俺が送る朝は大抵酷い
春といえば始まりの季節。それは例外なく誰にでもやってくる。
・・・・・・・だがそれはこの素晴らしい時間が終わる瞬間にやってくるのだ。
[ねぇ・・・・・ねえったら~]
[zzz]
[ちょっと~たーくん起きてるよね~?]
[zzz]
すまんな、俺は起きたくないのだ。この暖かい布団の中で過ごしていたのだ。
[うぅ~たーくん起きてよ~]
泣きそうな声のような気もするがすまん、俺は起きたくないのだ!
[わかった~もういいよ]
お、諦めてくれたk・・・・
ドスン!
[グエェェェェェェェェェェェェ!!!!!]
突然腹部に強烈な刺激がきた。俺はベットの上で悶える事しか出来ない。
立っていた少女はいつも通りのおっとりとした口調で
[あっ、たーくんやっと起きた~おはよ~]
[おはよ~じゃねえわ!!!なにしたんだよ一体!!!]
するとおっとりとした口調で悪びれる気もなく
[かかとおとしだよ~]
[バカじゃねえか!?それが去年のミスコン優勝者がやることか!?十数年間一緒にいる幼馴染にすることか!?]
そう、ここで俺を凄まじい起こし方をしてきたのは俺の大事な幼馴染である[不知火綾乃]だ。茶髪で首元よりちょっと長いくらいでウエーブがかかっている。そして俺の住んでる家の目の前にある和菓子屋[しらぬい]の看板娘だ。俺も綾乃の両親とは顔見知りでバイトもしている。
ちなみに、綾乃目当てで来ている人も珍しくはない。ミスコンに優勝したとき親父さんが割引セールしたときには綾乃との写真撮影の申し込みがすごかった・・・でも超親バカの親父さんが激怒して撮影目当ての客は凄い勢いで帰っていったな。あの時の親父さんはマジでコワかった・・・
そんなラノベやギャルゲでしか見たことのない朝に起こしにくるイベントが毎朝起きている。でもかかとおとしやのしかかりとかはやめてほしい。
[でもたーくん、そろそろ出ないと遅刻するよ]
[いやいy・・・・・・・マジだ]
朝のホームルームまであと15分だった。
[急いで準備するから玄関で待ってろ!!!]
[は~い]
とてとて・・・パタン、
[相変わらずまったりしてるな~ってそんな事言ってる時間はねえよ!!!]
慌てて身支度を済ませ玄関で待ってる幼馴染に
[ホント悪い!!!いつもいつも寝坊ばっかで!!!]
[ううん、いつもの事だから気にしてないよ~それより行こ?]
天使だ・・・・・・俺の目の前に天使がいる・・・・・・
いやいや!それよりも急がないと!
[よっしゃ!いつも通り後ろに乗れ!]
[は~い]
自転車の後ろに乗ったのを確認して俺は自転車をこぎ始めた。
俺たちが暮らしてるここみなとミライはここ数年で都市開発が進み移住してくる人が毎年増えてきている。移住者の大半が学生でみなとミライには多くの学校がある。だがみなとミライって都市名だけど港どころか海がない。ここだけどうにかした方がいいと思ってるのは俺だけなのかな?
自己紹介が遅れたけど俺は松岡拓海、私立桐嶋学園高等学校の二年生になったばかりだ。学校名が桐嶋って理由は・・・・・・まあその事は後々。
全力でペダルを漕いでなんとかホームルーム開始6分前に着くことが出来た。朝からキツすぎる運動だったぜ・・・・・・
俺たちは生徒玄関に行かず、一度校門前に行き校門前で生徒たち一人一人に挨拶していたある人に話しかけた。
[お母さんおはよ~]
[おはよ~綾乃、拓海君]
[おばs・・・・・理事長おはようございます]
[うふふ・・・拓海君、いつも通りでいいわよ]
[いや、ここは学校ですし、周りの目とかもありますし・・・]
[私はそんなの気にしませんよ・・・ふふ]
[俺が気にするんです!]
この人は不知火架純、正真正銘綾乃の母親だ。しかもこの桐嶋学園高等学校の理事長だ。決して権力で俺たちは入学したわけじゃない。俺もここに入学してが架純さんが理事長だという事を知った。ちなみに性格はおっとりしてて綾乃は架純さん譲りだ。ちなみに、架純さんの旧名は桐嶋だ。だから架純さんの家系が世界で五本の指に入る桐嶋財閥だという事はよほど親しい人たちじゃないとわからない。いつも綾乃に構ってる?ってことで毎年お年玉で普通じゃあり得ない額を貰ってるが・・・・・・普通の学生が貰ってる数十~数百倍貰ってる。
あまりにも凄い額なのでほとんど使わないで貯金してるが・・・・・・
それだけ架純さんは懐が広いのだ。(別の意味でも懐が広い)
[挨拶してくれたのは嬉しいけど・・・ホームルームに遅れるわよ]
[え・・・・・やべ]
[それじゃお母さんまた後でね~]
[今晩またご飯用意しておいてくださーい!]
走りながら私情を話す俺・・・なんか恥ずかしい。
[わかったわ~学校頑張ってね~]
その後なんとかホームルームが始まるまでに間に合ったが俺の体力は既に限界だった・・・・・・
終戦の契約者〈コントラスト〉もよろしくお願いします