一番最初の贈り物
小さな小さな女の子。可愛らしい青いワンピースに赤い靴、栗色の毛糸の髪に赤いリボン。くたっと肩を落としてうつむいて、窓辺に座る小さな子。
お日様もお月様も窓辺に腰かけ女の子と一緒に毎日を毎日過ごしていました。
女の子はずっとずっと待っていたのです。ただただ静かに窓辺で待っていたのでした。
ある夜の事、お月様に影が出来ました。小さな小さな影は、少しづつ大きくなって、やがて女の子を包みこむほどに大きな影になりました。
影は、礼儀正しく窓をノックしてから、月明かりのように窓をすり抜けると女の子に言いました。
「月に願う、人形だな?」
「……? ……」
「そうかではいくとしよう」
影は窓の鍵を開け、女の子をくわえると夜の空に飛びたちました。
高い高い空の上、女の子は街の明かりの上を飛び、風を切って、たくさんの家と学校を越え、公園を越えて、とある森までやってきました。
「……?」
「あら、あなたは?」
そこにはスラリと長い体にキラキラした瞳の白蛇のお姉さんがいました。白蛇は影と女の子の周りをしゅるしゅるまわり女の子の顔を覗き込みました。
「蛇よ、この子をお前の子供にして、幸せにしてやってもらえぬか」
「かまわないわ。よろしくね」
「……」
お月様が西の空に帰りはじめていました。女の子が気がつくと影はどこかへ消え、蛇と女の子だけになりました。
蛇は女の子を見つめて少し考えました。
「娘、よくお聞きなさい。幸せになるには賢くならねばならないわ。つまり、知恵をつけるのよ」
「……」
女の子は白蛇のお母さんの言葉にうなづきました。とても物知りな白蛇は女の子に色々なことを教えました。
「物にはみんな名前があるのよ。名前を知ることはとても大切なことなの」
蛇はそういうと小さくて赤い実を女の子の前に置きました。
「これはリンゴよ」
「……」
女の子は蛇のお母さんに言われた通りリンゴを覚えました。
蛇は女の子と歩きながら、森の中にあるいろいろなものを見せて「あれはね……」「あれはね……」と言って名前を言って聞かせました。名前を一通り聞かせ終わると、蛇のお母さんは女の子を木の根元に座らせ、いろいろな話を聞かせてあげました。
太陽が東から西に歩んでいくことや季節が変わっていくこと、昔のこと、今のこと、これからのことやその考え方など。
女の子は自分の知らないことを知り、世界の中で知ってる部分が増えていったのでうれしい気持ちになりました。
やがて雨が降ってきました。白蛇は女の子をよく知っているほら穴へと案内しました。蛇のあとを女の子がついていきます。
蛇と女の子はすっかり濡れてしまいましたが、ほら穴についてからも蛇の話は続きました。
女の子は思いました。
何かを知っているってとても大事なことなのね。何かを考えるってとても大事なことなのね。何かを学ぶってとても大事なことなのね。
やがて白蛇が眠りにつくと女の子は一人でも色々なことを考えるようになりました。
色々な物の名前、色々な出来事、それがどうして起きるのか。
どうして自分はいるのだろう? 私がしていることは意味があるのかな? 私がここにいてもいいのかな? どうして、私はこんなこと考えているのかな……?
