友達?ライバル?
「なんだ突然叫んで?まさか知らなかったのか?」
「知りませんよ!コツコツ頑張ってお金貯めてた自分がバカみたいじゃないですか!」
「今日から頑張ればいいだろ。切り替えろ」
他人事だと思いやがって……いや…相手は命の恩人だった。落ち着け。平常心、平常心だ。
「切り替えました。24階からではなく、20階のボス部屋の繰り返しでお願いします。見ていてくださるだけで結構ですので。怪我したら回復お願いしますね。」
「さっさといくぞ」
~~~エリオット教授視点~~~~
これでボス部屋連続で5回目か。驚きだな。信じられん事だが、この男はレベルを自在にコントロールしているように見える。
1回目は瞬殺だった。おそらく無属性魔法だろう。魔法を飛ばして瞬殺していた。
その後に宝箱に代わるのを5分程待っていたが。
「30秒で変化なければもう変化しないぞ。3時間待機していた攻略者もいるから間違いない」
と教えてやると悲しそうな顔をしていた。
金に困っているのか?装備もオンボロの安物だし、まさか防具屋があるのを知らないのか?
いや、そんなはずはないか。単純に金がないだけだろう。
それにしてもどういう原理なんだ? Lvは上がる事はあっても下がる事はないはずだ。
いや、例外があったな。年齢が70歳を超えると段々と下がって行く事は学界でも確認されている。
だが見た所20歳そこそこの青年がなぜこんな事ができる。
最初は瞬殺したにも関わらず、2回目からは倒すまでに10分前後の時間をかけている。なぜかどう見ても互角、いや、若干劣勢な分を格闘センスで補っているようにも見える。
体の周りが光るのが関係あるのか? 光属性と無属性の混合なのか。
わからない。不思議な青年だ。少なくとも2-3日くっついて観察してみるか。
6回目のボスを倒した所で銀貨12枚を手にしたマコトが半分の6枚を私に渡すと
「今日はもう帰りましょう」と言い始めた。
「なんだ?まだ1時間もたってないじゃないか。遠慮はいらないから続けたまえ」
冗談ではない。あと3時間ほど考えながら見ないと気が済まない。
「すみませんが、疲れたんで帰りましょう」
「ヒール&マジックヒール」
間髪入れずに回復呪文をかけてやる。すると「お?じゃあ頑張ってみます」と抜かしてきた。
さっさと続きが見たい。ボス部屋で戦闘すること15回。わからん。原理が全くわからん。
21回目と22回目のボスを最初の魔法を飛ばして瞬殺した。
「すみません。今日はもう帰りましょう」
「ヒール&マジックヒール!」
なんだ?ヒールをかけたのに回復した様子がない。謎だ。なんだこの青年は。
解剖か?解剖すればわかるのか?
~~~~~~~~~~~~~~~
なんか背筋に寒気がするな。そんな事より能力の確認っと。
今日は3回オーラを飛ばした。するとオーラが練れなくなった。
時間制限は回復できるけど回数制限はできないってことか……。
パーティーに回復役がいれば最低lv30と偽っても問題ないな。新しい発見だ。
ステータスカードを確認すると戦闘力が35まで上がっていた。
どっちだ………。
オーラを練っている時間が長かったおかげか?
それとも同じくらい、もしくは格上と長時間戦った事が原因なのか?
