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プロローグみたいな奴

俺の名前は長野深雪。チョーノではなくナガノだ。

目が覚めると俺は親父と一緒にベッドで寝ていた。

高校2年になり微妙に短い春休みを満喫していた矢先に起きたこの惨事を前に俺は思考停止していた。

「こ、こういうときは落ち着くんだ。まず現在状況から確認しよう、そうだそうしよう」

今日は4月1日木曜日で時刻は朝10時17分。隣には親父が寝ているがそういう趣味はない。

落ち着いて辺りを見渡すと一筋の疑問が脳内に湧いた。

「あれ?俺の部屋こんなだったっけ?」

見渡すと明らかに昨日まであった命の次に大切な物たちが消え去っている。

「マジかよ、HDDくらい残してくれてもいいじゃないか・・・・・・」

そんな悠長なことを言ってられる状態ではないので家の中を探し回ること十数分。

「これは親父以外出かけてるパターンか?とりあえず俺のスマホぐらいはあって欲しいな」

探すこと再び十数分、自分の部屋らしき部屋にはないと悟り、さらに探すこと数秒。

リビングで普通に充電してあったじゃないかこの野郎、俺の十数分を返しやがれ。

「なにはともあれこれで連絡が取れ・・・・・・え!?」

連絡先が真っ白じゃないですかーやだー。連絡手段が全部断ち切られてやがるこのスマホ。

とりあえず着替えて散歩でもしよう、そろそろ自分の存在が疑わしくなってきた。

そうだ、学校だ!そこに鍵がある。と信じたい。

ちょうど大体の部活が終わるであろう12時に家を出た、絶対誰かに会えると信じて。

外に出てみると、空は雲ひとつない晴天という奴でなかなかの散歩日和だった。

そして通学路に同学年の男子を発見、突撃インタビューを図る。

「おはよう、いい天気だね」

男子は何事もなかったかのように俺の隣を歩き去っていった。まるで俺がいないかのように。

流石に意気揚々と話しかけて無視されたらとてつもなく凹む。

「何無視してんだよバカヤロー!」

後ろから野次を飛ばしてみるもやはり無反応。

しばらくその場で悲しみに打ちひしがれていると同じクラスの女子が横を通る。

「おーい、頼むから反応してくれー」

当然のごとくスルー。私の心がさけるチーズのように削がれていく。

こうなったらやけくそだ!勇気を出して彼女の前に立ちはだかる俺。なにやってんだか。

すると彼女は何の躊躇もせず俺に突撃してきた。こういう展開もアリかもしれないな。

彼女は俺の体をすり抜けて歩き去ってしまった。流石の俺もこれには絶句。

「なんだよこれ、エイプリルフールで俺の存在が嘘になりました的なノリなのか?

いや、まさか幽体離脱でもしてしまったとでも言うのか!?そしたら本体は・・・・・・親父か!」

まさか俺が親父の霊だったなんて、離脱のショックで若返った的な?

そんなアホらしい展開は流石にないだろう。というより路上で何を叫んでるんだ俺は。

「もう誰でもいいから俺をこの状況から救ってくれ・・・・・・」

何気なく放った諦めの一言に後ろから会話が帰ってきた。

「元気がなさそうだな少年!私が助けに来たからもう安心しなさーい!」

振り返るとそこには夢に描いたようなロングヘアーの金髪美少女が仁王立ちしていた。

身長は150後半くらいで曲線美がより引き立つスポーツウェアみたいな衣服に身を包んでいらっしゃる。

目の色は透き通るような青色で体付きは、なんというか全体的にバランスがいい。

正直助けより彼女が見れたことの方がうれしい。

年齢は・・・・・・見た目で言うと中学生くらいで体つきで言うと俺より年上な感じがする。

これらを一言で表すと、すばらしいということである。

「なにじろじろ見てるんですかー?早く出発しないと到着が夜中になっちゃうよー」

そんな問いかけをしてくる彼女のナイスバディを十分に堪能したところで本題に入る。

「あのー、俺はこれから一体何処へ行って何をされるんです?」

「それはですねー、向こうの学校に通って自分の能力と戦闘力を鍛えるんですよー!」

笑顔で凄まじい答えを叩きつけられた俺は冷や汗ダラダラである。

能力ってなんだよ!戦闘力って難だよ!一体何処の惑星間戦争に巻き込まれるんだよ俺は!?

俺はこれはもしかしたら本当にそういう感じになっているかもしれないと考えを改めた。

言葉を慎重に選び、台詞を考えること数分。

「じゃああなたも何か能力を使えるんですか?」

随分と冒険した質問を繰り出す俺、恐怖と緊張で放心寸前の状態だ。

彼女が常に笑顔なのがこれまた恐怖を駆り立てている。

そういうと彼女は手を前に突き出して、何かの構えを見せた。

「んー、しょうがないなー。特別にちょっとだけ見せてあげよう!」

そしてそのまま掌から光の玉を発射した。眩しいので玉かどうかもわからないが。

えげつない音と同時に爆風が吹き荒れる。今夜のニュース速報は賑わいそうだ。

着弾先に目をやると、コンクリートの塀に穴が開いている。

ピンポイントで真ん中に風穴が開いている、何処の重機械だよコイツ。

彼女はこちらにガッツポーズをしているが俺は開いた口が塞がらなかった。

ビビッてばかりで自分に嫌気が差してきたからポジティブな方向に切り替えよう。

これで大体わかった、俺も頑張ればこうなれるんだ、と。

頑張れなかったらあの塀のように儚く散ることも感じ取れた。

「それじゃあ早速向こうに行きましょー!」

向こうって何!?すごく怖いんだけど!?やめて!これじゃあ拉致だ!!

