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戦士の憂鬱とその処方箋  作者: ごんぞー
2/6

戦士は如何にして攻勢に耐え戦果をあげたか

「何の用だ。決闘は終わったぞ」


決闘の翌日。

街の酒場で朝食を食べていたブラッドの前に、騎士服を着た女騎士アレクシスが立っていた。

騎士服になると鎧姿と比べてより一層、豊かな肢体が明らかになる。

胸元の布ははち切れそうに膨らみ、腰は蜂のようにくびれ、尻と太腿の肉ははちきれんばかりだった。

ブラッドはこの蠱惑的な肢体から視線を外すのに苦労をした。


「うむ。この宿も中々悪くないな。安宿と思って馬鹿にしていたが不見識であったな」


優雅な仕草でブラッドと同じ丸卓に座り、女給に朝食を頼む。

ブラッドの問いかけにはにやりと笑ったまま答えない。


「まさか約束を破るつもりではないだろうな」


訝しげにブラッドが問いかける。


「そんなつもりはない、騎士神の剣に誓って約束は守る。今日は確認に来たのだ」

「確認?なんの確認だ」

「貴殿が、あの高名なブラッド・ブラディネス男爵で間違いないか?」


ブラッド・ブラディネス男爵。これがブラッドの正式な本名である。

元々はただのブラッドだったが、男爵位を授与されるに当たって家名を得た。

それがブラディネスである。

また、爵位である男爵も正当な爵位であるし、土地も没落寸前の男爵家から金銭を引き換えにして、正式に譲られているので冒険者上がりとしては十分に真っ当な男爵である。


「そんな事を聞いてどうする」

「今まで偽物の血斧のブラッドを何人か倒してきた身としては、本物かどうかの確認はしておきたいのだ」


最近は偽物まで出回ってる様である。

辺境でやりたい放題しすぎた所為であろうか。


「確かに俺がブラッド・ブラディネスだ。一応はな…紋章もある」


丸卓の上に丸い男爵の紋章を出す。貴族として身の証を立てる時に使う物である。

金の紋章には交差した戦斧が刻まれていた。


「うむ、交差した戦斧の紋章。確かにブラディネス男爵とお見受けした」


何やら満足そうに頷く。

そして出てきた、腸詰めと麺麭と汁物の朝食を上品に食べ始める。


「やや、朝食も中々ではないか。外見と中身は一致しないものだな」


そう言ってちらりとブラッドを見た。

当てこすりなのだろうか。

朝食を上品に食べ終わるとアレクシスは席を立たずにブラッドに話かける。


「さて…ブラディネス男爵。いやそれでは他人行儀過ぎるな、ブラッドと呼んでいいだろうか?」


彼女は優雅な微笑みと共にそんな提案をする。

笑えば更に美しくなるな…ブラッドは内心でそう呟いた。


「貴族である事をひけらかすつもりはない。名前で呼べ」

「ではそうさせて貰おう。ブラッド、お前との約定は必ず守る。故に敗者から誉れ高き勝者へ懇願がある。叶えてくれまいか」


真っ直ぐにこちらをその蒼い瞳で射抜くように見つめるアレクシス。


「一体俺に何をしろと言うのだ」


アレクシスは卓に両手を着き、その美麗な顔をブラッド近づけて引かせながら宣言した。


「床屋に行こう!」


◇◇◇


「うむ……うむうむ!」


床屋から出て来たブラッドを見ながら満足気に何度も頷くアレクシス。

肩まで伸びていた灰色の髪は短く刈り込まれ、伸び放題だった髭は綺麗に剃られている。髭で隠れていた右頬には斜めに走る傷跡が刻まれていた。


「俺に髪と髭を切らせて何がしたかったのだ…お前は」


ブラッドが彼女の提案に乗ったのは、髪も髭も伸び放題だったのでそろそろ切ってもいいかと思っただけである。

何が目的なのかブラッドにはまるで理解できない。


「顔を確かめる為に決まっているだろう。美形とまでは言わぬが中々の好男子であるな。雄々しく凛々しい顔付きをしている」


顔をまじまじと見られ、評価されるのが何やら気恥ずかしく、鉄兜を被って外套の覆いをひっ被る。


「俺の顔を確かめてどうしようというのだ。そんな事をする前にお前は結婚相手を探しに王都へ戻れ。王都への街道はあっちだ」


ため息を付きながら手で王都の方向を指さす。


「結婚相手ならもう見つけた」

「昨日の今日でか?婚約者でも居たのか?」


流石の早さに驚く。


