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No0 プロローグ

 それに気づいたのは、いつものようにPCをいじっている時だった。最近では一日中PCの前でへばりついていることが珍しくなく、今日もPCの前にいて一日が終わろうとしていた時だ。(決して引きこもりをしているわけではない。限界まで時間を作っているのだ)


 ふとタスクマネージャーを見てみると、なにやら通信しているようであった。それ自体は別段おかしいことではないが、その通信速度が気になった。

 通常(駐在)のものにしては大きいし、アップデートなどをダウンロードしてるにしては小さいしと少し気になったのだ。

 ということでその原因を探ることにした。…といっても、通信速度順に並べれば済む話だが。

 なになに…「Connect EW Node 8.exe」が原因?なんだ?このexeファイル?こんなやつ僕は入れてたっけ?

 しばらくそのexeファイルの動きを見ていたが、落ちずにずっと動き続けていた。とりあえずオンライン検索にかけてみる。

…?おかしいな。一件も引っかからない。しょうがない。本気を出すか。



―チュンチュン―

 やってしまった。僕は調子に乗って大きな過ちを犯してしまったようだ。

 罪状

・拉致

・監禁

・不正アクセス

 といったところであろうか。僕の目の前のモニターには怒った顔をして涙目のアニメ風のJKが映っていた。



 驚きのため、(そして何気なくした徹夜のため)働かなくなった頭は眠ることを選択したようだ。起きてからは多少ましになったため、なぜこうなったのかを軽くまとめよう。



 なんとかexeファイルをグラフィカルに出力できるようになったところまでは良かったのだろう。映っていたのは寝落ちする前に見たアニメ風のJK。正直、ここの段階ではなにかのウイルスかと思って消そうとした。(そのとき、ウ○ルスバスターを入れていたのにウイルスが入ってくるなんて相変わらず使えんソフトだなと思ってた。)

 しかし…消すことができなかったのだ。よく見るとファイルの場所が文字化けしていた。そしたら、なぜ動いているのかという話になるが、実際動いているものは動いてるからそういうものだろう。どうしようもないのでしばらく観察していた。すると、女性のほうがこちらに気づいたようだ。


『ねえ、あんただれ?なに人の部屋のぞき見してるの?警察に通報するわよ。』

「へえ、よくできたAIだな。しゃべるなんて。」

『いや、私はAIじゃないわよ。というかAIも喋るでしょ…。というか早くこの接続切りなさいよ。ハッキングしたんでしょ?興味本位でしたんでしょうけど、早く切りなさいよ。私は心が広いから猶予を与えてやっているんだから私の心が変わらないうちにしたほうが身のためよ。』

「自分から心が広いとか言うか…?といってもタスクマネージャーから落とそうとしても落ちないんだよな…。そっちから切断できないの?そもそもつなげてきたのはそっちでしょ?」

『言ったわね。警察に通報するわ。』

「ちょ。それだけは勘弁を。」

 彼女は手を親指と小指を伸ばし、電話のようにした。これは本気か?脅しか?通常時ならただの脅しだと判断したが、このような異常事態だと全く判断できない。というより彼女の人間っぽさが、これは本気だと思わせてくる。

