No2 Insurgency Sandstorm #1
ここ一月ぐらいくまちゃんにゲームを練習として好きなようにやらせている。ナイスプレイを撮って保存できればいいのだが、あいにくストレージがそこまで余裕がない。それと一発撮りが面白そうだからという理由で決めた日時に撮るように決めた。
もうそろそろ撮る時期かとくまちゃんと繋がっているところを引っ張り出す。あれ?ゲームしていない。
何もすることがなくて気が狂いそうなほど暇になるからしていると思ったが。いったい何をしているんだ?このカメラからは見れない。
『インターネットにつないでいろいろ見ているのよ。』
「でも前は繋げれないって言ってなかったけ?」
『それは私の時代のインターネットね。今つないでいるのはこの時代のインターネット。』
いつの間にそんなことを…。別に文句とかないが、何かとくまちゃんはハイスペックすぎるのではというのが最近感じるようになってきた。何歳かはわからないが、最初来た時も落ちつくのもよく考えるとかなり早かったし、PUBGもほぼ初めてという素ぶりを見せない動きをしていたし、極めつけは仕事のことで僕がぼそっとつぶやいたことに対して的確な解決策を出してきたのだ。かなり専門的なことだったのでとにかく脳内で試算してみてうまくいくことを確認し、驚いた。
それはさておき…
「それじゃあそろそろVTuber用の動画撮ろうか。」
『わかったわ。それで何をやるの?』
「Insurgency Sandstormを今回撮ろうかと。」
『あのゲームね…。ゲームのライブラリにあるやつからも思ったけどあんたそういうのばかりね。』
「そればっかりは僕の趣味だからしょうがないよ。懐に余裕ができたら希望のものを買ってもいいけど。」
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『みなさん、こんにちは!くまちゃんです。見事に前回の動画から一ヶ月ですね。遅いですね。ほんとにVTuberかというレベルですよね。kumaSのせいです。散々早くしろと言ってやりましょう。』
「やめて。僕の豆腐メンタルが崩れちゃう。」
『メンタルは関係ないわよ。私が励ましてあげるから。』
「酷いマッチポンプだ。」
『それにしてもほんとに編集も凝っているわけじゃないし普段何をしているの?』
「それは秘密で。逆に聞くけどこっちに飛ばされる前は何をしてたの?」
『ただの学生よ。後期中等課程の。先に言っておくけど授業形態はどちらも変わらないわよ。学校に行くことも後期中等課程から成績によって振り分けられるということも。違いがあるとすればelectric would で完結することと習熟度によって個人ごとに授業が違うことぐらいかしら。』
「いや、なんでこっちの時代のこと知ってるの?」
『こっちの時代のインターネットに繋げれたって言ったでしょ。暇だったから片っ端から知ってることを調べてったのよ。その中の一つにこれがあったというわけ。』
「そろそろゲーム始めようか。」
『そうね。で、今日は一体どのゲームをするの?』
「ほい。Insurgency Sandstorm。」
『またそういう系のゲーム…』
「そういうのが僕、好きだからねぇ。しばらく偏るのは諦めてね。」
『ということでInsurgency Sandstormをやっていきます。このゲームはリアル系fpsで中東を模して、とにかく現実に近づけたゲームです。大事なことってカンペに書いてあったから二回言ったわ。当然リアル系なのでダメージ量も……はあ。言わなきゃだめ?』
「いや、言わなくていいよ。視聴者の人もある程度察してるだろうし。」
『それではInsurgency Sandstormに行ってきます。』
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『Insurgency Sandstomに来ました。ではさっそく戦場に行きたいと思います。』
『一瞬でしたが気づきましたか?ホーム画面に今何人接続してあるのか出ますよ?』
