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44. 料理その2

前回の続き。

 ただ、料理をするとなると、棲家の中では狭い。

 入り口近くで話していた琢郎は割れ目をくぐって外に出ると、リリィにも渡したナイフやコップは持ったままでいいので棲家の外に出るよう促す。

 その手のコップが空になっているのが、それなりに信用してくれた証ならば少し嬉しく思えた。


「そこで、ちょっとだけ待っててくれ」


 怯えられないよう入り口から数歩下がってリリィが出てくるのを待つと、入れ替わりに再び中に戻る。


 さっきまでリリィがいた奥まで行き、そこの荷物の中にあった鍋と塩の袋を取り出した。

 入り口近くに一度置いておいた小型の猪も回収して、さっき集めてきた野草などの食材も含めて全て担ぐ。これらを運ぶ先は、周りの地形を確かめた時にすでに見つけてあった。


「待たせた。こっちに料理するのにいい場所が……」


 先導しようと一歩踏み出したところで、ふと気づいた琢郎の2歩目が止まる。

 向かう先は斜面の一部がほぼ平らになっている場所なのだが、そこへ行く途中の道が少々険しい。月明かりがあるといっても、日中に比べるとやはり暗くもある。

 リリィの足では危ないかもしれなかった。


「ん~~」


 どうしたものか。

 ここへ連れてきた時のように琢郎が担いで運んだ方が、安全だろうとは思う。

 だが、意識がない間ならともかく、今琢郎が彼女を抱えると言えばさすがに嫌がられるだろう。


 仮にいいと言われても、琢郎自身もし途中で変なところに触れてしまえば色々とマズイことにならないとは言い切れない。抱き上げるのではなく、安全のため手を繋ぐにしても同じことだ。


「よし、これを掴んでくれ」


 結論として、琢郎は持ち出した鍋の持ち手の片方を持ち、反対側の持ち手を動きを止めたことに(いぶか)っていたリリィに差し出した。


「えぇ?」


 当然だが要領を得ない少女に、


「これから少しだけど険しい場所を通る。だがまだ、俺に直接触れるのは怖いだろうから、安全のためだ」


 理由を説明して理解してもらうと、逆の持ち手がしっかり握られるのを待って歩みを再開した。


 リリィのペースも考えた速度で、山の斜面を北側へ回っていく。足場の悪いところは元素操作でわずかずつだが通りやすくしながら進み、やがて平坦な場所に出た。


「ここだ」


 到着を告げると、琢郎は運んできた食材を下ろしていく。


「とりあえず、使えそうなものを好きに選んでくれ」


 この場所も月の光がしっかり差し込んでいて、識別には十分な明るさがあった。

 リリィに食材を確かめてもらっている間に、琢郎は適当な石を拾い集める。

 元素操作と組み合わせて簡易なかまどのようなものを作ったり、大きめの石を風の刃で削って平らな板状に加工したりと別の準備を進めていった。


 鑑定の結果、猪の肉やゴボウに似た根菜は普通に食用。

 野草はリリィの知らないものや食用に適さないものがあって、使えるのはそのまま食べられるものと茹でた方がよいものの2種類だけだった。

 木の実の方は1つがまだ未成熟だが、野菜のように食べられるもの。もう1つが甘いことは甘いのだが、火を通さないと腹を壊してしまうものだったらしい。


 料理といっても用意された道具は先に渡してあったナイフと、鍋が1つに今さっき削ったまな板代わりの石くらいのもの。

 ただし、火は食材と一緒に拾ってきていた枝に元素操作で種火を付けて熾し、水も同じく琢郎が元素操作で必要なだけ出すことができた。


「こ、こんなものしかできませんでしたが……」


 そうしてできた料理は、塩を振って焼いた猪の肉串。残りの肉と野草を鍋で煮たもの。生で食べられる野草と木の実を刻んだサラダ。


「いや上等、上等」


 主食のパンを荷物から出した琢郎は、リリィに半分それを分けるとありがたく少女の作った料理に手を付ける。


 味付けは基本塩だけのはずだが、琢郎が自分で作ってもこうはいかないだろう。そんな風に思える味だった。

 デザートには、炙ることで水分が減ってより甘味を増した木の実を半分ずつ。


 共に食事をすることでまた少しリリィからの警戒が薄れたことも感じ、琢郎は十分に満足することができた。

表題の割には、肝心の部分に描写がほとんどない。これは書いてる本人に料理スキルがないことに起因していますのでご勘弁を。

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