女の子は蛇のお母さんの寝顔を見ましたが、女の子には答えを出すことができませんでした。けれど、それはもし誰かに、答えを言われても女の子にはもしかしたら納得できないかもしれない、と思いました。
女の子が悩んでいるとほら穴の入り口で声がしました。そこにはあの影が立っていたのです。
「人形の娘。お前の答えは見つかったか?」
「……」
「そうか、では、行くとしよう」
「……」
女の子は眠っている蛇を見て思いました。
夜は涼しいから、眠っているのね。
月影は女の子をくわえるとまた空へと飛び立ちました。星と月を目指して雲を抜け、夜空を飛んで、影は北へ向かって飛びました。
しばらく飛ぶと影は女の子をまた森におろしました。
「うん? あんたは?」
そこにはとても大きな体をした黒くてつやつやした毛並みのイノシシの姐さんが立っていました。イノシシは大きな顔を近づけ影と女の子のことを覗き込みました。
「イノシシよ、この娘を、お前の子供にして、幸せにしてやってもらえぬか」
「かまわないわよ」
「……」
影は少し寒そうに空を見上げると、静かに帰っていきました。
イノシシは女の子を見下ろして少し考えました。
「娘、幸せって何だと思う。それはね、元気だってことさ。元気っていうのは力が強くてたくさん食べるってことだ」
女の子はイノシシのお母さんの言葉にうなづきました。体が大きくて力の強そうなイノシシは女の子の体が強くなるようにたくさん体を動かすようにいいました。
女の子はイノシシのお母さんの言う通り、がんばって体を動かします。
走ったり、転がったり、木に登ったり、隠れたり、イノシシは女の子に体の動かし方を見せたりしました。
「ほら、こうするの」
「……」
イノシシがお手本を見せたので、すぐに女の子はマネをしました。
「違う違う、こうよ」
「……」
そう言われて女の子はまたイノシシのマネをします。
「そう、それよ!」
「……」
イノシシは褒めてくれましたが女の子には何が違っていたのかよくわかりませんでした。
女の子は体を動かして自分が出来なかった事を知り、出来ることが増えていくことにうれしい気持ちになりました。
しとしとと、雨が降ってきました。
このままでは女の子とイノシシは濡れてしまいます。
「このぐらいの雨なら大丈夫、大丈夫」
「……」
イノシシと女の子は雨が降ってもかまわず遊びました。けれど、しだいに雨が強くなってきたので、イノシシと女の子はいそいで近くのほら穴に逃げ込みました。
イノシシも女の子もすっかり濡れてしまいました。でも、イノシシも女の子も元気なので気にしません。
イノシシと女の子はほら穴の中で食事をすると、すっかりお腹がいっぱいになって眠くなりました。
女の子は思いました。
元気な事ってとても大切なことなのね。元気にいっぱい動いて、いっぱい食べて、とても楽しかった。
イノシシが眠ったあとも女の子は一人で元気に遊び続けました。
ふと女の子は気がつきました。足も手もボロボロになるほど、女の子は遊んでいたのです。
「……」
女の子は足をとめて少し考えました。
このまま遊ぶ? でも、足が……?
足がほつれてしまいそう。手が擦り切れてしまいそう……。
「……」
でも、このまま楽しいから遊ぶことにしよう。だって動くことは楽しいのだから。
きっと、自分の足がほつれたり、手がほつれてしまっても女の子は何も思わないのかもしれません。
どうして?
女の子はイノシシのお母さんの顔を見ましたが、女の子は答えを出すことができませんでした。
女の子が悩んでいると暗い木の枝の上で声がしました。そこには寒そうにした影が立っていました。
「人形の娘よ。お前の答えは見つかったか?」
「……」
「そうか、では、いくとしよう」
「……」
女の子はイノシシの寝顔を見て思いました。
疲れて眠ってしまっているのね。
月の影はボロボロになった女の子をくわえるとまた空へと飛び立ちました。星と月を目指して雲を抜け、夜空を飛んで、月の影は東へ向かって飛びました。
女の子が疲れてすっかり眠ってしまって少し経った頃、そこに到着しました。
「……」
「あ、あの、えっと、あなたは?」
そこには大きな耳をぴんと立てたうっすらと青みのかかった毛並みのうさぎの女の子がいました。うさぎは少し離れたところから慎重に女の子のことを覗き込みました。
「うさぎよ、この子をお前の子供にして、幸せにしてやってもらえぬか」
「ええっ!? 私の?」
「……」
