接触
ガラッ
教室の扉を開けて、入ってきたのは2ーS担任の茅場彰人だ。
キャー
茅場先生!抱いてくださーい!
「お前等ー、今日からこのクラスに編入生が入る」
ー…
どんな人だろー?
かっこいいかな?可愛いかな?
「それは、直接見ろー。太陽入ってこい」
ガラッと扉を開けて太陽が入ってきた
「桜宮太陽だ!見た目で判断する奴とは、仲良くしないからな!俺は優しいからお前等全員と友達になってやるよ!」
「太陽は、優しいな。お前等ー、太陽は俺の物だから手、だすなよ」
教室中が騒然とするなか、一人だけ歪んだ笑みを浮かべた者がいた。
「太陽の席は、山本の隣だ。山本ー手あげろ
」そう言って茅場が呼んだ山本は、爽やかな好青年という言葉が似合う男だ
「お前、山本っていうのか!俺は、桜宮太陽だ!太陽って呼べよな!なぁなぁ、下の名前はなんて言うんだ⁉︎」
「ああ、創だよ。山本創っていうんだ。よろしくね」
✳︎✳︎✳︎
俺の、左隣の席に来た編入生。
クラスの爽やか君と仲良くなってるけど、気づいてるのかな?
クラスの奴らの殆どを敵にまわしたことに
「あ!なぁ、お前は名前なんていうんだ⁉︎」
そう言って俺にも話しかけてきた
「俺の名前はね、神谷流星っていうんだ。」
きっと、こいつは俺らのことなんてわからない。
“神谷”なんて、表ではそれなりに有名なだけで、この学園ではよくあるレベルの会社。
でも、実際に“神谷”を潰そうとしても潰されるのは手を出してきたほうだ。
理由は、俺の主。帝様だ
普通の生徒は、知らないが実際にこの学園を支配しているのは、帝様だ。
風紀委員会に生徒会室親衛隊。
この学園では、生徒会と同等の権力をもつ風紀委員会。
そして、学園の大多数の人が入っている生徒会親衛隊。
そのどちらもが、俺と同じ。いや、似たものを付けている。
俺の襟には、帝様のお気に入りの証であるシルバーのピンバッチ。
ヒラの、風紀委員と生徒会親衛隊員の襟には
帝様の手足となる、ペットの証のブロンズのピンバッチが付いている。
つまり、こいつの無意識の行動はまったく役に立たない。
おおかた、平凡顏の俺を近くに置いてなら自分への被害を減らせると思っているんだろうけど、親衛隊はバッチの意味を知るものがいるから俺に手を出してくるのは殆どいないし、風紀委員も同様だ。どちらからしても、バッチを付けている者を傷つけてはいけないとわかっているから。
その証拠にこのクラスの生徒会親衛隊の奴は
俺が爽やか君に近づいても、何も言わないどころか俺を傷つけてる可能性のある編入生を睨んでいる。
「流星っていうのか!よろしくな!」
「うん。よろしく」
さぁて、こいつの化けの皮はいつ剥がれるかな?
キーンコーン
太陽は、あれからも話し続け昼休みが来た。
「なぁなぁ、流星!食堂行こーぜ!創も!」
昼休みのチャイムが鳴った瞬間、毬藻が誘ってきたが、溜め息を押しとどめ肯定の返事をした。
「うわ〜、でけぇ扉だな。」
「開けるよ」
こいつの話なんか聞いていなくないから
サッサと扉を開ける。
キャー創様ぁ。
今日も爽やかですぅ
なに、あの毬藻と平凡!創様に、近づかないでぇ〜
食堂に足を踏み入れると、すぐに聞こえる声
まぁ、俺と毬藻じゃ罵声の量が全然違うけど
…あ。毬藻が俺への罵声が少ないのを不思議がってる。演技へだだなぁ
「な、なぁなぁ。早く席座ろーぜ!」
毬藻の言葉を俺と爽やか君は返事をして席に着いた。
「太陽は、何食べる?」
「えっとな…オムライスにする!」
じゃあ、こう頼むんだよと言いながら毬藻の手を動かして頼んでいる
「オムライスと和食セットと日替わり定食です。」
そう言って、俺たちのを持ってきてくれたウエイターさんの襟にはシルバーのピンバッチがあった。
へぇ…お仲間さんだ
「ありがとうございます」と礼をすると
いえ、仕事ですからと片方の口角をあげて笑っていた。
この人も、気づいたんだ。
この毬藻の本性に…。
やっぱり、あの人がお気に入りにしている人だから面白い人が多いな。
それから、昼食を食べ始めたがしばらくしてから、食堂に、歓声が響いた。
「ど、どうしんだっ⁉︎急にうるさくなったぞ‼︎」と騒ぎ出した毬藻に爽やか君が説明をする
「太陽。生徒会の人達が来ただけだから、気にしなくていいよ」
「生徒会?」
「うん。この学園で理事長の次に権力を持ってる人達」
あーあ、そんな説明したら毬藻が興味もつに決まってるのに
ざわざわとした声がこちらに近づいてくる
「太陽!」
嬉しそうな声色で毬藻を呼んだのは生徒会庶務“神崎志弦”。
うわぁ、もう一人落としてたんだ。と思いながら見ていると
「この子が、志弦のお気に入り?僕は湊っていうんだ。きみは、名前、なんていうの?」ともう一人の庶務“栗山湊”が話しかけていた
「お前、可愛いな!湊って言うんだな!俺は桜宮太陽だ!太陽って呼べよな!」
「うん。太陽ってよぶね!桜宮ってあの桜宮?」
そう言う、そいつの声には少し媚が入っていた。
まぁ、桜宮っていえば相当な権力を持った家だし。この学校で桜宮に対抗できるのはあの人達を除けたら会長である“桔梗理玖弥”ぐらいだ。
「あのって、言われてもわかんねーけど叔父さんは、ここの理事長だぞ!」
「そっか」
少し歪な笑みを浮かべる栗山だが、考えていることが分かり易すぎる。
どうせ、この毬藻をオトシテ桜宮から援助してもらおうとおもってるんだろーな。
「はっ。桜宮の人間だからって見に来たがこんな身だしなみも、マナーもできてない奴だなんて見に来る価値もなかったな」
そう、言葉にした会長にもやっぱり噛み付く
「なんだよお前!偉そうに!マナーとか俺、ちゃんと出来てるぞ!」
「口の周りにソース付けていうセリフかよ」
そう言って口喧嘩し始めたが「オ…ライ、す、き?」という書記“黒河蜜”の言葉でストップがかかった。
「オムライスか⁉︎大好きだそ!」
と、答えると書記は目を見開きながら
「俺…とば、わ…る?」
「おう!わかるぞ!」
「凄いなぁ、俺もわかるようになるのに時間かかったのに」
「お前は、名前はなんて言うんだ?」
「俺は、生徒会補佐で狭間拓馬っつーんだ」
ちなみに、あんたに抱きついている人は
黒河蜜っていうんだ。と、言いながら毬藻の頭を撫でた。
「くだらねぇ。俺は帰る」
そう言って、会長はさっさと帰って行った
こうして、プラチナのピンバッチを持つあの2人以外の生徒会と面倒な毬藻編入生・桜宮太陽の初接触は終わった。
これからも、不定期更新を続けます(・ω・)
続きは、思いついたら書くので
なるべくはやく書けるようがんばります!