「婚約者なら五年ほど前に剣の試合で徹底的に叩き伏せてしまってな。婚約破棄されて今は居ない。見合い相手も全てそんな感じだ」


アレクシスはからからと笑って婚約者や見合い相手をぶちのめした話をする。

ブラッドは頭が痛くなってきた、この貴族女は下手な猛獣より質が悪い。


「では結婚相手は誰だ。騎士は虚言を言うのか?それとも俺を馬鹿にしているのか?」


そんな彼女の態度に我慢できなくなり、声に怒りが交じる。


「済まない…お前を愚弄するつもりはなかった。だが虚言ではないぞ」

「では誰だ、納得する答えを言え」


アレクシスは一歩二歩とブラッドに近づいて、鼻が付きそうな距離まで近づく。

そして薔薇色の唇を開いた。


「私が望む結婚相手はお前だ。ブラッド」


火竜の咆哮にも揺るがなかった闘士は、美女の蒼い瞳と薔薇色の口から出た言葉に震えた。


(この美しい女騎士が俺との結婚を望んでいる?)


一瞬、その言葉を額面通りに受けようとしたブラッドだが頭を振って考えなおす。

そんな事はありえない、絶対に冗談に決まっている。


「冗談は止めろ…」


思わず気持ちが口から漏れてしまう。

だがアレクシスの表情は嘘を言っていなかった。

真剣な瞳がこちらを見ていた。


「冗談でも嘘でもないぞ。アレクシス・フィデリアはブラッド・ブラディネス男爵との結婚を望んでいる。なんなら今から神殿に飛び込んで婚姻の誓約をしてもいい」


その真剣さにブラッドは思わず後ずさってしまう。

そして真っ直ぐな蒼い瞳がブラッドを床屋の壁に縫い止める。


「だ、だが貴族の結婚は家格や血筋や役回りなど面倒な話が一杯あるではないか。お前一人で決めれるものではないだろう」


代官と家令から幾度となく「商売女を嫁にしようとするな」と言われて来たブラッドはその事だけは詳しかった。


「私の家は伯爵家だから、男爵家に嫁に行っても問題はない。それにもう私は二十四歳の立派な行かず後家だ。冬になれば二十五になる」


確かに二十の半ばを超えた未婚の女子は嫁かず後家と言われてもおかしくはないが、自分で言う心持ちが理解できなかった。


「お前はいくつだ?ブラッド」

「拾われ子でな…三十前ではないかと思う。貴族になる時に申告した年齢では二八歳になっているはずだ」


拾われ子のブラッドは自分の年齢が良くわからない。

だが書類上は二十八歳になっているはずであった。


「では縁談としては整っているな。伯爵家の行かず後家が男爵家へ嫁ぐ、どこにでもある話だ」


そう言うアレクシスがブラッドには何故か恐ろしい野獣に見えた。


「だ、だが…俺の側の問題があるだろう。俺にも好みがある」


狼狽しながらもこれ以上攻め込まれまいと必死の抵抗で言葉を吐き出す。


「私では不満か?それなりの美貌と肢体だと思っているのだが…第一、初対面と先ほどの宿屋で私の体を舐め回すように見ていなかったか?」


ふふんっとブラッドの言葉を一蹴する。

豊かな体を見ていた事も美人だと認めている事も見抜かれていてた。

が、ブラッドも必死で反論を返す。


「くっ…だが剣に生きてきた女が妻として真っ当に生活できるのか?」

「確かに足りない部分はもちろんあるだろう。だが妻として全力で尽くすし、努力しよう。『昼は淑女、夜は娼婦』だったかな?まぁ…努力しようではないか」


そう言って頬を赤くして微笑むアレクシス。

その笑顔に何か追い詰められた気分になりながら最後の抵抗をする。


「なぜ俺だ!俺は戦う事しか能の無い野蛮な戦士でしかない!」


ブラッドの叫ぶような言葉を聞いて、アレクシスはその言葉に華咲く様な笑顔になる。


「それが一番大事なのだ…ブラッド」


返答の声は甘く切ない。


「私はずっと騎士神に祈っていた。結婚するなら自分より強い男にして欲しいと。それがやっと叶う。私は今自分より強い戦士以外に嫁げる幸運を噛み締めているぞ」


そう言って胸の前で両手で拳を握って美麗な顔をほころばせて嬉しそうに笑う。


ブラッドは返答に絶句してしまう。今までこんな珍妙な生物を見た事が無かった。

女とはか弱い守るべき生き物で、貴族とは面子と誇りに拘るが吝嗇で金勘定に煩い奇妙な生物のはずだ。

こんな恐ろしい生き物では断じて無い。


(戦神よ…この苦難を逃れる手段をお授けくださいッ!)


