No3 Dragon Nest R #1
『お金貸してくれない?』
なんだ?急に。くまちゃんの性格からして無駄遣いとかしそうにないし、なぜお金が必要か思いつかない。
「いつも言っているけど僕はお金にほとんど余裕ないから相当なことじゃないと貸せないよ。何円貸してほしいの?」
『最低でも十万円。』
「はい?僕がそんなに出せると思った?」
『そう言うと思ったわ。これ見てから言いなさい。』
と画面に映し出されたのはローソク足。つまり株かFXのことか。僕は中学ぐらいの時に無理矢理やらされたが、益も損も大してなく惰性になるからと辞めた記憶がある。
そして、画面が切り替わるとポートフォリオが映し出された。
2ヶ月で+50%!?確か最近の日経はヨコヨコだったはずなのでかなりすごい。これが本当で、継続してこれぐらいの成績なら一人で生活費を余裕で稼げるのでは。
『ふふん。私にかかればこんなものよ。株価予測プログラムをつくるのは簡単だったわね。機械学習にかければ一発だわ。』
なんというチート技。だけれどもそれだと矛盾が起きる。
「仮にそうだとすると公開株式の意味がなくならないか?ほぼ株価を予測できるなら大多数が導入するだろ?そうしたらそれを先手取るプログラムができての繰り返しになって株価が固定されないか?そうなったら配当や株主優待目当て以外の人ははなれていくと思うけど。」
『実際そうなったらしいね。だから公開株式はあるけれど株価は固定制よ。』
そういえばくまちゃんにはかなりのチート技がある。なぜ使わないんだ?
「なんで未来のデータとってこなかったの?」
『とってこれなかったのよ。まだ繋がらない…。早く帰りたい…。』
地雷を踏んでしまったようだ。
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「さて、今回やるゲームはDragon Nest Rだよ。」
『珍しいわね。私はてっきりApex Legendsかと思っていたわ。』
「僕もそうしようかと思ったけどね。みんなやってるし別に撮る必要ないかなと思ったんだよ。」
『それにしてもそのゲーム聞いたことないわね。』
「なかなか古めのゲームだからね。簡単に言うとシナリオ主体のアクション系MMORPGかな?」
『うん。わかんない。』
「実際にやってみればわかるよ。」
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『こんにちは。くまちゃんです。この頃は受験シーズンだそうですね。私は高等課程の受験までに帰れるのかしら…?』
「時間があるときに解析してるから待っててね。」
『と言いつつ時間が無くてほとんどできていないんでしょ?』
「ぐ…。そうだけどしょうがないじゃん。」
『別に攻めてないわよ。できる範囲でいいから頑張ってね。』
「う…うん。」
『それで今日やるゲームは…。Dragon Nest Rね。あれ、説明はどこに…?kumaS出しなさい。』
「当たり強くないか…?忘れていた僕も悪いけど。…これで。」
『やや古めのMMORPGでかなり人気があったそうよ。今はわからないらしいけど。最近Dragon Nest Mとしてモバイル版としていろいろ10分の1以下にしたものがリリースされたみたいね。ゲームとしてはシナリオ主体でアクション系らしいです。』
「僕が主にやっていた頃はRがついてなかったです。」
『こういったゲームだから初めからやったほうがいいのだろうけど、そんなに時間がないからkumaSが残したデータの続きからやっていくわ。』
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『はい。やって来ました。メインシナリオを進めていきます。』
シナリオを進めるも…
『もう…だめ。耐えられない…。』
『あれ?幽霊になってる?』
「どうやら
・くまちゃんがこのゲームの立ち回りを慣れていない
・同レベル帯でもインフレ
・回復アイテムのドロップ率低下
・ソロに厳しいバランス調整(チャームパットの引きつけ効果がなくなったのが痛かった)
などにより大苦戦。なので大部分カットしました。何とかクリアした回まで飛ばします。」
『とにかく時間は気にしないで逃げる。逃げる。逃げるわよ。』
『回復アイテムが二つもドロップ…!これを逃したらもう私はダメだわ。』
『やった。やったーーー!やっとクリアできたわ。箱を選ぶの?あぁ…はずれた。』
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『やっと戻れた…。もうしばらくやりたくはないわ。』
「お疲れ様。装備揃えれてなくてごめん。」
『ええ。今日はもう疲れて早く寝たいから早めに終わらせるわ。』
『みなさん。見てくださりありがとうございました。来月までまたね。』
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撮り終わるとくまちゃんは早くも画面外に消えてしまった。このカメラは動かせないので様子はわからないが寝たのだろう。
さて…。今月は課金をやめるか。トップランカーとして頑張っていたがそれ以上のリターンがあると知ればそっちにつぎ込んだほうがいいだろう。どれだけ貯まるかわからないが今月課金する予定だったお金はすべてくまちゃんに託そう。
結果 kumaSはクズに分類される側の人間