「……えっと、えっとね、じゃあがんばってみるね」
影はお日様が早く出てきてしまったので、慌てて帰っていきました。
うさぎは、女の子に近づくと少し考えてからこう言いました。
「あのねあのね、大事な事を教えてあげるね。幸せはね、みんなと仲良くすることなんだよ」
「……」
「でね、でね、仲良くするためにはね。いろいろなことを我慢するといいんだよ」
「……」
女の子はうさぎのお母さんの言葉に頷きました。やさしげなうさぎは女の子に色々な話を聞かせました。
「あのねあのね、自分がこうかなって思ったことでも、すぐには言わない方がいいの」
「……」
女の子は頷きました。
「あとね、ほしいものがあっても、すぐに手にとってはダメよ。だって他にほしいって思っている子がいるかもしれないもの」
「……」
女の子はまた頷きました。
女の子はうさぎに聞きたいことがありましたが、うさぎの言う通り我慢して聞きませんでした。
うさぎはうさぎが今までにあった話をし、女の子は黙ってそれを聞きました。
うさぎがほしかったものを我慢した話、うさぎが言いたかったことを言わなかった話、本当は泣きたかったけど、怒りたかったけど、笑ってみせた話。だけど、うさぎには友達がたくさんいました。自分の事を悪く言う子はいないのだとうさぎは女の子に教えました。
やがて雨が降ってきました。
「あ、雨だ、あの木陰に行こう」
うさぎがそう言ったので、女の子はついていきました。
すぐそばに小さな木陰がありました。
ここなら雨に濡れなさそう。しかし、木陰にはすでに雨宿りをしている犬の姉妹がいました。
「あら、うさぎさん、こんにちわ」
「こんにちわ」
お姉さんがあいさつすると、妹が続いてあいさつをしました。うさぎは雨に濡れながらぺこりと頭を下げました。
「こんにちわ、犬さん」
うさぎは考えました。
私とこの子が入ると木陰が狭くなってしまうし、犬さん達が濡れてしまうかもしれない。
「うさぎさん、雨宿りしないの?」
「しないの?」
「う、うん、先を急いでいるの」
うさぎは濡れながら笑顔で言いました。
「私達が入ったら、あなた達が濡れてしまうかもしれないしね」と女の子はうさぎが言うのではないかと思いましたが、うさぎは言いませんでした。
うさぎは犬の姉妹に笑顔でお別れを言って、濡れながら歩き出しました。
女の子もうさぎのあとを歩きます。
また少し歩くと、今度は大きな木陰を見つけました。
「あ、よかった、あそこなら平気だね」
うさぎと女の子はその木陰に入り、雨に濡れなくてすむようになりました。
すると、そこへ牛の親子がやってきました。
「あら、うさぎさんこんにちわ、雨がひどいわね」
お母さん牛が言いました。
「は、はい」
牛の親子が大きな木陰に入ると、そこは小さな木陰のようにとても窮屈になりました。うさぎと女の子が濡れないようにすれば牛の子供かお母さんが濡れてしまいます。
うさぎはすぐにそのことに気がつきました。
「あ、そうだ、私達行きますね」
うさぎはそう言って、女の子を連れて小さくなった大きな木陰を出ていきました。
「私達がいたら牛さん達が濡れてしまいますね、だから出て行きます」女の子はうさぎが言うのではないかと思いましたが、それもうさぎは言いませんでした。
うさぎと女の子はまた歩き始めます。
雨が少しづつ強くなってきました。
次に訪れた中ぐらいの木陰はすでにうさぎと女の子が入る分はありませんでした。
うさぎは黙って、そこを通り過ぎます。
うさぎと女の子はすごく濡れてしまいました。当てもなく歩いていると、誰もいないほら穴を見つけることができました。
うさぎと女の子はそこに逃げ込みます。
「よかった、ここなら雨に濡れないね」
「……」
うさぎが喜んだので、女の子は頷きました。長く歩いてうさぎも女の子もすっかり疲れてしまいました。
うさぎの赤い瞳は今にも閉じてしまいそう。でも、うさぎは眠ったりしません。
「……?」
そう、それは女の子がいるから。うさぎは女の子がいるから寝ないように我慢していたのです。
女の子はそれに気がつくと、すぐにすぅすぅと眠りにつきました。
そう、女の子は寝たふりをしたのです。
すると、それをみたうさぎもすぐに夢の中へと跳ねていきました。
女の子はすっかり眠ってしまったうさぎの寝顔を見ながら考えました。
どうしてどうして、そんなに我慢するのかしら? みんなと仲良くできるから? でも、うさぎさんはあんまり笑わないのはどうしてかしら?