そう思っても実際のところは恐怖で声は出ないため、ただ首を振るだけである。

「あ、そういえば連れて行く前にアレで一発殴るんだっけか」

そういうと彼女は黄金に輝くピコピコハンマーらしきものを持って近づいてきた。

明らかにピコピコハンマーのサイズがおかしい。どうやって出したんだよそれ、てかそれで殴るの!?

「ちょっと痛いけど我慢してねー!」 

待ってくれ、まだ心の準備が出来てない!咄嗟に頭を両腕で庇うような姿勢をとる。

瞬間、彼女のハンマーは横殴りに襲い掛かってきた。戦士の性って奴だ。

無防備なあばらに巨大ハンマーがぶち当たる。何処だかわからないが骨が折れる音がした。

耐え難い激痛とともに数メートル吹っ飛び地面に突っ伏す、だんだん意識が遠のいてゆく。

ああ、さようなら平和な世界・・・・・・ 俺の意識はここで途切れた。



目が覚めると何処だかわからない部屋のベッドに寝ている。当然横に親父は寝ていない。

白いカーテンがベッドを囲うように閉めてある。ここは病院かな?

よく見ると怪我が大体治療されている。包帯ぐるぐる巻きとか重症過ぎるだろ。

あばらはそれほど痛くないが吹っ飛ばされたときにやったであろう全身打ち身が痛い。

それでも立ち上がろうとすると扉の開く音がした。 この音はスライド式かな。

「せんせぇーいっ!彼は大丈夫でしょうかっ!」

入ってきたのは紛れもなく奴だった。そう、この怪我を引き起こした奴だ。

「あんたには罪悪感というものがないのかいパレルちゃん、2日も意識不明だったしまだ完治もしてないから色々手伝いくらいはしてやれよ?」

人柄のよさそうな医者らしき男が俺の気持ちを代弁してくれたようだ。

それにしても彼女の名前を把握したことより2日間意識不明の方が衝撃的だった。

と、なると今日は4月4日、日曜日か。それにしてもよく寝た気がしてきた。

「それにしても何でこんな怪我を負った状態で連れてきたんだ?」

俺が最も知りたいと思っていたことの核心を付く先生、きっといい先生に違いない。

「そ、それは・・・・・・あのーですね、ちょっと装置を使うときに事故が起こりましてですねー」

どうやら彼女は事故という名のフルスイングを隠し通すつもりらしい。

「もしかしてアレで思いっきり殴っちゃったとか?」

十数秒の間が空く。これは先生の予想が当たっちゃったパターンかな?

「ま、まあそーゆーことになっちゃいますね・・・・・・すいませんでした!!」

ついに自白した。だんだん先生が強すぎて逆にパレルさんがかわいそうになってきた。

「アレは頭を軽く小突く程度でいいって説明を受けたはずだがそれは・・・・・・」

「た、確かそんな事を言われた気がしないでもないかなー」

もう聞くに堪えないのでここで立ち上がりカーテンを開ける。

なんとそこには説教をする医者と土下座をするパレルさんの姿が!!

俺に気づくと、パレルさんはすっくと立ち上がり平静を取り繕っているが顔が真っ赤だ。かわいい。

「お、目が覚めたかい?なかなかの重症だったから心配したよ。僕はアレン、この学園に勤める医師で 応生徒指導もやってるよ。よろしくね」

「俺は長野深雪といいます。こちらこそよろしくお願いします」

窓から外を見ると広大な森が視界に入ってきた。

「この辺は学校の領地だから基本うろちょろしてても大丈夫だよ」

すぐにアレンさんが解説を入れる。やっぱこの人はいい人だな。

「で、あんたはここの事をパレルからどれくらい教えてもらった?」

「能力を使って戦い己を高めるとしか聞いてませんね」

アレンさんはすばやく体の軸を回転させ、まだもじもじしているパレルさんの方に歩いていった。

「どういうことかな、パレルちゃん。彼、ほとんど知らないようだけど?」

パレルさんは言い訳しようとするがもう遅い。間もなくして正義の鉄槌が下される。

「はい、じゃあ深雪さんがここでの暮らしに慣れるまで付いて回って色々教えてあげること、それと設 備の説明も全部してあげること、いいね?」

「は、はいぃわかりましたぁ・・・・・・」

そのまま床にへたれこむパレルさん。どうやら天敵がアレンさんらしい。 

「さ、元気出して行きましょうパレルさん」

どうして私が元気付けてあげる立場に回ってしまったのか・・・・・・。

とりあえず手を差し伸べて立ち上がらせてあげる。

「あ、ありがとうございます!それでは一緒に校内探索といきましょー!」

立ち直るのはえーなおい。そして走るパレルさんに手を引かれて廊下をドタバタと駆けていく。


第2話に続く

 

 

 

 

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