万策尽きた戦士が必死で神に祈りはじめた時、その生き物は攻めかかってきた。


「ブラッド…私ではダメか?」


寄りかかられ傷のある頬を撫でられると彼女から薔薇の香りがした。

ブラッドはその香りに考える力を削られていく。

だが咄嗟の一言がブラッドを救った。


「た、旅の仲間だ」


アレクシスにほぼ寄り添われる形になりながら出た言葉はそんな一言だった。


「旅の仲間?」

「そ、そうだ。いきなり結婚と言われても困る。まずは旅の仲間になってお互いを知らねばならん」


もっともらしい言葉に聞こえるが、これがブラッドの全力の抵抗だった。

騙して逃げるとか、関係を持ってから逃げるとか、そういう事が思い浮かばないのがこの男の知恵の限界と生来の善性を示していた。


「ふふっ…そうだな、いきなりは些か性急に過ぎた。まずは旅の仲間から始めようか」


そんなブラッドの動揺を彼女は全てお見通しだと言わんばかりの表情で微笑む。


彼女としては旅の間に事実や関係を積み重ね確実に仕留める気で居る。

曲がりなりにも貴族として生きてきた美しい女であるアレクシスと、山野を駆け巡り、レックス達と出会って冒険者になったブラッド。

こと恋愛においては凄腕の猟師と狙われた鹿の関係であるが、ブラッドはその事を全く理解してない。


「ふぅ…」


ブラッドは恐るべき魔の手から逃げた気がしていた。

だが二の矢、三の矢が次々と放たれる未来に今だ気づいていない。


「それで次はどこに向かうのだ?」


安堵するブラッドを微笑ましく見つめながらアレクシスが問う。


「……フィデリア領だ」


ブラッドの表情に苦渋が混じり、アレクシスは目を丸くして驚く。

言わずもがな彼女の実家である。


「ほぅ…フィデリア領に何をしに?」

「人喰い巨人の被害が出ている。冒険者たちが討伐しているが数が多くて手が足りないらしい。手助けに行く。背後に氷の巨人か炎の巨人か、それに類する怪物がいる可能性もある」


