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 ◇翌日◇ハジメ


 昨日は災難だった。あの後バグってしまったレベッカが元に戻る事はなかった。そしてレベッカが飲みすぎてお金が足りなかった。

 彼女の財布で支払いをし、酔いつぶれたレベッカを攻略者の宿に連れて行った。ポケットに『昨日は(お金借りて)ごめんなさい。起きたら食堂に来てね。』という手紙だけ入れた。


 この世界はバグだらけなんだろうか。VRとかはNGワードとかなのかな? 試してみるか。

 食堂で待つこと5時間。ようやく頭を押さえたレベッカが走って食堂にきた。


 「遅れてすみません。あの……」

 「気にしないで。僕のステータスカードもう1回見る?」


 「もういいです。但し責任取ってくださいね。」

 「ん? ああ、ところでVRって知ってる?」

 ――責任?? よくわからないけど君を強くして見せます。たぶん。


 「え? VR? なんですかそれは?」

 「ごめん。なんでもない。ご飯食べたらダンジョンいこうか。」

 「すぐ食べます。少々お待ちを。」

 



 はい。というわけでダンジョン来ました。

 そして現在2Fです。遭遇したモンスターはドラゴンさん(Lv100)です。

 

 「レベッカ。ドラゴンだね。」

 「ドラゴンですね。」

 「どうしようか?」

 「見ててください。私1人で十分です。」


 え? マジで?! 

 なんかやる気になってる。でもファーストアタックは僕がします。

 ぺクスカリバー(玄武剣)を投げる。――ポッキーン。折れる。はい。これでHP半分です。


 「闇魔法(ハイド)

 レベッカの気配が薄くなった。いや、それだとターゲットが僕だけに……。



 気配を薄くして魔銃でドラゴンを撃つレベッカ。そりゃないよ。ドラゴンが怒ってらっしゃるじゃないですか。僕は盾も鎧も装備してないのに……。


 「ガォォォオオオオ!!!!(早く! 早くこいつを殺すんだ!!)」

 吠える白虎氏。

 ドラゴンは後ろから攻撃されてるのに気にしないで僕に向かってくる。


 ――――シュバババ!!


 え? 何の音かって? 僕が全力でその場から逃げだしてる音ですが何か?

 だってドラゴンって体でかいし、足遅いんじゃないかなって思わない? 少なくとも僕はそう思ったよ。


 「ガォォォオオオオ!!!!(逃がすかボケェ!!!!)」

 はい。白虎氏に回り込まれました。逃げられません。何なんだよ此奴は!! 何か僕に恨みでもあるのかよ!!――――(ズキッ)まただ。また何か思いだせそうだ。

 白虎氏から恨みを……なんだ? どういう事だ? とりあえず昨日レベッカから盗んでおいた金貨を1枚白虎氏に投げる。よし。


 ――――どいてくれない。『逃げるなら襲う』そんな雰囲気を白虎氏から感じる。

 しょうがない。ドラゴンの攻撃は頑張って回避しよう。

 ――――無理です。回避できません。今まで応援有難う御座いました。



 ―――ビキィィィィィ

 なぜかドラゴンの攻撃が見えない壁に止められる。これは……青龍先輩!!

 青龍先輩ですよね!! 感じます。先輩の鼓動を!! 青龍バリア爆誕や!!

 「ガォォォオオオオ!!!!(青龍!!なんてことを!!)」


 これは…ドラゴンが死ぬまで青龍先輩が守ってくれるのでしょうか?

 途中で青龍バリア無くしたり……しませんよね?

 良かった。青龍さんには恨まれてないみたい。――――(ズキッ)また頭が……そうだ。僕は青龍だけは殺さなかったんだ。


 ハジメの封印の解放条件が3つ揃いました。

 ①大切な仲間

 ②魔弾の知識

 ③四聖に関する記憶

 ④???

