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精霊王の加護を受けし者  作者: 柊馨
渡り人 リョク ヤクモ
12/25

第十話 精霊たちと遊びましょう

外伝を挟んでから読んだほうがいいかもです。

 女将さんから渡された日本語の手紙は、異世界からの……()からの手紙だった。


 まだ数日だけどお兄ちゃんがいなくなってから大変だったこと。自分はお兄ちゃんが生きてるって信じていたけど、他の人は誰一人として信じてくれなかったということ。


 信じられないのは当たり前だよ。むしろ茜がなんで俺が生きていると思ったのか、信じられたのかがわからない。


 この話を両親にも話したけど、やっぱりまだ信じてくれなかったこと。俺からの返事があったら信じてみる。そうは言ってくれたらしい。そうでなくても絶対に返事は書くけどな。


 返事を書いてもどうやって茜に渡すんだ、ということだが。最後にメモが入っていた。


『ワシじゃ。お気に召してもらえたかの? お主からの手紙についてはワシの孫がそっちの世界へ行くことがあるからの、会えた時にでも渡してくれ。全身黒づくめの怪しい格好をした奴じゃからすぐにわかると思う。ちなみに手紙のやり取りじゃが、多くても1ヶ月に一度が限度じゃ、それは大目にみてくれ。では達者で暮らせよ』


 とのことだった。神様もいいことをしてくれたな。よくよく考えれば幸せに、と言ったのだって無茶振りだろうし。この内容だったら、両親はまだわからないとしても茜は喜んでくれているだろう。手紙を読んでもそんな感じなのがわかる。


 読んでいて元気になったならちゃんと食べているかという内容には思わず苦笑してしまった。思えばぜんぜんまともに食事をとってなかった。なんでか食べなくても平気なせいか、ちょっと無頓着になっていたな。せっかく宿の料理は美味しいんだからちゃんと食べないとな。


 お金の使い方は、装備と食事とかでいいかな。自分で何かを買うってことをほとんどしたことがないから、いまいちわからないな。あとでライラにも相談してみようか。


 とりあえず手紙の返事はあとで書くとして、今日はまた森へ行かないとな。遊んであげないとあの子たちふて腐れちゃうし。


 聖域へと入る。うーん、こんなにすんなり入っちゃてもいいものなんだろうか。エルはいいって言ってたけど……でも精霊たちと遊ぶほうが重要かな。


 ――きたー――、――あそぶぞー――


『いらっしゃい。この子たち待ちくたびれていたわよ?』


「こんにちは、エル、みんな」


 エルたち精霊が出迎えてくれる。友達の家に遊びに来たような感じだなぁ。


 ――とつげきー――、――どーん――


「ちょっ、待て待てっ!?」


 なぜかいきなり突撃してくる精霊たち。ってか力強いぞ!? 思い切り倒されて背中を打つ。痛い……


『はーい、いいかしらマスター?』


「くぅっ。な、なんだエル?」


 なんとかこの子たちを退かそうとしてみるが、ぜんぜん動かない。精霊ってこんなに力が強いもんなのか?


『この子たちはあなたと遊ぶ、というよりも、今はあなたで・・・・遊ぶ。みたいな形になってるわ』


「なんで……そうなった……!」


『だって遊ぶにしたって、ゲームとかルールのあるものだとこの子たちには難しいもの。だからあなたにじゃれているのよ。悪い気はしないでしょう?』


 確かにそうだけど。小さい子に懐かれているような感じで悪い気はしないけど。


「数と……力を考えろ……!」


 この2点はだめだ。いや、数はまだいい。だけど力に差がありすぎてどうしようもないぞ。


『ふふっ。考えてるわよ? あなたがちゃんと魔力を使えるようになれば解決するもの。この子たちの力が今のあなたより強いのは魔力を使っているからだもの』


 ほーら簡単でしょう。こうエルは言うが……簡単に外へ出すやり方しかまだわからないのに、どうしろと!


 って痛い痛い! 髪をひっぱるな!


『痛がってないで集中しなさいよ。まずは集中。あなたの中の魔力を外に出さずに中で熱するイメージを持ちなさい』


 イメージイメージ……痛くてそれどころじゃないんだけど! くぅ……とりあえず力を籠めてみる!


 まわりの精霊たちが吹き飛んだ。


『マスターって本当に馬鹿なのね……外に出すんじゃないって、言ったのに』


「そう言われてもな……いやとにかく今のうち……って」


 吹き飛んだと思った矢先に戻ってきた。しかも楽しそうだ。もしかしてそういう遊びだと思ったのだろうか。とりあえずもう1回やっておく。うん、笑いながら吹き飛んでる。


『あれ、楽しいのかしら……』


 エルは小さく呟いているがよく聞こえない。いやとにかく集中だ。魔力を感じ取れ、熱せ、イメージしろ。


「お……? って熱いっ!?」


 なんとなくうまくいきそうな感じがしたと思ったら手が焼かれるかと思うほど熱かった。


『それ、ただの火属性の魔力の暴発よ』


 ちくしょう全然違うじゃないか! 逆に考えれば使えなかった火属性のきっかけを得られたと思えば……って今は違う! また集まってきてるし、あーもー!











 結局そこから3時間くらい吹き飛ばしたり、ちょっと燃えたり、そんな感じばかりだったが、なんとか使えるようにはなった。


「つ、疲れた……とりあえず、これが身体強化の術か」


 精霊たちは無意識に使えるとしても俺にとってはかなりの集中力が必要みたいで、まだ数分しか持続できないけど、今後使える魔術だと思う。


『簡単に風属性の魔力を出してみたりしたと思ったら、こんなに時間がかかるなんてね。才能があるんだかないんだか』


 ちなみにエル曰く、今回俺が使っている身体強化は火属性の魔術のようだとのこと。火属性が暴発しまくったのはこれが原因なのだろうか。


 さらにこんなに長時間魔力を暴発させまくっていたくせに、魔力が尽きないで動けるのは異常を通り過ぎて化けものじゃないのか、と言われた。それはひどくないか?


 とにかく、火属性を少し使えるようになったことだし、ということでエルに感謝しつつも今日は森をあとにした。


 楽しかったと言えば楽しかったけど、疲れたよ……

なんか今回はとっても短くなってしまいました……

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