんが」


「私と手をつなぐ。それで魔力を流してもらう」


「ほう」


なんですかそれ。

組手ってそういう意味ですか。

思っていたよりも楽しい修行なようですね。


「人の身体に魔力を流したことなどないのですが、流せるものなのですか?」


「可能だ。知っているかはわからないが、人間の身体に対して魔術をかけることはできない。生物は魔術の干渉に対する抵抗力が非常に高いからだ。だが、私は魔術への抵抗力を意識的に下げることが可能だ。普段運用するときはもちろんそんな使い方はしない。抵抗力を上げることにより相手の魔術に対抗するんだが、修行にはちょうどいい。エリスの干渉力の程度もわかるからな」


「そうですか」


マコト様からは生物に対する干渉は不可能と聞いていましたが、可能だったのですね。

うーん、マコト様も世界のすべてを把握しているわけではないということでしょうか。

もしくは、直接命を奪うような変化はできないのかも?

岩を射出して当てることによって間接的に壊すとかはできますが、発火させることはできないみたいな。

まぁ何でもいいです。

そもそもできないといわれるよりは納得できますし。

魔術で相手を直接変化させるなんて機会もきっとないでしょう。

興味を失ってきました。


それよりも手を繋ぎましょう。

手を繋ぐというのは個人的にかなり心を許す行為で、転生してからも親とルーシーちゃん以外で手を繋いだことがありません。

こう、特にそういったことはないと思いますが、誰かと手を繋ぐといけないことをしている気分になってしまうのです。

ティアと手を繋ぐ。

この謎の背徳感。

テンションが上がってきます。


「それではお手を拝借」


私はティアの手を取ります。

おお……。

何でしょう、この感覚。

思ったよりも小さいですね。

いや、私の手も小さいんですけど。

それに、私の身体の体温が高いのもあるかと思うのですが、体温が低いですね。

冷たいくらいです。

あと、大変白いですね。

青白いというところまではいかないですが、美白肌といいますか。

すべすべします。

テンションが上がりますね。

顔が熱くなってきました。


「どうした?」


「いえ、ティアの手が気持ちいいと思いまして」


「ふっ、やはり貴様もまだ子供ということか」


そういって優しい慈愛のこもった眼を向けてくるティア。

今日は随分と優しい姿を見せてくれます。

それに甘えるとしましょう。

軽く握りしめ、その手の感触を堪能します。

しかし、話も進めないといけないですね。


「魔術を使用する際は、物理的に変化させるために意思を対象の物体に魔力を通して送り込む認識です。私はティアに対してどのような意思を伝えればいいのでしょうか」


「そうだな。魔力を流し込めばいいだけなのだが、それをイメージしにくいというのであれば……。それでは私を宙に浮かせてみろ」


「わかりました」


といっても、あまりものを浮かせた経験もありません。

そもそも、デバイスを経由せずに魔術を使ったこともあまりないのですが。


「ふんっ……!」


意思を伝える方法がわからないので、繋いでいる手を通してティアが浮き上がるのをイメージしてみます。

……びくともしませんね。


「何をしている。デバイスを使ったことがあるなら、魔力の流し方くらいは知っているだろう」


「流したことはあるんですけど、今こうして改めてやろうとすると、できないんですよね。今まで無意識で行っていたというか、イメージしようとしてもできないんですよ」


「そうか。それじゃ私が手本を見せよう。流す感覚は伝えられないが、流される感覚を伝えることができる。流れる方向は違うが、パスが繋がる感覚はヒントとなるだろう」


そうティアは言ってすぐに、私の手を通して魔力が流れ込んでくる。

今まで流したことはあっても、流されたことは初めてで。

凄まじい早さで全身にティアの魔力が巡っていく。

ほのかに暖かく、なんていえばいいでしょうか、魔力が身体を巡る感覚は今までに経験のないもので。

異物を感じるのですが、悪い気分ではない、それはティアの魔力だからかもしれませんが。

まぁエナジードリンクを飲んだ時の感覚に近いです。

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