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美少女になれば幸せになれるとこの時は信じていたんだ  作者: 草壁輝美
第1章 女神のような美少女爆誕までの物語
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第9話 目を開けたらそこは夢の遊園地ではなく

目が覚めたら、そこはお城の一室だった。

なぜお城とわかるかといったら、窓の外を覗いたら、私がイメージするお城のようであったからと。

実はお城じゃない可能性もあります。


なぜこんなところに?

あの吸血鬼にさらわれたのでしょうか。


「目が覚めたようだな」


「あ、あなたは!」


あの時の女吸血鬼!

くっ、相変わらずの美貌ですね。

気絶する直前は黒いローブに身を包んでいましたが、今は黒色のドレスを纏っています。

……思ったよりおっぱいが大きいですね。

Dくらいでしょうか。

巨乳というほどではないですが、思ったよりは大きかったです。


しかし、私が目が覚めてからまだ5分ほどしか経っていないのに、どれだけ短間隔でウォッチしていたのでしょうか。

それほど私が起きるのが待ち遠しかったということでしょうかね。

でしたら、無理やり起こされなかっただけ大切に扱ってもらえそうですね。


「改めて自己紹介をさせてもらう。私はティア。見ての通り吸血鬼だ。貴様の名前は知っている。エリスだな。間違っていたら訂正してくれ」


「いいえ、間違いありません。ご丁寧にありがとうございます。よろしくお願いします、ティアさん」


「ティアでいい。さて、どこまで状況を理解している?」


「さて、私も目が覚めたばかりなので。とりあえず、魔族であるティアに誘拐をされたのですよね?それではここは魔族の領域ですか」


「そうだ。ふむ、冷静だな。人間の子供を誘拐したわけだから、もっと暴れられるかと思ったが」


んんー、どうでしょう。

私には10歳の気持ちなどわかりませんが、確かにあまり落ち着いていると怪しまれるかもしれませんね。


「いえいえ、慌ててはいるのですよ。暴れたりはしないです。私はおとなしい子供なのです。あと可愛い」


「私から全力で逃げ出そうとしていたくせに何がおとなしいのか……。あと、あまり自分で自分のことを可愛いといわないほうがいいぞ」


「お気になさらず」


この世界の人はみんな謙虚なようですね。

自分で自分を褒めてもいいでしょうに。

まぁ、私が思い描く美少女は、自分で自分のことを可愛いと思っている子なので、魔族に言われたとしてもこのスタンスは崩さないでいきましょう。

というか、魔族には人間の可愛さがわかるのでしょうか。


「それで、私をここまで連れてきた理由をよろしければ教えてほしいのですが」


とりあえず、早く話を進めてしまいたいです。

変に暴れて無駄に時間を過ごす意味はありません。

今解決できる要件で呼ばれたのであれば、急いで解決し、家に戻ります。

ルーシーちゃんに会える、最速の道を目指します。


「本当に冷静だな。もしかして、心当たりがあるのか?」


……質問に質問を返さないでほしいのですが。

ティアってちょっと人を疑いすぎだと思います。

それとも、やはり私が怪しいのでしょうか。


「いえいえ、心当たりなどありません。私は嘘はつきません。疑わずに私の言葉を受け入れてください」


「……まぁいい。連れてきた理由だったな。我々が探しているものがあるということは軽く伝えたと思うが、それがエリスだった。だから連れてきた」


「はぁ。でも、私が水晶石を触っても何も起きませんでしたよね?だから家に帰してもらえるようなことも言ってましたよね?」


「いいことを教えてやろう。魔族は嘘つきなんだ。エリスと違ってな」


ふむ。

まぁ、生きていればみんな嘘つきということで先の事件は許しましょう。

恨んでも何も生みません。

慈愛の精神です。


「わかりました。ティアたち魔族が探していた存在が私であり、逃げらたり助けを呼ばれたりなど、面倒なことにならないよう油断させてさらったと」


「まぁだいたいそれでいい」


「しかし、それで私に実際何をしてほしいのでしょうか。簡単なことであれば、わざわざ攫う必要がなかったかもしれません。ここでしかできない何かがあるのでしょうか」


「端的に言うとだ。今後、エリスには魔族として生きて行ってほしい」


「……は?」


ちょっと願いが曖昧過ぎて、解決案が思い浮かばないのですが。

私にここに永住しろということでしょうか。


「……ちなみに、魔族として生きていくとして、私はどこで生活をすれば?」


「この部屋を使ってもらえば問題ない。とくに不自由はないようにする。今はいないが、兵士が常にドアの前にいる。食事なども持って来させる。問題なく生きていけるはずだ」


つまり軟禁ですか。兵士が見張っているので私は出られない。

私が寝ていたベッドの感覚から、待遇は悪くないのはわかりますが、自由に行動できないのは厳しいですね。


「そうですか。……今のところ断る気なのですが、最終的に何を私にさせたいのか、目的を聞かせてもらえますか?」


「魔王様を孕み、産んで欲しい」


「それはまた……10歳の美少女に向かってとんでもないことをおっしゃいますね」


流石の私もそのセリフは冷や汗ものです。

なんですか、私に人間ではない何かの子供を孕めと。

想像するだけで身の毛がよだちます。


「人間は10歳程度で子を成せるようになると聞いたことがあるが」


「それはそうかもしれませんが、情操教育というものがあるでしょう。ちなみに私はまだ無理です」


とりあえず、これで私がここから逃げることは確定しました。

どれほど待遇が良くても、魔王を孕んでくれと頼まれて首を縦にふれません。

魔王を孕むことができれば、王族になるということで、人によっては喜びそうな話です。

しかし、私には無理です。

もっと平和に生きることができれば十分です。


「まて」


「……なんでしょう」


「エリスの動きをみていればわかるが、逃げようとしているだろう」


「それはそうじゃないですか。私は人間ですよ?魔族の王たる魔王を産むなんてこと、私にできるはずがないじゃないですか」


「だが、ここから逃げたところでエリスが産む子供は魔王になる。それはもう避けられない」


「ほ、ほほう」


いったいどういうことなんですマコト様?

魔王の因子って本当にそういうものなんですか?

ちょっともう一度説明を要求します!


美少女として転生した以上、いつかは子を孕んで産むことは覚悟していますが、魔族を産むことになるとまでは思っていませんでしたよ。

しかも確定って……。

どうしてそんなことになるんでしょうか。

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