『ここは急いでマークスマンを…よし!取れたわ!これで外からこっそり狙撃できる。』
『相手が出てくるのを狙えるポイントまで急いで…。』
『ふふふ。安全なところから狙撃するのいいわね。』
『きゃ!位置ばれたわね。ポイントを移動するわ。…痛みには慣れないわね。』
『く…。狙いをつけるのが遅かったわ。』
『え…!もうこんなところまで来ているわ。きゃぁぁぁぁ』
「殺された時に悲鳴をあげるのは相変わらずだね。」
『それは…実際にやってみればわかるわよ。』
「謹んで辞退します。」
『このチキン。』
『なかなか押されて…きゃぁぁぁぁ』
「さっき死ぬの早くなかった?」
『カバーに行ったら思っていたより敵が押していたのよ。』
「くまちゃんからカバーに行くという言葉が出るなんて…!成長したね。」
『逆にこの環境で成長しなかったらおかしいわよ。』
「撃ってきてるの正面の敵だよ。」
『あ。ほんとだわ。』
「さすがにヘリはSVDじゃ落とせないと思うよ。」
『ダメージ与えられるのならそれでいいじゃない。』
『あ。マークスマン取られた。武器が優れているアドバイザーに…あ。遠距離狙えないわね。しょうがないわね。ライフルマンの遠距離仕様で行こう。』
(相変わらず遠距離が基準なんだ。)
『んー。あそこか。じゃあしっかり回り道して敵を殺してサポート中心にしよ。』
『ふう。こんなところかしら。敵がほとんど通るところを狙おう。…え!?きゃぁぁぁぁ』
『あそこばれるの!?』
『あ、少し先行している人がいる。先に行ってもらって露払いしてもらおう。』
「仲間を盾にするとかくまちゃんなかなかえげつないね。」
『あの人たちこの感覚が無いんでしょう?だったらその方が妥当じゃない。』
「それもそうか。」
『さっきばれたのはたまたまだと信じてるからね。きゃぁぁぁぁ』
『あそこばれやすいんだ…。』
『ここばれないけど占領できるわね。』
(そんなところよく見つけるな…)
『相手が下がりきらないうちに急ぐわ。はぁはぁ。きゃぁぁぁぁ』
『だめだった…』
「さすがにしょうがないと思うよ。」
『…ありがとう。』
『近くにいるのはわかるけど…きゃぁぁぁぁ』
『くっ……ううう。はぁはぁ。なんとか遮蔽物のところまで行けたわね。』
『今の武器セット近距離とても弱いから怖い…味方がんばってね…』
『敵が来た。きゃぁぁぁぁ』
『だめだったわ。』
『最後の一人ね。あ。終わったわね。』
『それじゃあ戻りましょう。』
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『ふう。一戦がやっぱ長いわね。ずっと動き続けるの疲れたわ。このゲームスタミナ消費の感覚激しいわね。』
「……この一ヶ月で変わりすぎじゃない?かなり本物の兵士っぽくなってるけど。」
『それは……kumaSが一ヶ月もこんな生活させるからでしょ!好き好んで死にたくないし動画を見て学ぶわよ!』
「それは…すまん。他のジャンルも入れてくから許して。」
『どっちみち続けるのね。いや、これが嫌という訳ではないけれど。』
「それならよかった。…ん?どうした?」
『electric worldのほうで稼いでる人はこんな感じなのかなということを最近感じてきただけよ。そういう人達にも苦労があったんだなって。』
「ふうん。そろそろ締めよっか。」
『そうね。みなさん、ご視聴ありがとうございました。また来月までまたね。』
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『ふう。やっぱ緊張するし疲れるなぁ。』
くまちゃんがチラチラとこちらを見ながら言う。
「はぁ。わかったよ。なんにせよ僕の懐は暖かくないからあまり期待しないでよ?」
『やったぁ。kumaS大好き。』
なんというか嬉しいことには嬉しいが、財布の中身とトレードオフなので喜べない。
「はいはい…。それがいつでも通じると思わないようにね。」
『むぅ。…それじゃあ編集よろしくね。』
「了解。編集頑張るね。」