ターゲット
前回はどうだったでしょうか!最後に無線が切れてアラタ達は大丈夫なのか!?第六話もお楽しみください!
第六話「ターゲット」
俺達の前に現れた用心棒らしき者は、防弾チョッキを重ね着したかのようなガタイのいい男だった。
俺は思わず
「どこも銃弾が効きそうな所がないじゃないか」
と呟くと
「だな、銃は効かなそうだ。」
と、ヒロキとユウマも男を見ると同じようにため息をついた。
ーー俺達の銃じゃ歯が立たない。
そう察し、すぐにその場から全力で逃げた。
「やばいやばいやばいやばいやばいやばい!」
俺達は叫びながらしばらく走ると、ひとつの部屋へと辿り着いた。そこはものすごく広い部屋だった。その部屋に急いで入り、逃げきれた!と思っていた。が、それは間違いだったようだ。
「もう逃げれる所はないよな。」
俺がそう言った時、重なるように声がした。
「やっと、見つけた。もう逃げれる所はないよねぇ?」
声の主は先程のガタイのいい男だった。まるで最初から逃げ切る事が不可能なのを知ってるかのように不敵な笑みを浮かべながら、こちらを見ている。
「何もやらずに死ぬよりは、何かやって死んだ方がマシな気がするけど、お前らはどう思う?」
その時、焦る俺に向かってヒロキがニヤリと笑い言った。ふとユウマを見ると、同じことを考えているようだった。
「マシにしか思えないだろ。」
こちらも笑みを浮かべながらそう言い放つと、それを聞いたヒロキは
「やっぱりそうだよなぁ、なら行くかぁ」
と、この崖っぷちの展開を楽しむかのように微笑みながら目にも見えない速度で敵に向かって走っていった。それを見て俺達も全走力で敵に向かう。
「ユウマ、俺らで畳み掛けるぞ!」
ヒロキはユウマにそう言って、その男の両脇から詰め寄った。さすがにその男もふたりの速さについていけないようで、左右に頭を振り初めて焦った顔を見せた。
「なっ、なんなんだよこいつらはぁ!」
男がそう言ったと同時にヒロキとユウマの銃声が鳴り響く。断末魔が聞こえ、男は俺の目の前に倒れた。
「綺麗に命中したでしょ〜?」
「もう両腕は使い物にならないね〜」
男の後ろからふたりは余裕の笑みでそう言った。
ふたりの言う通り、先程まで銃を構えていたその腕はだらんとし、腕の動きを司る筋肉を故意に撃ったのだと気付く。
ーーこいつら、ただの馬鹿じゃなかったんだな。
「じゃあ、トドメは貴方がどーぞ、アラタパイセン♪」
ユウマは俺にそう言うとポケットから煙草を出し火をつけた。
「やめて、、くれ、、頼む、、、」
命乞いをする男の頭に容赦なく銃口を突き立てる。
「すまん。こっちも仕事なんだ。」
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右腕に痺れが走った。人を殺すのはこれで何回目だろうか。いつまで経っても胸糞悪い。
俺も煙草でも吸おう。そう思い、胸ポケットに手をかけた、その時。
『ーーおーい。そっちの大物終わった?鍵はもうとっくに解除してるよーん。』
それは無線から聞こえる、あの18禁男、リュウヤの声だった。
「なんとか、な。一服したら向かう。」
煙草に火をつけ、腰を掛けながら答える。と、次に無線越しに聞こえた声はリュウヤのものではなかった。
『わたし、ホノカだけど。あんたたち、煙草なんて吸ってないで今すぐ何かの物陰に隠れて。いくよ、5、4、3、、』
急に始まったカウントダウンに焦り、付けかけた煙草を投げ捨てた。立ち上がった俺達は物陰に隠れるどころか開けた所で3人顔を見合わせた。
「これ、やばいやつじゃ、、」
ヒロキがそう言ったと同時に爆音と爆風に包まれる。
「っ、、!!ゲホッ、、ゲホ、、」
砂埃が目にしみる。大体何が起きたかは想像が出来る。ユウマとヒロキも「うわぁぁぁ」なんて情けない声を出しながら這いつくばっているようだ。
ーーチームったって、自由過ぎんだろ、、。
俺は目を微かに開きながら、手探りで進んだ。すると、何かに手が触れる。レザー?暖かい?誰かの足か?そう思いながら、上を見上げるとそこには俺達より数倍デカい銃を構えたホノカが立っていた。
「あら、隠れてって言ったのに。これだから男ってマイペースだから嫌いよ。」
ホノカは見下しながらそう言うと触れていた俺の手を振りほどいた。
「おい貧乳うう!!あんなの急に言われても対応出来ねーだろうが!っていうか、お前なんでそんなバカでかい銃持ってんだよ!!」
「敵から奪ったのよ。そんなことより、貧乳って言ったわね?」
ユウマとヒロキがギャーギャー喚いていたが、貧乳と言われたホノカに平手打ちをされると叱られた犬のように大人しくなった。その時セイヤも到着し、這いつくばる俺に気付く。
「俺の作った爆弾最高だったろ?」
"Good Job!"とでも言うように笑顔で親指を立てると、彼は楽しそうに言った。
「じゃあ、派手にいきますか!」
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俺は頭に血が上ると、記憶があまり残らない体質のようで、その後のことは鮮明には覚えていない。
ただ覚えているのは、
足の速さを生かし、敵を翻弄しながら急所を確実に撃ち抜くヒロキとユウマ。
表情ひとつ変えず、歩くように容赦なく散弾銃を打ち続けるホノカ。
ボタンひとつ押すだけで何人も吹き飛ばし、その度に子供のような笑みを見せるセイヤ。
それだけだ。
帰りの車の中で
「いや〜!アラタってすげぇんだな!ボスを一発で仕留めるんだぜ?」
「アラタのこと弱ぇやつだと思ってたけど見直した!」
と、ヒロキ、ユウマ、セイヤ、そして黙って頷くホノカが談笑していたが、記憶の無い俺はただ気恥しいだけだった。
ーーあれ、それより1人少ないような、、。
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本部に着く頃にはもうみんな疲れ果てているようで、俺とホノカ以外は車内で爆睡していた。
「ご苦労だった。大した怪我もしてないようだし、後はこちらに任せたまえ。君達のことはメディアには黙秘するから、手柄はこちらになってしまうがな。」
トップの男は優雅にコーヒーを飲みながらこちらを見ると、ニヤリと笑った。それを聞いたヒロキとユウマは眉間にシワを寄せ、何か言いたそうだったがセイヤがそれをなだめている。
「あれっ?そう言えばあのセクシーなねぇちゃんは?車にも居なかったよな?」
リュウヤの言葉に先程の違和感が消える。1人少ないと思っていたが、ミライとかいう女がいなかったことに気付いた俺達は周りを見渡した。
ーーガチャ
その時、扉が開く音に一斉に振り返る。そこには肌をツヤツヤにしたミライが立っていた。買い物帰りを想像させる大荷物と、現場にいた時とは全く違う服装と髪型。何をしていたかは一目瞭然だった。
「あっ、皆おかえり〜。ごめんね〜、エステ予約してたの忘れてたの〜。後から戻るのも申しわけないなーって思って買い物もしてきちゃった☆」
ミライがそう言うと、その場にいたメンバーは大きなため息をついた。
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今回は、知り合いに書いてもらいました。今までの奴より読みやすかったんじゃないかな?まぁ、それは置いておきまして第六話ありがとうございました!第7話もお楽しみください。