人喰い巨人は強大な力を持つ別の巨人の手下となって働く事があった。


「分かった、フィデリア領に行こう。此処からだと八日ほどだな…馬なら四日ぐらいか。私は馬だがお前は?」


ニンマリと笑うアレクシスは皿に乗った鼠を見る猫の様である。


「魔法の鉄馬がある、色々準備があるから明朝に出発するぞ」

「分かった」


とりあえずは逃げ切った。

そう思っているのはブラッドだけであった。


◇◇◇


雨上がりの峠道。

坂道が泥濘んでしまえば流石に馬でもゆっくりとしか進めない。

初日から峠の半ばで野営する事になった。


だがブラッドは野営には慣れている。

石を集め、薪を拾って、焚き火を準備し、鍋に水を張って…と動きに無駄がない。

逆にアレクシスはギクシャクとぎこちない動きで彼を手伝っていた。


「お前は今までこういう野営時はどうしていたのだ」

「雨に濡れぬ様に大樹の下で外套を被って干し肉を齧っていた」

「……そうか、今夜は雨は振らない」


ブラッドは何か言いたげな表情でそれだけ口にすると、街で買い求めた食材を切って鍋に入れて煮込み始める。

ある程度煮詰まると塩で味付けして汁物が出来た。

それを器によそってアレクシスに手渡す。


「なんだこれは?」

「燻製塩漬肉と野菜の煮込みだ。乾燥麺麭を付けてふやかして食べろ」


そう言って自分の鞄から乾燥麺麭を取り出してアレクシスに渡すと自分もガツガツと食べ始める。

燻製塩漬肉の出汁が出た汁物はなかなかに美味かった。


「いつもこんな生活をしているのか?」

「昔は山野で生きていたが、最近は街で過ごすことも多い。楽だからな」


何がどう楽かと言うと酒と女の確保が楽という意味だ。

寝床や食い物に関してはブラッドは山野でも十分に満足して生きていける。


「そ、そうか…所で料理の出来ない女をどう思う?」

「覚えろ」


一言であった。

だが女騎士をぐらりと揺るがす程の力があった。


「やはり料理が出来ない女はダメなのか…」


そう言ってがっくりと首を落とす。


「男女の問題ではない、食事を用意できない人間はそもそも生きる事ができん。人は食事が出来なければ生きられんのだ」


山野で育ったブラッドは生存に関わる技術に対しては厳しい視点を持っている。

さらに彼が料理を教わったのは独身だった養父からである。

料理を作るのに男も女も無いことはわきまえていた。


「し、使用人を雇えば良いのではないか?」

「世の中には「母の味」や「父が厨房に立つ」と言う言葉があるが、貴族はそんな事はないのか?」

「うっ」


貴族にもそういう文化は存在する。

彼女は今もまだ元気な母の作ってくれる果実の焼き菓子が大好物だし、菓子以外でも厨房に母が立つ事は多かった。父も得意の煮込み料理を振る舞うことがある。

けして料理人に任せきりという事ではなかった。


「時間はかかるが覚えられない事はないはずだ。覚える気があればの話だが」

「け、剣の稽古で時間が無かったから…」


女騎士は目を逸らしながら言い訳を口にする。

だがそれに追撃が来た。


「俺はお前より強いが、最低限の料理は作れるぞ」

「くっ!お前も女らしさとかそういうのを要求するのか!見損なったぞ!」


目の前の女が自分の作った汁を啜りながら八つ当たりを始める。

ブラッドはどうして良いか分からない。

だが、生存するという事に厳しいブラッドは思ったままを返答する。


「女らしさ男らしさではない。人間らしさの問題だ」


その残酷なまでの率直な一言。

その一撃で完膚なきまでに打ちのめされた女騎士は汁物に付けた乾燥麺麭をバリバリとかみ砕き、汁を飲み干すと。


「寝るっ!」


そう言って毛布を引っ被ってしまった。

この女は良く分からん。それがブラッドの感想だった。

だが知らない内にこの女を傷つけてしまったのかもしれない。


(ふむ……)


