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96. 結局は

更新遅れた上に、やたら短い……

 翌日。

 琢郎とリリィはあらためて朝からギルドへと向かい、ロビーに貼られた依頼を確認していく。


 だが、一通り目を通してみた結果、


「ちょうどいいのはなかなかない、か……」


 琢郎はぼやくことになった。


 それなりの数の依頼は貼られてはいたのだが、その中で一番多いのは護衛のものだった。

 正体を隠さなければならない琢郎の都合上、これらは初めから対象外となる。


 次いで数があるのが、薬草などの採取の依頼だ。

 だがそれも、リリィがいたところとは地域が変わっているためか、リリィもよく知らないものばかりだった。

 見つけるコツがわかっていなければ時間がかかってしまう上に、ゴブリンと同じかそれ以上の強さの魔物の出現に注意するよう書いてあるものも多く、それでは尚更リリィが落ち着いて採取するには無理がある。


 そして、最も少ないのが魔物の討伐依頼だったが、これも今の琢郎とリリィに適したものはなかった。

 そもそも、依頼がなくても魔物の討伐部位の買取は常時行われているわけで、あえて特別な報酬を出すというのはそれだけの理由がある場合に限られる。

 それゆえ数が少ないのだが、代わりに質が高い。リリィの今のランクでは、単身受注できるものがそもそもほとんどなかった。


「……これは、ちょっと……」


 1つだけ受注可能な討伐依頼もあるにはあったが、また厄介な代物だった。


『レルタの町に近い沼地で大量発生したポイズンフロッグの討伐』


 名前からして毒持ちの魔物であるのは歴然だ。毒を有した魔物との戦闘のノウハウは、リリィはもちろん琢郎にもない。

 加えて、ここレオンブルグから離れた町での討伐を、人数無制限で募集している。それだけ数が多いのだろうが、そうなると現地で他多数の冒険者とのバッティングも予想できてしまう。その点からも、やはりこの依頼は選び難い。


「どうします? 今日は依頼を気にせず、また角兎や他の魔物を狩りに行きます?」


 リリィの意見に、琢郎も頷こうとした。


「ほう。早速、手頃な依頼を探しているのか?」


 だがその時、不意に声がかけられるとともにリリィの肩を軽く叩く手があった。

 振り返ると、そこには微笑を浮かべたゾフィアが。


「また会いたいとは思っていたが、昨日の今日でもう会えるとは思わなかったよ。で、キミたちはどんな依頼を受けるんだ?」


 再会を喜ぶ言葉の後の問いかけに、琢郎たちは上手く言葉を返せず、苦笑気味の表情を浮かべるしかなかった。


「うん?」


 (いぶか)るゾフィアに事情を説明する。

 他の相手ならともかく、彼女なら昨日のことでこちらの都合などはある程度理解しているので話してもよかった。

 ただ、依頼書の前で長話をしていると邪魔になってしまうので、昨日打ち合わせをした場所までロビー内を移動した。



「……なるほど。そういうこと」


 主にリリィが説明を行った後、得心したゾフィアは軽く首を縦に揺らす。

 そして、再びその顔に笑みを浮かべた。


「だったら、都合がいい。よければ、これから私の受けた依頼につきあわないか?」


 その依頼とは、昨日ゴブリンを狩ったのとはまた別の山で数種の薬草を採ってくるというものだった。

 比較的魔物の出現が少ない山である上、採取を手伝うために薬草類の見分け方やどのような場所に生えているかといったことも教えてくれるという。


「ただし、報酬は私と、キミたち2人とで折半だ。どうだろう?」


 琢郎とリリィ2人で1人分ということだが、今後も役立つだろう薬草類の見分け方などを教えてくれることを考えれば十分だ。

 むしろ色々教えてもらうだけで、報酬などなくても不思議ではない。こちらに都合が良すぎるくらいの提案だった。

 横のリリィの方を見ても、かなり乗り気になっている。


「わかった。じゃあ、昨日に続いてになるが、今日も色々世話になる」


「こちらこそ。よろしく頼む」


 琢郎が代表して了承の意を伝えると、ゾフィアはどこか嬉しそうに答えた。

当初は即フェードアウトの予定でしたが、もうちょっと3人パーティ継続です。


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