女の子が悩んでいると、ほら穴の入り口でいつの間にかやってきた月の影が言いました。
「人形の娘よ。お前の答えは見つかったか?」
「……」
「そうか、ではいくとしよう」
女の子はうさぎの寝顔を見つめました。女の子は何か声をかけてあげたい気持ちになりましたが、女の子は何を言えいいのかいいのかわかりませんでした。
影は女の子をくわえるといつものように空へと飛び上がりました。
影は高く遠く森の奥を目指して飛びました。濡れた女の子の服と髪が乾き、空の水をすっかり風に返した頃、女の子は森の中でも奥の奥に連れてこられました。
そこには大きなバラの蕾をつけたバラの樹と長いしっぽと長い毛足の真っ黒な猫が座っていました。
「……? 誰?」
黒い毛並みに満月のような金色の瞳、大きな耳と長いしっぽを揺らしながら、猫は影と女の子と順番に見ました。
「猫よ、この子をお前の子供にして幸せにしてやってもらえぬか」
「……そんな難しい事引き受けられないわ」
黒猫はそう言って断わりました。すると、影は猫のバラの樹を見て言いました。
「そのバラの樹は大事なもののようだな」
「ええ」
「もうずいぶんと花が咲いていないのだろう?」
「……ええ」
「ならば、この娘を子としてくれたなら、その花を咲かせてやろう」
「……」
月の影の言葉に黒猫は考えました。
黒猫がすごく考えこんでいるので、バラの花が猫にとってすごく大事なものなのだということは女の子にもわかりました。
「わかったわ」
「そうか」
そう言って影が消えるようにいなくなると、黒猫は女の子に近づき座っている女の子ことを覗き込みました。
そして、少し考えたあと、猫のお母さんは女の子の頭にぽんっと手を乗せました。
「……?」
猫は女の子の頭を撫でたのです。
それから猫は女の子の前でしっぽを振ってみせました。
何をしているんだろう……? と女の子は思いました。
猫は少し考えたように首をかしげると、しっぽを振るのをやめて、女の子のそばに寄り添いました。
「……」
猫は女の子の近くにいるだけで、これといって何もしませんでした。ただ、女の子のずっとそばにいました。
猫が何をしているのか女の子にはよくわかりませんでした。けれど、猫がずっとそばにいたおかげで猫が温かくて柔らかいのだとよくわかりました。
温かくて柔らかいのは気持ちいいのだなと思いました。
「……」
女の子はうとうとし始めました。
突然、猫が立ち上がりました。
猫が立ち上がると急に冷たい風が女の子を包みこみました。
「……!?」
こんなに冷たい風が吹いていたんだ……。
そのことに女の子は初めて気がついたのです。立ち上がった猫は空を見上げます。
まもなく雨が降りはじめました。
猫はすぐに女の子をくわえると“とっとっとっ”と歩き始めました。
「……?」
雨が二人を濡らします。猫が近くのほら穴につくと、そこにはすでに羊の兄弟が雨宿りをしていました。
「やあ、猫さん、こんにちわ」
「ええ、お邪魔するわね」
羊のお兄さんが挨拶したので、猫もペコリと頭を下げた。
猫は女の子を木陰におろすと、女の子をぺろぺろとなめて、濡れたところをふき取ってあげました。
「……?」
女の子は気がついていました。猫の腰から先が雨に濡れてしまっています。
羊の兄弟がいるので、猫と女の子が雨宿りをするだけの場所が空いていなかったのです。だから、猫は女の子だけを木陰に入れていたのでした。
どうして? 猫さんの方が濡れているのに、私を拭いてくれるのかしら?