◇◇◇


翌朝、アレクシスが起きると既に鍋がぐつぐつと煮えていた。

だがよく見れば湯だけがたっぷりと沸騰しているだけである。


「湯を沸かしているのか?」

「いや料理の前段階だ。これを使え」


そう言って彼女に包丁を渡すブラッド。


「これを指の爪のサイズの四角に刻め」


そうして葉っぱがついた蕪も渡す。


「まな板はそこだ。葉っぱも食えるから細かく刻め」


指で丸いまな板を指さして使えと指示する、有無を言わせない口調である。


「いや、料理などした事がないのだが…」

「だから今覚えるのだ。さぁ刻め」


妙に迫力のある口調に抗弁は無駄だと思ったアレクシスは、おずおずと危なっかしい手つきで蕪を刻む。

普通は皮は剥くのだが、皮を剥くのはまだ早いと思い言っていない。


「き、刻んだのだが…こんな感じでいいのか?」


三角だか四角だか分からない細切れの蕪がまな板に乗っていた。


「鍋に入れろ、次は燻製肉を同じように刻め」


豚の肋肉を燻製した塩漬け肉は、刻んで鍋に入れるだけで十分に出汁が出て美味い。

汁物の具材としては上等である。


「これもか?うわ…なんか手がベタベタする…」

「脂で包丁を滑らして手を切るな」


しばらくして不揃いの四角形の燻製肉がまな板の上に乗る。


「鍋に入れろ、そして塩を匙で一回入れろ。そしてかき回せ」


言われるがままに作業をするアレクシス。


「一度かき回したら匙で味を見て薄いと思ったらもう一度塩を入れろ。そうして少し味が薄い程度になったらあとは煮込め」

「こ、こんな感じか?」


ブラッドに汁の入った匙を差し出すアレクシス。

それを舐めるブラッド。


「………」


アレクシスが意味ありげな視線でブラッドが舐めた匙を見つめていた。


「こんなものだろう、あとは煮込め。鍋の水が少し減ったと思ったら出来上がりだろう」


そう言って鍋から離れるブラッド。

しばらくしてアレクシスが鍋の蓋を開ける。


「ちょっと減ってるんじゃないか?」

「ならば器に入れて食ってみろ」


そう言ってアレクシスの器を渡して、ブラッドも自分の器に鍋の汁を入れる。

口にすると皮が残った蕪が少し違和感があるが問題なく食べられる汁物が出来上がっていた。

燻製肉の出汁が出て程々に美味い。


「これ、蕪の皮が残ってるんだが…」

「お前は蕪の皮を剥く事ができるのか?」

「……」


そう言うと彼女は押し黙る。


「皮があっても俺の作る汁と大差はない。後は皮を剥くのと具材の量を増やす事を覚えれば良いだろう。料理とはそんなに難しい物ではない」


器と木匙を持ちながら難しい顔でアレクシスは黙考する。

ふと閃いた様に表情を明るくするとブラッドの方へ向いて口を開く。


「ぶっきらぼうで武辺だけの男かと思えば、意外な程に知識が多く、しかもとても優しい!うむ、私の見立ては正しかった!」

「その認識は間違いだ」


乾燥麺麭を汁に浸けて食べるブラッドの声は何処か上擦っていた。


◇◇◇


昼頃に馬上の二人が宿場町が見下ろせる場所に着いた。


「ふぅ、やっと寝台で休める」

「いや、此処には泊まらん、急ぐぞ」


ブラッドがそう言う。


「なぜそんなに急ぐ?」

「人喰い巨人の被害が拡大している可能性がある。冒険者が食い止めていれば良いが、やはり背後に別の巨人が居ると考えた方がいいだろう。だから急ぐ」


外套の覆いに包まれた鉄兜の奥の瞳に強い意志が見えた。


「分かった…急ごう。だが昨日はさほど寝てないのではないのか?」

「俺は二、三日程度は寝なくても平気だ。行くぞ」


そう言って鉄の馬を進ませるブラッド。

なんとも言えない少し嬉しそうな、やや残念そうな表情でアレクシスは後を追いかけた。


しばらくして、道を駆けるブラッドの魔法の鉄馬が速さを落とす。

そうして腰の魔法の鞄に手を入れると長弓と一本の矢を取り出した。

何をする気かと、彼女が声をかける前に矢は放たれていた。


「あっ」


彼女が驚きの声を上げたその時には、一匹の小鹿が胸を矢で貫かれ草原に倒れ伏していた。

山で育った彼は弓もそれなり以上に使える。


「お前の馬はそろそろ限界だ、川もあるので休ませるぞ。その間に俺は小鹿を解体する」


そう言って馬で草原に入って行く。


「今夜は此処で野宿か…」


アレクシスはそろそろ風呂に入りたかった。

いまだ乙女の彼女としては意中の相手と二人きりで何か有った場合に己が汗臭いというのは耐え難かった。


そうこうする内にブラッドはてきぱきと野営の準備を整えてる。

解体した小鹿を枝肉にして革袋に入れて、魔法鞄に突っ込んでゆく。

正直、彼女は見ているだけである。

少ししてまた沸騰した水が張られた鍋が用意された。

ブラッドは小川で洗った小鹿の小腸を持ってアレクシスに向ける


「これを指の第一関節の幅で切れ、切ったら鍋に入れろ」

「これ…腸だけど食べるのかい?」


内臓肉は庶民等がよく食べる。

貴族も肝臓や膵臓などはよく食べるが小腸の類はそのままではあまり食べない。

主に腸詰めとして食べる事が多いからだ。


「美味いぞ。それに良い出汁が取れる。だから切れ」

「うぁ…ぐにゅぐにゅする…」


ぬめる小腸を顔を引き攣らせて刻んでいくアレクシス。


「間違って手を切るな。包丁は十分に研いであるから切れるはずだ」

「それが終わったら玉葱を刻んで入れろ。茶色い皮は食えない、半分に切って皮を指で剥いてから刻め、後は朝の汁と一緒で塩で味をつけろ」


そんなやりとりの後、程なくして玉葱と小鹿の小腸煮込みができあがった。

心臓や肝臓はブラッドが四角く切って串に挿して焼いて串焼きにした。

煮込み汁はまずまずの味で、串焼きと合わせて食べれば十分に満足出来る夕食だった。


「美味しい…。私にも料理ができるのだな」


アレクシスが匙で汁を食べながら言う。


(それは今までやらなかっただけだ)


その感想をブラッドは飲み込む、また拗ねられても困る。


「食い終わったら火の番をしてくれ。俺は日が完全に落ちるまで少し仮眠する」

「ブラッド、明日は宿屋に泊まりたいのだが…」

「なぜだ?」

「いや…その…」


もぞもぞと体を動かして言いにくそうにするアレクシス。

それを見てそういえばミランディアが野営の時にやたらと宿を恋しがった事を思い出した。

魔術に巧みになるつれて自分で魔法の家を出して入浴していたが。


(出来るなら毎日風呂に入りたいとか何とか言っていた様な…)


「風呂か?」

「ああ、うん。まぁそういう事だ」


自分が汗まみれだと言う事を直接言いたくない彼女は頬を染めて指で掻く。


「少し待っていろ」


ブラッドは立ち上がると川原で何やら作業をし始めた。

石を退けて積み上げ、水たまりを作ると近くに焚き火を作り石を火に放り込んで焼き始める。

そうして焼けた石をどぶんどぶんと水たまりに入れ始めた。

それを何回か繰り返すと程なくして水たまりから湯気が立ち上り始める。


「簡単な物だが湯が沸いた、入れ。俺は後ろを向いている」


そう言って背を向けてしまった。


「えぇ……」


堪らないのはアレクシスである。

こんな街道沿いの川原で裸になれと言う、しかも近くにはブラッドが居る。

日暮れ前の街道など誰も通らないのでまぁ良いが、彼が問題だ。


(私では駄目かなどと、散々に挑発したツケが今になって…)


生れたままの姿になってしまえば、もしブラッドがその気になれば何の抵抗も出来まい。食卓の上の子豚の丸焼きと何も変わらない。

彼にその気になられるのが悪い訳ではない、ただ今その気になられても困るのだ。

少なくとも彼女はそう思っている。心中の僅かばかりの恐怖と羞恥は自覚していないのだ。

乙女心はかくも難しい、処女は面倒臭いとも言うが。


(大丈夫だな?信じるぞ?)


