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精霊王の加護を受けし者  作者: 柊馨
渡り人 リョク ヤクモ
1/25

プロローグ

数年ぶりに小説を書くため、もはや処女作と言っても過言でありません。

なので、いろいろと残念になること請け合いです。

 俺は昔から体が弱かった。


 生まれた頃は元気で手のかかる子供だったと母さんは言っていたし、小学校低学年の頃も元気に走り回っていた記憶もある。勉強もそこそこに、そこらじゅうを走り回っていた気がする。


 だけど、小学4年生の途中の頃からよく体調を崩すようになった。小学校を卒業する前くらいから一週間に1日は休むようになっていた。卒業式には出れたけど途中で倒れ救急車で運ばれた。中学校の入学式には入院していて出られなかった。中学校には1ヶ月に数日くらいしか登校できなかったけど、何とか入院中も課題をこなして卒業した。高校には行けずに入院生活になった。


 19歳になった。もはやこの病室が自分の部屋のようだ。それはそうだろう、もう2年以上家には帰っていないし、病室から出るのも自分では歩くことはできないから車椅子での散歩のみ。


 最近ではこの退屈な生活にも慣れてきた。両親は毎日仕事が終わると様子を見に来てくれるし、2つ下の妹も結構な頻度で来てくれる。


 家族と話すのは楽しい。俺は相槌を返すばかりでほとんど喋ることができていないが、今日は取引先でこんなことがあった。隣の家の息子さんが大学に合格した。学校で友達かこんな馬鹿なことをしていた。いろいろなことを毎日のように話してくれる。


 でもだんだんそういった話を聞く機会も減ってきている。眠っている時間が増えてきているんだ。家族を心配させたくないから、来る時間帯にはおきていようとはするけども、身体はいうことを聞いてくれず、眠ってばかりの日々が続く。


 眠っているときはたいてい同じような夢を見る。俺が森の深くの小さな家で子供たちと遊ぶ夢。そこでの俺は現実での身体が嘘のように元気に過ごしていた。


 いっそこの夢が現実ならいいのにと思ったこともある。でもこの話をした時の妹の悲しそうな顔を見て、夢は夢だと思うことにした。


 そうしないと、もう、起きることができなくなりそうだったから……











「お兄ちゃん。今日は身体のほうは大丈夫?」


 今日は珍しく起きていた俺に()が問いかけてくる。


「……今日は体調がいいよ。だから、散歩に行きたい、かな」


 小さい声で俺はそう答えた。


「ほんとっ! じゃあ車椅子持ってくるね!」


 笑顔で立ち上がり、病室から出ていく茜。つい、俺も笑う。


 体調がいい。嘘だった。もう限界が近いと、何となく感じていた。でもそれを知られたくなかった。笑っていてほしかった。だからこんな嘘をついた。


 茜が戻ってきて俺を車椅子に乗せてくれる。そしてゆっくりと外に向かう。


 久しぶりの外はとても晴れていた。もう夕方だから少し薄暗いが、心地よく感じた。


「お兄ちゃんと散歩するのも久しぶりだねっ」


「……そうだな」


 茜はいつものように、いやいつもより楽しそうにいろいろと話してくれる。俺は聞いているつもりだが、ほとんど耳に入っていない。とても眠い。


「お兄ちゃん? 大丈夫? 眠いなら戻ろうか?」


 30分くらい経ってからだろうか、眠そうにしている俺にそう問いかけてくる。俺は声を出すのも億劫で小さく頷いた。


「お兄ちゃん。部屋についたよ?」


 いつの間にか眠っていたらしく、茜に起こされる。もうベットに寝かされていた。


 今日はもう寝るだけ。もう何回繰り返したかわからない日常。


 だが、今日は違う。


「……茜」


 片づけを済ませて部屋から出ようとしている茜に声をかける。


「なーにー?」


 小さい声だったが聞こえていたようで、返事を返してくれる茜に一言告げる。


「今日まで、ありがとな……」


「え? お兄ちゃん……?」


 聞こえただろうか。それを確認する前に俺は夢に落ちる。もう限界だった俺には一言声を出すだけが精一杯だった。


 最後に外に出られて楽しかった。最後に茜と話せて嬉しかった。笑顔が見れたよかった。両親と話せなかったことは残念だけど、仕方ない、よな。


「――!?――――――――!!」


 夢に落ちる瞬間、茜の泣き叫ぶ声が聞こえた気がした。

プロローグなので、とても短め。

今後はある程度の分量になるようにしたいです。

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