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精霊王の加護を受けし者  作者: 柊馨
異常事態
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第十九話 精霊たちと異常について話し合う

遅くなりましたが更新です

『魔物の大量発生ね。こっちでも確認してるけど、原因はわからないわね』


 翌日、やっぱり森にいる精霊たちが心配だったので光太郎に一言、今日は一人で出かけてくると言いここに来た。


 光太郎は一人で大丈夫かと聞いてきたが、いざとなればシディアもいるし、危なければ必死で逃げるさ、と濁しつつ返事をしておいた。俺がいないということで光太郎も一人で魔物を狩ってくると言っていたが、こっちのほうが心配な気もする……


「俺はこの聖域に入ってくるまで一度も襲われなかったどころか、ウルフたちを見かけもしなかったよ」


 そう、ライラたちの話だと森でウルフたちに出くわしたという話だったが、俺は一匹も見つけることができなかった。気配そのものは感じるんだけど。


『そうなの? おかしいわね……この辺りにも結構な数がいたはずだけど』


『そうですね。ここには入ってこられないみたいですけど付近には結構な数がいます。でも主様にはできるだけ近づいてこないみたいなんですよね』


 俺が歩いていると一定距離を保ったままウルフたちは近づいてこないようだった。昨日のゴブリンたちは問答無用で襲ってきたし、ライラたちはウルフに襲われているし、どういうことなんだろうか。


『考えてもわからないわね。ただ一つ言えるのはあのウルフたちは普通の魔物ではないということは確実よ』


『そうなんですか? 僕にはわからないんですけど』


『数が変わらないのよ。一瞬だけ数を減らしてもすぐに元に戻る。あれはウルフの形をとった別の魔物の可能性が高いわね』


 なるほど、だからゴブリンも倒しても倒しても際限なく襲って来ていたということか。


「ということは倒すだけ無駄なのか?」


『わからないわね。そういう魔物(・・・・・・)だとすれば、倒せば倒すだけその力は減少していくはずだけど……』


「そういう魔物?」


 ってなんだ? 再生する魔物? だとすればその力には限界があるってことか?


『あぁ、マスターは知らないわよね。【影の魔物】 どうして現れるのかは全く不明なんだけど、倒すことがほぼ不可能の魔物って言われる魔物よ』


「影?」


『そう、影。この魔物は大した力はないけど、ほぼ死なないの。特性としては食べた相手に化けることができるということ』


『さらに食べれば食べるほど、力を少しずつ増していく魔物、ですね』


 ……それって危険すぎないか? 倒せずに力を増していく魔物って、そのうち人間も食われていくってことだよな?


「そんなもの放っておいたらやばすぎるよな?」


『いいえ、あれには弱点があるのよ』


「弱点?」


『えぇ。大きい魔力を食うと消滅するわ。でも魔力には引っ張られ、食いつく』


『それにその力は有限で、倒せば倒すほど減っていきます。まだ一定量を保っている以上、その力はかなりありそうですけど』


 ……弱点と言えば弱点なのかもしれないけど、魔力の少ない人にとっては危険すぎるよな? 


「ん? それだったら俺に近づかないのっておかしくないか? ここのウルフ限定なのかもしれないけど」


『そうなのよね。だからおかしいのよ。あなたの会ったゴブリンとここのウルフが違うものだとは思いづらいし』


「というかその理屈だと精霊は襲われないのか? 魔力大きいよな?」


 だとすれば俺は本気で放っておけなくなる。危険だとしても殲滅に移るぞ。


『その心配はないわね。私たち精霊は普段、実体がないの。マスターの様にこちらが認めた存在しか触れられないのよ。だから襲われることはないの。魔力に反応することはあっても食われることはないわ』


「ならいいんだけど……」


 精霊は襲われない。だとすると、俺も精霊の括りになってるのかもしれないな。神様は俺の一部は精霊だと言っていた。だから襲ってこない。近づいてこない理由はわからないけど……


 そのことを二人に告げてみると。


『……だからマスターの傍にいても不快感がないのね』


『というか主様、やっぱり人間じゃないってことですよね?』


「……そういえばそうだ」


 だから二人に人間じゃないと言われていたのか。いやいやいや待て。一部だ一部。大部分は人間のはず。


『どちらにせよマスターが襲われないっていうならいいじゃない。マスターには大きな魔力もあるし、上手くすれば影に食わせて消滅させられるかもしれないわよ』


『ゴブリンに主様が襲われたのは、コウタロウさんがいたからかもしれませんね。あの人も大きい魔力を持ってますし』


「って、それ光太郎が危険ってことじゃないのか!?」


『あの人なら大丈夫だと思いますよ。僕が見た、いろんな人間の人たちの中でもかなり強いほうでしたし』


『マスターとは別の渡り人だっけ? マスターもだけど、渡り人って規格外よね』


 いやだけど……たしかに光太郎は強かったけど、危険なことには変わりないよな。よし、今日は戻ろうか。


 そう思って聖域を出ようと思ったがエルに止められてしまった。


『マスター。今日はここで魔術の練習をしていきなさい』


「いやでも……」


『言ったでしょ? うまくすれば影を消滅させられるって。でもマスターは魔力の使い方がまだまだ下手。だから私とシディアがここで教えてあげるわ』


『主様、頑張りましょう!』


 結局その日はすぐには戻れず、夜遅くまで魔力を使い方の特訓をすることになってしまった。


 いざ街に帰ってみると遅くまで何をやっているんだと光太郎に怒られた。いくらなんでも危険だろうと。


 いや、俺は早く帰ろうとしたんだけどさ……宿に戻り、寝るときにシディアに謝られたけど、エルと楽しそうに俺に教えてたよな? おかげで結構使い方がわかってきたけど……感謝してるけど……次から抑えような。


 すごく疲れていたので、ベットに入るとすぐに眠りに落ちて行った。

やっぱり精霊たちを書いているときが一番楽しいですね。

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