今まで見てきたブラッドの言動と行動、そして気性を信じ鎧を脱いで裸になり湯に浸かるアレクシス。


「ふぅ…」


背後から聞こえてくる声に僅かばかり顔を顰めるブラッド。

流石に後ろで美女が裸で湯に浸かっているというのは理性に乱れが生じる。


背後の状況を全て振り払い、今後の事を考える。巨人達の動向を予測したいのだが情報が足りない。

明日はフィデリア領だが…フィデリア領の宿場町に留まって情報を集めるべきか。

そんな事を考えていると騎士服を来たアレクシスに肩を叩かれる。


「終わったぞ、お前は入らないのか?」


濡れた髪の湯気が香るアレクシスは艷やかさに満ちていた。

暖かそうな首筋の肌の色、僅かに香る石鹸の匂い、そして豊かな肢体と麗しくも凛々しい容貌。

やはりこの女は美しい。

冒険の中で色々な美女を見てきたし時には抱いてきた、だが彼女の様な凛々しい美しさの女は居なかった。

もし戦乙女が地上に降りてくるのならば彼女の様な容姿になるのではないか。

それがブラッドの率直な気持ちだった。


「……ああ、入る」


ややあって視線をそらす事に成功したブラッドは不機嫌そうに俯き、脚甲を外し始めた。


◇◇◇


フィデリア領は山間部の合間に広がる豊かな平原の土地である。

大きな川も幾つも流れており水源も豊富で豊かな領地と言えた。

フィデリア領に入った二人は宿場町で情報を集めた。


「被害に遭っているのは、山間部の街の様だ。鉱山街でほとんど山際にある街だ」

「だが人喰い巨人の被害にしては期間が長過ぎる、まるで街を奪い取ろうとしているかのようだ」


やはり人喰い巨人達の背後に何か居る。

ブラッドはそう見た。


「ここに居ても埒が明かん。明日一番にその街へ急ぐぞ」

「分かった」


流石のブラッドも戦い前に十分に寝ておく必要があった。

町で一番上等な宿に入って宿屋の親父に部屋の確認をする。

今は空いてる時期だそうでどの部屋も空いているとの事だった。


「私は二人部屋でもいいのだぞ?」

「………」


そう挑発する様に言ったアレクシスに対してブラッドが鋭い視線を返す。

その視線にかつてない強い力が込められていた、言うなれば野獣の眼光である。

彼女はその視線に何かを感じ取り狼狽する。


「一人部屋を二つで!」


素早く一人部屋を二つに決定した。

彼女が何を感じ取ったかと、ブラッドの視線に何が込められていたのかは定かではない。

だが二人の関係性に若干の変化が起こっていた。


部屋を取り終えると彼女は風呂を、ブラッドは武器の手入れと装備の点検をして湯で体を拭った。

そして程なく夕食時になった。

酒場の丸卓を料理で山盛りにし、旺盛な食欲を見せるブラッドを彼女は呆れた顔で見ていた。


「良く食べるな」

「戦場では食えぬし、飲めぬ。十分に飲み食いする必要がある」


注文した羊の焼き肉を果実でも齧るかの様に噛み千切り、咀嚼して飲み込んでいく。そしてそれを麦酒で胃に流し込む。

それが終われば腸詰めをぼりぼりと齧り、また麦酒で流し込む。

これを延々と続けていた。


「お前も食っておけ、明日の昼頃には現地に着く。直ぐに戦闘になるかも知れぬ」

「もう十分だ」


彼女としては乙女が摂取する必要以上の量を十分に摂っている。

これ以上は体型に乱れが生じかねない、絶対に否だった。


「そうか、ならば早めに寝ておけ」

「そうする…」


食事前に風呂に浸かったアレクシスはそのまま個室へ向かった。

ちらりと後ろを振り返るとブラッドはまだ食べていた。

部屋に入ると鍵を掛けて、素早く下着姿になり寝台に横になる。


(そういえば巨人と戦った事は無かったな…)


寝台に寝転んだアレクシスはふと今まで戦ってきた相手が人間ばかりである事を思い出していた。

巨人と戦った経験は彼女には無い。

得体のしれない物と戦う恐怖が心に広がっていく。


(大丈夫だ。兵士も冒険者もいる…そのはずだ)