『…え?あれ…?繋がらない?番号は間違うはずないし…。』

 彼女は少し不安な様子で画面外へ消えていった。

―うそ!外に出られない!―

―あれもダメ。これもダメ…―

 数分後戻ってきた。

『あなたとんでもないことをしてくれたわね!ハッキングして閉じ込めて!どう責任を取ってくれるの!』

彼女は怒りに染まっている。ただ、このままこのまま言われ続けるのもしゃくなので少しは冷静になった頭が言葉を吐き出す。

「へえ、僕にそういうことを言っていいんだ。そうだな。すでに君は僕の手中ということを理解しているのか?あんなことやこんなことも僕の思い通りだぞ。」

 完全にはったりであるが、彼女は美少女に属するタイプなので正直あんなことやこんなこともしたい。

 効果はてきめんであったようで、彼女は少し涙を浮かべた。

『や…やれるものならやってみなさいよ。』

 そそるものはあるが、ここで調子に乗ってはいけない。調子に乗りすぎると大抵失敗する。

「冗談だよ。ちなみに現段階で罪として挙げられるものってどんなもの?」

『このクズめ。人でなし。そうね。拉致・監禁・不正アクセス・わいせつあたりね。』

 そのあたりでこれは現実だとの実感がわき、罪悪感が芽生え始めた。そして、逃げるようにして寝たんだっけ。



『あ、やっと起きたわね。こっちは何もできなくて暇で暇でしょうがなかったのよ。それと、おなかが減ったわ。早くどうにかしなさいよ。』

「どうにかしろと言われても…。そもそもなんでおなかすくんだ?そっちにはその感覚は必要ないだろ?」

『馬鹿ね。これも経済を回すために必要だということを学校で学ばなかったの?』

「何言ってるんだ?学校なんて時代に追いついたことを教えるようなところじゃないだろ?やっとPCの使い方を教えるとかそのレベルだろ?」

『PC?なにそれ?…あった。…今って西暦何年?』

 彼女は顔を青ざめて聞いた。

「2019年だ。なぜそんなことを聞く?」

『はぁ…なんで200年も前に繋がっているのよ。私どうすればいいの…。お金もなくなっちゃってるし。』

 まさかの未来人。

 そして彼女は絶望してうずくまってしまった。さすがに僕でもかわいそうだと思い、いろいろ試してみることにした。

「そっちのいわゆる住所って何だ?」

『それを聞いてなんになるのよ…。sdbx://e-world/server/Node8/jp/2210/6046485134よ。』

 ん?なんかURLっぽい表記だな。ちょっとWeb送金を試してみるか。たしかURLに対して送るサービスがあったはず。

 失敗。やっぱりこのままだとダメか。ん?Node8?もしかしてあの謎exeファイルを仮想サーバーと見立てるといいのか?よし。もう一度トライ。成功。

 …マジか。成功したんかよ。確認を取ってみる。

「そっちに送金してみたけど受け取れてる?」

『え…?……‼お金が増えてる!これで何とかご飯を買える。』

 彼女はなにやら操作したかと思うと何か現れ、食べ始めた。

『もぐもぐ…ありがとう。もぐもぐ…これで何とか希望は見えたわ。名前を教えてくれないかな?』

「そちらから先に名乗り出るべきでは?」

 …ただ、僕の名前を名乗りたくないだけではあるが。

『そうね…。くまちゃんとでも呼んでくれればそれでいいかな。』

「なら僕はkumaSと名乗ろうか。それと悪いお知らせだ。僕はあまり金銭的な余裕はないんだ。だから、くまちゃん自身で稼いでもらわないといけない。」

『え…そんなの無理だよ。私一応まだ子供だし…。』

「だがいい知らせもある。この時代はというより今、VTuberといって3Dアバタ―を使ってY○uTubeというサイトで動画をだしてお金を稼ぐということが流行っているんだ。だから…君もそうすれば?」

『そ…そうするしかなさそうね…。私、がんばるわ。』

「ただ、このままじゃだめだね。ここから見てて単純な動きしかしていないから、それをそのままコンテンツとして出せないからほかの何かを組み合わせないといけないけど…。どう?」

『そうね。なぜかここだと単純な動きしかできないし…。ほかの動きをしようと思ってもなぜかできないのよね。ゲームとかどうかしら?私がいた世界でも別世界に行って稼いでいる人もいるし。』

「まあそれが妥当かな…。一応今の人気ゲームをいくつか持っているし。」

ただ、くまちゃんがそれをできるかどうかというのが問題なんだよな…。まあ試せばいいか。


 結論から言うと大成功だった。どうやらくまちゃんは中のプレイヤーに乗り移った状態になるらしい。これは新しいものができると、面白いものが出来上がると僕は確信した。



こんな風になるとは思っていなかったんだ…!友人が「普通じゃ面白くないよね。」というからこんな風になってしまった...(後悔はしていない)

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