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アリス婚約者選定闘技大会①

(久しぶりの清々しい朝だな。)


 宿屋で目覚めたマコトの心は転生後、初の穏やかな朝を迎えていた。

 ステータスカードの戦闘力も170にあがっている。


――対人戦でも戦闘力は上がるのか。いや、むしろ対人戦の方が効率いいのか?



 宿の朝食を食べながら新聞を購入し読み始める。


―――農作業なら土魔法―――

この世界の食事はおいしい。科学がなくても土魔法で殆どの食物を美味しくできるらしい。

しかも光属性と無属性の組み合わせで3日で作物が取れるらしい。



 ペラペラと新聞を(めく)っていく―――何か大切なことを忘れている気がする。具体的には『な』から始まって『かま』で終わる3文字くらいのものを。

 落ち着け…珈琲でカフェインを摂取して心を落ち着かけるんだ……


「ブーーーーーーーーーーーッ!!!」


 珈琲吹いてしまったよ!

 そうだ!仲間を作りに学校行ったんだった。

 (あわ)てて新聞で吹いた珈琲を拭いていると、何やら変わった広告があるがにじんでいて読めない。


「あ、おばちゃん、雑巾貸してくれませんか?あと新聞もう一つ買います」

「アイヨ!!」


 再度新聞を購入し、最後ページの広告を読む。


――――アリス嬢の婚約者選定のため5日後から闘技大会実施。優勝者の代表と婚約とする。希望者は3人パーティーでダンジョン受付まで――――

 ダンジョンのボス部屋は最大で4人までしか入れない。世界の異変後、アリスの身を心配し、強いパーティーと一緒であれば死ぬ確率が下がると苦渋の決断をしたと書いてある。



 隣の席のアリスさんが、顔写真付きで宣伝されていた。-----飯食ってる場合じゃねぇ!!

 すぐに学校へ行くと、アリスの周りに人だかりが出来ていた。



『アリスさん!新聞の件本当なんですか?!』

『誰でも参加できるって書いてありますよ!』

『相手は強ければ誰でもいいんですか!!』


「本当です。お父様にそう言われておりまして…断ったのですがこんな事に…」


『マジでか?!ちょっとエントリーしてくるわ!』

『親衛隊の規則はどうなった?いや、そんなの関係ねぇ』

『ヒャッハー!!』



「ハワード、お前行かなくていいのか?」

「ハハッ!!俺は生まれ変わったんだよ。もう女性には興味ないんだ。いかないよ。」


 マコトは身の危険を感じ瞬時に教室を出る。――誤算だった。

 こんな事になるなんて…ちょっとしたO☆SHI☆O☆KIのつもりだったのに…。



――過ぎた事は気にしない。マコトは前向きな性格である。

気を取り直しアレックスを探すと…いたいた。デカいから目立つな。


「アレックスさん! 闘技大会のパーティー組みましょう!」

「んあ?すまねぇな。もう別のやつと組むことになってんだよ。」


――ふざけんなよ!この世界で5本指に入るアレックスと戦うなんて無理ゲーじゃねーかよ!


「へ、へー、ちなみに誰と組むんですか?」

「おう!なんでも元勇者とかいう奴が東の国から来るみたいでな。上からの要請でそいつと組まなきゃいけないんだよ」

「え~元勇者……勇者って何ですか?」


…とぼけてみる。まさか前の世界の5人の勇者ばかじゃないよね?



「おう! なんでも世界の異変の後、この世界へ『異常な力を持った』謎の5人が現れたんだとよ。あ、いけね。機密情報だったかな?」



…や、やばい。確実にあの5人の誰かだ。全員がハーレム人生満喫(バカ一代)してたのにこの世界(こっち)に来てたのか。


「マジかよ…そんなの出来レースじゃないですか?」

「違うぜ! そいつだけ事前に属性とかが公開されるぜ! そいつのデータ収集が目的なんだとよ。」

「じゃあなんでアレックスさんと別のパーティーにさせないんですか…」



「ここだけの話…右腕の邪悪な封印が解除されると…自分でもコントロールできないらしい……」



はい。あの中二病勇者(ばか)だと特定できました。本当に有難う御座いました。



「本当なら世界滅亡の危機じゃないですか。ちなみに他の元勇者とかいう奴は何処にいるんですか?」

「悪いな!機密情報だから教えられないぜ!でもこの辺にはそいつしかいないぜ!」

「そこまで喋ったなら別にいいじゃん。お願いしますよアレックスさん。」


懇願おねがいするマコトにアレックスはニカッっと笑うと「敬語はいらないぜ! じゃあの!」と言ってそそくさと何処かへ行った。



――――勝ち目はないな。よし、明日にでもこの町を出よう。さらば都市ミズーリ! さっそく帰って荷物の整理しよう!