一対一という事にはなるまい。

そう思って毛布を被って眠りについた。

その頃、ブラッドはやっと満足して部屋に入り、裸になって寝台に横になった。

奇しくも二人は同じ頃に眠りについた。


◇◇◇


鉱山街はまるで攻城戦の後の様な有り様だった。

街壁はあちこち破れ、負傷者を収容する天幕が多数設置されていた。

街としてはほぼ機能して居らず、冒険者とフィデリア伯の兵隊が街の各地で見張りをしたり、壁の破損を修繕したりしていた。


「まるで戦場の様な有り様ではないか…」

「『様な』は余計だ。ここが戦場だ」


ブラッドは素早く街壁の切れ目から馬を中に入れる。


「アレクシス!貴族用の厩に馬は留めろ!籠城になったら最悪は食われるぞ!」


怒鳴るように彼女に告げると馬銜を取って魔法の鉄馬を仕舞う。

そして手近な兵士に話しかけた。


「ブラディネス男爵だ。司令部はどこだ?」


男爵の紋章を見せて司令部の場所を問いかける。


「あ、あの宿屋の一階が緊急の司令部です!」

「助かる」


厩を探して慌てているアレクシスを無視して宿屋に足早に向かう。

扉を明けて男爵の紋章を見せる。


「ブラッド・ブラディネス男爵。推参した、状況を教えて欲しい」


広い丸卓で議論していたと思わしき男二人がぎょっとした顔でブラッドを見る。


「まさか…血斧のブラッドなのか?」

「失礼だぞ、アラン。私がフィデリア伯爵、ロラン・フィデリアだ。これなるは息子のアラン。ブラディネス男爵は何故に此処に?陛下の思し召しか?」


若い方の貴族を窘めてフィデリア伯爵がブラッドに問いかける。

だが、まさか暇つぶしに来たとも言えない。


「義に拠って推参した。僅か一名ばかりだが、戦陣に加えてくれ」


義に拠って…満更嘘でもない事がブラッドを奇妙な気分にさせる。

若い方の貴族が口元を抑えて呻く。


「本当なら、かの英雄が来てくれた事になりますが…父上どう思われます?」

「紋章を見る限り本物だろう。それとその容貌も、その物腰も、両腰の戦斧も、現陛下の凱旋を拝見した時と同じものだ」


その時、また扉が開かれアレクシスが入ってきた。


「ブラッド、置いて行くな!迷ったではないか!」


ブラッドは自体がややこしくなる事を恐れた。

今になって、フィデリア伯軍が出ているなら彼女の血縁が居るであろう事に気づいたのだ。


「お前は…アレクシスかっ?!何故此処にいる?」

「おお…アレクシス…何年ぶりか…」

「兄上、父上、お久しぶりです!」


家族の再開に水を指すのも無粋と思って黙っているが、ブラッドは早く戦況を教えて欲しかった。

だがそこに来て欲しくない追求が来た。


「なぜブラディネス男爵と一緒に居るのだ?」


目を細めてこちらを見るフィデリア伯爵の目は鋭かった。

ブラッドは仕方なく出会った経緯を掻い摘んで説明する。

その説明には何故か興奮した様子でアレクシスが補足をいちいち入れた。


「なるほど…放蕩娘の蛮行を止めてくれた事を感謝する」


フィデリア伯爵は話を聞くとあっさりと礼を言ってくる。


「それで娘とはどうかね?」


その一言には嫁き遅れの娘への情念が込められていた。


(今は戦時中だぞ)


そう言いたかったブラッドだが相手は伯爵である。


「器量は良いがもう歳が歳だ。男爵が貰ってくれるのが一番良いのだが…」


アレクシスの兄、アランも父に追従する。

その顔は妹の行く末を心配する兄そのものだ。


(だから今は戦時だッ!)