――いずれにしろ戦闘力を上げる事ができるとわかったのは大きい収穫だ。
帰宅しようとエリオット教授の方を見ると、なぜかちょっと勃〇していた。
「君?ちょっと解剖させてくれないか?何、問題ない。雷の能力で痛みは『ほぼ』ない。その上に私は回復魔法も使える。ちょっと横になっているだけだ。ノープロブレムかつパーフェクトだ。金に困ってるんだろう。金貨5枚を謝礼で支払おう。さあ行こう。すぐ行こう。」
と言われたが丁重にお断りした。命の恩人だと思ってけど、やばい人だから距離を置こう。
だが次の日も、その次の日も。僕がボッチなのを良い事にエリオット教授はついてきた。
念のために身体強化以外のオーラを封印したが、
「おい、飛ばすやつを見せろ!!」
エリオット教授がうるさいので、2回までオーラ飛ばしで倒した。
「おい、もっと飛ばすやつを出せ」
「すみません。3回使うと魔法が使えなくなんですよ」
「ふむ。その状態でも解剖したいな」
……よし。絶対に使わないようにしよう。
検証結果から、同レベル、もしくは格上と戦わないと戦闘力は上がらない事がわかった。
2日目に|20階のボス《lv35レアバトルゴリラ》と10回ほど戦ったが戦闘力は45で止まった。
念のためにその日はずっと|20階のボス《lv35レアバトルゴリラ》と戦ったが45のままだった。
3日目は23階のオークと24階のオークと戦わせて貰った。
この階層ではオークの他にバトルウルフという狼が出てくるが、全部エリオット教授に倒してもらいオークとの1対1に専念できた。結果戦闘力は85まで上昇した。
85にまで上昇した戦闘力だが、どうやらlv×10=戦闘力ではないらしい。
実際に戦闘力85の状態で30階の|ボス部屋《レアバトルオーク|(lv60)》に挑んだが、競り負けそうになったので手にオーラを溜めて仕留めてしまった。おかげで後ろの教授が
「ハァーハァーなんだ今のはー解剖させろ!今すぐに!!」とフル勃〇しながらと叫んでいる。
……ダメだこいつ。早く対策をしないと。
能力の検証よりも友達をつくらないと不味いな。教授は確かに便利だが、そそり立つあれが背後にあると考えるのは精神上よくない。
「もう1人で十分です!今まで有難う御座いました教授!」
「何を言っているんだ!解剖するまで逃がさないぞ!!」
――仕方ない…。教授に自分が神様による転生者である事を説明した。
ついでに自分を解剖すると神により滅殺されるというブラフを付け加えるのも忘れない。
「君には失望したよ。研究者に対して研究するなとは、とんだ神がいたものだな。だが私も長生きはしたい。時間をくれ。とりあえず今日まで自分の目で見たことを研究する」
残念そうに言う教授。完全に大事なことを忘れているな。
「そんなことより世界の異変を研究してくださいよ」
「ん? 世界の異変? 嗚呼!!! 学会への論文提出期限まであと5日しかないじゃないか! おい! 帰るぞ。今すぐにだ!!」
「帰りましょう! 今すぐに!!」
ハハハッ。さらばだ教授。僕はその5日間の間に必ず友達を作って見せる。絶対にだ。
余談になるが、宝箱の中身は全部ポーションだった。
(大丈夫、布石は打ってきた。毎日隣の席の子に話しかけてるし、優しそうだからパーティーにいれてくれるはずだ)
そう思っていました。次の日、朝からハワードにトイレに呼び出されるまでは。
<翌日校舎 トイレ>
「おいおい、新人君よ?俺の言うことを忘れちまったのか?」
――相変わらずムカつくやつだ。
マコトは考える。
①ぶっ飛ばす →→→ 退学
②半殺しにする →→→ 退学
どれも却下だな。いや、待てよ…。
③ハワードをこの世から抹消してなかった事にする New!!
――よし、どさくさに紛れてダンジョン内で後ろからオーラ飛ばそう。
「すみません。すみません。もう話しかけないです。ハワードさんみたいなレベルの高い人の気分を害してしまいすみません」
DOGEZAである。マコトは復讐の為にあえてDOGEZAをした。効果はバツグンだ。
「わ、わかればいいんだよ。まあな。もうすぐ俺もlv100で一人前だし、大人げなかったな。」
「え?Lv100なんですか?」
――この学園インフレしてやがる。
なんだよ。Lv10になるのに6か月かかるハズじゃないのかよ!
サクサク上がっても1年でlv20だろ!
……あれ?5年でlv100になっちゃうの?そんなわけないよね?
Lv80位から上がりにくくなったり…するよね?
「す、すごいですね。ハワードさん。おいくつから攻略者なんですか?」
「何言ってんだ?10歳からに決まってるだろ。もう8年だ。世界の異変のせいでもう一回学校に来るはめになったんだよ。」
「で、ですよね~。皆さんそうですよね~」
「クラスは全員皆lv100だぞ?お前あれだろ?アレックス理事長にケツ貸したからウチのクラス来れたんだろ?Lv3なのにウチのクラスなんておかしいから噂になってるぜ。」
――噂を流した奴許さない。絶対にだ!
「まあ、流したの俺だけどな」
ヘヘッ……っと指で鼻の下をかくハワード。
※ハワードがマコトの死刑リストに追加されました New!!