やがて雨がどこかへ行ってしまうと、羊の兄弟も無邪気に挨拶をしてどこかへと行ってしまいました。
猫が木陰に入るころには、猫のしっぽはすっかり濡れてしまっていました。
「……ごめんね、これでは遊ぶことはできないわね。あなたが濡れてしまうわ」
「……?」
猫はさっきしっぽを振った時のようにまたしっぽを振ってみせました。
女の子はとても不思議に思いました。
私は少しも濡れていないのに。猫さんの綺麗なしっぽがあんなに濡れてしまっているのに、どうして猫さんが謝るのかしら?
猫が体の濡れていない部分で女の子を包みました。すると、女の子はまた眠くなりました。やがて、猫も眠ってしまいました。
どれほど時間が経ったのかわからなくなるぐらい深く深く眠っていたその時、女の子はどこからか呼ばれて目を覚ましました。
「人形の娘よ。お前の答えは見つかったか?」
「……」
「そうか……」
月の影がそこまで言いかけた時、猫が体を起こしました。
「……? 娘に何かようなの?」
黒猫は月の影を睨みながらいいました。女の子はあわてて手を振りました。
「……」
「そう、もう行くのね」
猫は女の子にやさしげに言うと見下ろしながらいいました。
女の子は何だか不思議な気持ちになり、猫が触れているわけでもないのに何だか温かくなるような感じがしたのです。
「猫よ、約束を叶えよう」
影と猫と女の子は猫のバラの樹まで歩いていくと、影が言った通り、月明かりに照らされて、猫のバラの樹には一輪の大きなバラの花が咲きました。
「……」
あまりに大きくて綺麗なバラの花に女の子はすっかり感心してしまいました。これだけ綺麗なバラであるならば、黒猫が大切にしているのもわかります。
「……!」
黒猫は少しもためらうことなくバラの花をとると、女の子に差し出しました。
「……?」
どうして? 大切なバラなのに?
「大切な存在にもらってほしいからよ、私からバラを受け取って」
「……」
女の子は猫からバラの花を受け取ると、なんだか自分が猫のバラの花になったような気持ちになりました。
「……」
女の子は自分の髪に結ばれた大切な赤いリボンを猫に結んであげました。
「ありがとう、大切にするわ。さようなら私の子」
「……」
「さあ、いくか……」
女の子は自分を見つめる黒猫を見て、黒猫を抱きしめてお別れをしました。
女の子は月の影にくわえられ、高く高く飛んでいきました。
黒猫がいつまでも女の子のことを見送り、女の子もいつまでも猫のことを忘れませんでした。
女の子は月の影にお礼を言いました。女の子は自分の知りたかったことを知ることができたのですから。
「そうか、ならば、私からも餞別を贈ろう」
「……」
※
小さな人形。可愛らしい青いワンピースに赤い靴、栗色の毛糸の髪の毛、バラの髪飾りにボタンの瞳。くたっと肩を落としてうつむいて、窓辺に座る小さな子。
ある日の事、彼女の後ろでドアが開きました。待っていた日がとうとうやってきたのです。
大きな大きな手に運ばれて、小さな女の子はすやすや眠る赤ちゃんのとなりに案内されました。
そう、女の子は赤ちゃんが来るのをずっと待っていたのです。女の子はずっと悩んでいたのです。初めて会う赤ちゃんに、これから一緒に過ごす赤ちゃんに何か贈り物をしたかったから。でも、女の子は何を赤ちゃんにあげたらいいのかわかりませんでした。
「……」
女の子は少しだけ不安になりながら赤ちゃんの顔を覗き込みました。そして、少し考えたあと、赤ちゃんの頭にぽんっと手を乗せました。女の子は赤ちゃんの頭を撫でたのでした。
すやすや眠る赤ちゃんが微笑みむと、女の子はほっと安心したのでした。
きっと、あの黒猫のお母さんもこんな気持ちだったのかもしれないなと、女の子は思いました。
おわり
黒猫と赤い薔薇、猫の友達の登場動物が出ています。よろしければ、併せてお読みください。