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魂のエクソダス  作者: あだちゆう
2/11

2.悪霊と太陽

しかし、





しばらくすると、


肥沃な土地を離れて、

君は、草木の生えない荒野で、

気が狂いそうになる。



「とてつもないことをしたのではないか」

という罪悪感にかられ、


「ああ、本当に自分は悪魔の申し子なのか?」と


自分の歩む道に疑問が生まれ始める。




君は、

その荒野において、

「もうこれ以上生きることはできない」

と、無性に自殺したい衝動にかられる。



悪霊の群れが、

次から次へと、君の心にのしかかって押しつぶそうとする。


神の姿をした悪魔が、君に忠告をしてくる。




本物の神の姿が、君には全く見えなくなってしまった。



完全な絶望が君を支配する。



君自身の力では、

君自身の努力ではもはやどうすることもできない。




君はいよいよ、

その荒野を歩き続ける気力をなくし、

倒れる。



悪霊が、勝ち誇ったように倒れた君の体の周りを取り囲み、

はやし立て、大笑いする。




「もう好きにしてくれ・・・」


と、

うめいた瞬間、






心の中に激しい炎のようなものが沸き起こった。






何か、知らないが大声で叫んでいた。





君は、鬼のような形相になって、


剣をもって、


周りに覆いかぶさる枝や木を気が狂ったように切り始めた。




君の心は燃え始め、

再び、消えることのない光が目にともる。





「もはや、この身は朽ちてもよい。


されども、

瞬間でも、マジリっ気のない真理の光をこの身に宿して、

それから死んでいきたい。」



それでいいと思った。




小さな小さな光明だった。




しかし、それが瞬間ビッグバンのように燃え盛り、破裂して全身を震わせたかと思うと、


今見ている世界がクリアーになってきた。





おお!



見よ!

見よ!





目の前に、


真っ赤に燃え盛る太陽があった。




それは、燃えて、生きていた。




脈を打っていた。





その太陽が、


自分の魂に燃えるような火を投じていたこと、


一切の愛と光を与えていたことに気が付いたのだ。






君は、


その太陽の前で、


手を広げ

そして、ひれ伏す。


ただ、ひれ伏し、


君の魂は、どうにかしてその光にもっともっと触れようとあえぐ。






その太陽は、


君の魂に語りかけた。





それは、この世の言葉や論理的な言葉ではなかったが、


しかし、その言葉の意味していることは、

君の魂は、実にはっきりと理解した。


そう、

はっきりと。



懐かしく、知っている声だった。






太陽は、君にこう告げた。




「行け。


勇気を持ちなさい。


いつなんどきも、私はあなたを守り、力を与える。」




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