 後の1つ……答えは酒場にある……気がする。

 気が付くとドラゴンを退治していたようだ。金貨ではなく竜の爪(?)をドロップしている。


 「レベッカ。今から酒場に行くぞ。」

 「え?!……はい。」

 レベッカの顔が赤くなっている。

 すまんな。強くするのは記憶を取り戻してからで。


 

◇酒場◇


 「とびっきりうまい酒を2人分くれ。」

 昨日レベッカから盗んだ金貨を惜しげもなくだす。レベッカはまだ真っ赤だ。きっともっとモンスターを狩りたくて怒っているんだろう。


 「昼間っから飲む酒は美味しいね!!」

 レベッカは遠い目をしながらお酒を飲みはじめた。(もしや昨日、酔いつぶれた時に金を盗んだのを勘づいているのだろうか)

 

 大丈夫。飲めば元気になる。

 だって……


 「お酒は……心のポーションだからね!!」







 ハジメの封印の解放条件が全て揃いました。

 ①大切な仲間

 ②魔弾の知識

 ③四聖に関する記憶

 ④酒は心のポーション

 ――――心臓の鼓動が聞こえる。そうだ。思い出した。僕は前の世界でクラス単位の召喚をされた勇者の中の1人だった。

 朱雀・玄武・白虎、そして魔王を倒した。新しい魔王は青龍にしてもらう事にしたんだ。


 思い出した。クラスの皆は序盤で全滅した。

 だから召喚した神様を名乗った人物が許せなくて……殺したんだ。

 

 でも神様を名乗った人物の亡骸は悪魔みたいで……そう。倒した後にそれ(・・)は神の使徒だと言われた。新しく現れた神を名乗る人物に。

 ――そして……この世界に転送されたんだ。

 ステータスカードを見る。


  イトウ ハジメ

Lv  : ???

??? : ???

??? : ???

??? : ???

??? : ???

??? : ???


固有スキル:空間転移門(ワープゲート) 1度目にした場所へと繋ぐ空間を出せる。

熟練度 10/10

聖眼   : 額に新しい目が開眼する。世の中を見通す事が出来る

???  : 条件を満たしていない。


 神の使徒を倒した事でバグってしまったステータス。

 なんで忘れてしまっていたんだろう。

――――どこからか水の流れる音が聞こえる。

 




~レベッカ~


 昨晩の記憶がない。私は一体何をしていたのだろう。

 服を着替えようとするとポケットにメモ用紙が入っている。『昨日はごめんなさい。起きたら食堂に来てね。』


 嘘…でしょ……。私は昨日無理やり……。ごめんなさいって……初めてだったのに……。

 急いで着替えて食堂へ。

 嘘よ……何かの間違いに決まってる。


 私の家には鉄の掟がある。体の関係を持ったら結婚する事。この掟に背くと大いなる災いを招くそうだ。つまり、私はもうあの人と結婚するしかない。本来であればイケメン貴族と結婚するはずだったのに……。兎に角問いたださないと……。


 「遅れてすみません。あの……」

 「気にしないで。僕のステータスカードもう1回見る?」


 気にするわ!! でもちょっとだけ思い出した。ステータスカードが???で埋め尽くされていた。その後の記憶が思い出せない……。でも間違いない。私はこの悪魔に脅されて無理やり体の関係を……。


 「もういいです。但し責任取ってくださいね。」

 「ん? ああ、ところでVRって知ってる?」


 「え? VR? なんですかそれは?」

 「ごめん。なんでもない。ご飯食べたらダンジョンいこうか。」

 「すぐ食べます。少々お待ちを。」

 この人と結婚するのか……。子供は何人欲しいんだろう。


 そんな事を考えていたらいつの間にかダンジョンにいた。そして目の前にはドラゴンがいる。


 「レベッカ。ドラゴンだね。」

 「ドラゴンですね。」

 「どうしようか?」

 ――これは愛の試練かしら。ドラゴンくらい1人で倒せないとダメって事ね。初めての人と結婚するって決めてたし。やるわ。やってやるわよ!!