 大事なことなのでもう一度、マコトは前向きな性格である。



「あの、マコトさん!」

「はい?」


 振り返るとそこには小柄で金髪のショートカット、大きなクリクリとした瞳の大きな美人がいる。この胸の大きさは…。


「アリスさんじゃないですか?急いでますので、申し訳ありませんが手短にお願いしますよ。」

「あの!聞きました。先日のハワードさんとの事。ぜひ闘技大会に参加して頂きたくて声をかけさせて頂きましたの…」

……ハワードとの事?ああ、バトルの事か。それよりも今なんて言った? 聞き間違いかな??



「え? 今なんて言いました?」

「ぜひ闘技大会に参加して頂きたいのです。他の2人の人選はお任せしますので…」



闘技大会→婚約者決定→参加してほしい→→優勝してほしい→→→私と結婚してください。



――!!!

――苦節20年…ついに春が!!!ずっとボッチだった僕にもついに春がやってきたか!


「勿論です! 大丈夫。メンバーには心当たりがあります。すぎゅ…すぐに登録してきます!」

 全身をオーラで強化し高速の速さで目的地に向かう。ええい!扉を開ける時間がおしい!



「ショラァァァァァ!!」



 扉を破壊して教室に入る。いた!1人目!!



「おいハワード! 闘技大会でるぞ! お前参加な!」

「ん? お前と俺の仲だからな。別にいいよ」



 よし! あと1人だ! もっと…もっとだ……もっと速度は出ないのか!

 そうだ! 3回制限のオーラを移動に変換できないか。


 脱DTを目標にしたマコトのオーラは凄まじい変化を遂げる。

 その速度は凄まじく、高速から既に音速―――の壁をも突破とっぱしていた。



 目的地に着いた!急いでオーラを消さねば。よし、もうこの人しか知り合いいないぞ。


「教授!エリオット教授!!一緒に闘技大会に参加しましょう」

「無理だ。上から元勇者とかいうのと組むように依頼がきてる」


「そ!そんな…」



 マコトの目から涙があふれる。かつてここまで悔しい思いをした事があっただろうか。

 いや……ない。諦めきれない………。

 エリオットの足にすがり付く。諦めない。諦められないんだよぉ……




「ぎょ゛う゛じゅ゛う゛う゛う゛だの゛む゛よ゛お゛お゛お゛お゛」

「なんだ汚い!鼻水をなすり付けるな貴様!!」


「な゛ん゛でだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛だの゛む゛よ゛お゛お゛お゛お゛」

「私としても元勇者とかいう小僧に興味があるからな」


「い゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛き゛ょ゛う゛じゅ゛う゛う゛う゛」

五月蠅うるさい。時間の無駄だ!帰れ!私は忙しいんだ。」


「ふ゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛」



 ……………………ふえ?

 ―――教授さっきなんて言った?



「教授? さっきなんて言いました?」

「帰れと言ったんだ!時間の無駄だ!」

「いえ、その前です。その前何か言ってませんでしたか?」


「なんだ…元勇者とかいう小僧に興味がある事か? いいからさっさと帰れ!」



「教授…元勇者を……解剖したくないですか?」

「なんだと君!? 話を聞こうじゃないか! 座りたまえ!!」

(ちょろいぜ)



 ダンジョンの受付で参加用紙を書く。


「予選は3人の内1人選んで頂きます。その方が婚約者候補となりますが、どなたが参加されますか?」

「僕が参加します(キリッ)」



「アリスさん…この空に誓って僕は必ず勝利してみせますよ。待っていてください。」



~~一方、アリスはというと~~


(マコトさんって男性が好きなはずなのに…なんで私の胸を見ていたのでしょうか……)

 盛大な勘違いをされていたマコトであった。

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