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炎の記憶
夢を見た。
よく見る夢だった。
なんてことはない。ただただ目の前で豪華な蔵が焼けているのだ。
手には刀を抱き、その炎に背を向けて必死に走る。
高明にはこの様子を現実で見た記憶はない。
しかし夢の中では何度も見る。
夢は覚めてみるとぼんやりと忘れていくものだが、この夢だけは例外だった。
何度も何度も繰り返し見る。
やがて門が見えてきた。高明は言われたとおりにそこで止まった。
そして目の前に誰かが立つ。
高明は顔を上げてその人影の主の顔を見ようとした……
読んでいただきありがとうございます
本編をもう一話同時投稿しているのでそちらもどうぞ