 「見ててください。私1人で十分です。」


 ダーリンが剣を投げるとドラゴンに大ダメージが入ったみたい。さすが私の夫だ。

 さて、ドラゴン退治を始めるとしましょう。


 「闇魔法(ハイド)

 素早く気配を薄くして背後へ回る。するとダーリンが囮を引き受けてくれた。ダーリンマジ優しい。


 遠慮せずに後ろから攻撃しているとドラゴンがダーリンに攻撃する。しかし見えない壁に阻まれていた。さすがダーリン。これは高収入待ったなしね。


 ドラゴンは爪をドロップした。これは……S級……男の子のゾウさんが元気になる秘薬じゃない!!


 「レベッカ。今から酒場に行くぞ。」

 「は……はい。」

 ――もう!! わざわざ飲まなくてもいいのに~。男の子ってホント可愛いところあるわよね。


 「とびっきりうまい酒を2人分くれ。」「昼間っから飲む酒は美味しいね!!」

 ――この人なりの結婚祝いなのかしら? なぜかしら。この不器用さが愛おしく見えてくるじゃない!!



 「お酒は……心のポーションだからね!!」



 ダーリンの体が光ったと思ったら額に目が生えてた。

 皆さん、聞こえましたでしょうか? ダーリンの額に目が生えました。




 やっぱりやだぁ……この人絶対人間じゃないもん…………。







 ~ハジメ~

 さて、記憶を取り戻した僕の目標はただ一つ。前の世界にいたドワーフのガルボアさん(♂)と余生を過ごす事だけだ。

 僕のスキル空間転移門(ワープゲート)は1度目にした場所へと繋ぐ空間転移門(ワープゲート)を出せる。なのに前の世界への転移門が開けない。そういえば神もどきがこう言っていた「次の世界で〇〇〇を手に入れないと元の世界への転移門は出せないよ」と。


 おそらくスキルか魔法だったような気が……。

 記憶の扉を開いていた僕だったが、とりあえず目の前の現実と向き合う事にした。

 ……なぜか目の前でレベッカが失禁している。軽く頬を叩いてみたが気を失っているようだ。

 とりあえずレベッカを連れてまた攻略者の宿へ……。部屋に戻ってやりたいこともあるし。



◇攻略者の宿◇

 「白虎、玄武、朱雀、青龍。おはよう。僕が記憶が封印されている間はお世話になったね(・・・・・・・・)。特に白虎。何か言い残すことはあるかな??」


 「ガ、ガウガウ……(い、いやその……)」

 「お前喋れるだろ。」

 

 「調子にのってホンマすんませんした!!」

 「主よ。白虎も直接危害を加えたわけではない。どうか許してやって欲しい。」

 唯一危害を加えなかった青龍がフォローに入る。だがダメだ。許せぬ。


 「謝る以外に何か弁解はあるかな白虎君??」

 「いや違うんですよ。そんなつもりじゃなかったんです。ちょっとしたお遊びのつもりだったんです。しいて……しいて言えばですね!!」


 「しいて言えば何?」

 「聖獣ジョーク……みたいな☆☆」

 

 「はいアウト」

 「ギャ、ギャウーーン!!」

 「主!! そんな事をしては『聖獣愛護協会』が黙ってませんよ!!」

 「んなもん無いわボケェェエエエエ!!!!」


 前の世界で愛用していた銃で白虎を殴る。


 ちなみに四聖のレベルはこんな感じだ。

 白虎 300

 朱雀 300

 玄武 500

 青龍 800


 この世界の人間は神の使徒に干渉されている為、レベル上限は100らしい。

 けど僕は前の世界で神の使徒を殺してしまった。そのせいで既に人間ではない。

 聖眼で確認した所、四聖のレベルもそのままだ。この世界ではチート的な存在になっている。


 聖眼でこの世界の情報を見る。どうやらアレンピックというものが開催されるらしい。元勇者ハジメも参加と書いてある。

 なんで僕が参加する事になってるんだ? 同じ名前の勇者はいないみたいだし……。


 優勝チームのMVPには秘密の魔法をプレゼントか……。何かの手掛かりになるかもしれないし、参加してみようかな。

最後まで読んで頂き有難う御座いました。

 何度も直してるのですが、まだに1部誤字や脱字、ルビ振りミスがあり申し訳ありません。


 もし宜しければ、評価ポイントやご感想頂けると幸いですm(__)m

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