ぐっとその言葉を堪えて口を開く。


「それは戦いが決した後で話すべき事かと、ともあれ戦況を教えて下さい」

「ああ…そ、そうだな。後にしようか…」


ブラッドから放出される異様な迫力に押されて伯爵は戦況を話し始める。

最初の攻撃が一週間前、そして二回目が一昨日、三回目が昨日。回数を重ねるに連れて攻撃が激しくなっているとの事だった。

だが、訓練された攻め方ではなく散発的な力攻めなのでなんとか守り切れたらしい。


「敵の大将は?」

「いつも奥に大きな巨人が居る。黒い肌で赤い目の巨人だ。おそらくそれが相手の大将だろう」


伯爵が口に出した敵の大将。

黒い肌の赤い目の巨人。心当たりが有った。


「奈落の巨人か…」

「知っているのか?」

「強力な力を持った巨人の変種とだけ…知っています。戦った事もある‥あります」


伯爵の問いにブラッドは答える。

確かに戦った事はあった、一対一では無かったが。


「次に奈落の巨人が出てきた時に討伐すれば人喰い巨人達は退くだろうと思われます。おそらくは脅されてるだけでしょうから」

「だがどうやって倒す?」


最後に戦ったのは五年以上前だが…勝算はある。

ブラッドの全身に決意が満ちる。


「俺が倒す」


力強い決意が、ブラッドの口調を元に戻していた。


◇◇◇


翌日の午前。

人喰い巨人の投石攻撃に晒される街から、走り出る騎影が一騎。

ブラッドの乗る魔法の鉄馬である。


全力を出して走る魔法の鉄馬は疾風の如く巨人たちの間をすり抜けて、斜面を駆け上がりまっしぐらに敵の大将、奈落の巨人の元へ走り抜けた。

敵の大将の元へ走り終わるとブラッドは馬銜を持ったまま空中に跳躍すると鉄の馬は馬銜に繋がれた小さな鉄の鋳物になった。


「西方語は分かるだろう!何故この街を襲った!」


地面に着地して馬銜を鞄に仕舞うと、怒声を上げて奈落の巨人に語りかける。


「何を馬鹿な事を…丸々と太った山羊が目の前に居るのだ。食わぬ理由はあるまい」


大きく響く雪崩の様な声で返す巨人。

手にその巨体に見合った巨大な剣を持っている。


「ならばお前が食われても仕方がないと言う事だな!」


ブラッドが腰の戦斧を一振りずつ両手に持つ。

交渉は決裂し、戦いの準備は整った。

全身に熱い血潮が漲り、手足に力が満ちる。


「小虫が面白い事を言う。だが戦いは望む所よ、かかってくるが良い定命の小虫よ」

「言われずとも!」


叫びながらブラッドが大地を蹴って猛獣の様に坂を駆け上がる。


(まるで山だな)


以前戦った時と同じ感想が心中に浮かぶ。

だが怯む心はない、むしろ強敵との戦いで血が滾っている。

強敵との戦場、それが彼の生きてきた場所である。不可思議な安堵と共に強烈なる激情が彼を満たす。


「定命の小虫よ!小虫は小虫の様に死ね!」


山の様な体躯に見合わぬ速度で振り下ろされる巨人の剣。


「うおぁああああああ!!!」


雄叫びを上げながら巨大な剣を紙一重で躱し、跳躍してその剣を握る手に乗り、さらには巨大な腕を駆け上がっていく。


「せぇぇえい!!」


肩口まで駆け上がると巨人の首筋を戦斧で薙ぎ払って跳躍する。


(手応えありッ!!)


直後、巨人の首筋から血が勢い良く噴き出る。

だがこの程度では致命傷にならない、奈良の巨人は治癒力も凄まじい。

攻撃を続けなければ傷口は直ぐに塞がってしまう。


「ぐぅっ?!小虫がぁ!!」


まるで蚊でも払うように奈落の巨人がその巨大な手で、未だ空中に居たブラッドを叩き落とす。


「ごはっ!」


激しく地面に叩きつけられて彼の形に大地が窪む。

その程度の攻撃は予想している、覚悟していれば耐えられない事はない。

直ぐに立ち上がり、口から出た血をそのままに巨人の足首を目掛けて左右の戦斧叩きつける。


「せぇっ!」


ぶちっと言う手応えと共に腱が切れて、巨人が大きくぐらつく。


「戦場と戦士を侮るからこんな目に遭う!この場がお前の処刑場だ!」

「小虫がぁ!ぐぅう…!うおっ!?」


残った足で踏み潰そうとするが体勢を崩して盛大に尻もちを付く巨人。

巨人の周りの地面が割れて隆起する。これでは直ぐには立ち上がれないだろう。


(好機ッ!!)


ブラッドは大きく踏み込み、その巨大な顔、いや首に向かって猛獣の様に跳躍した。


「おぉおああああぁぁああ!!!」


未だに血を吹き出す首筋とは反対の首筋に両方の斧を揃え、思い切り一文字に振り抜く!


恐るべき断頭の魔力の付与された戦斧は、彼の望み通りにその残酷な魔力を発現させた。そうして発現した巨大な魔力の刃が巨人の首を罪人の首を落とすかの様に切り落とした。


盛大な地響きを立てて切断された巨人の首が地面に落ち、そのまま斜面を転がっていく。

転がっていく巨大な首は、人喰い巨人達に自ら首領の敗北を見せつけて転がり続け、鉱山街の外壁に派手な音を立ててぶち当たり止まった。


「うおぉぁぁぁぁぁぁあーー!!!」


殺戮の興奮のままに勝利の雄叫びを上げる狂戦士。

その傍らでは奈落の巨人の体が横たわり、首から盛大に赤い血を噴出していた。

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