プロローグ
前章では魔力を物に定着させる方法について陳べてきたが、この章ではその応用について語ろうと思う。応用は大まかに三つの分野に分ける事が出来る。
まず第一に、もともと魔力を持った物に、新たな魔力を定着させる方法。これはたいていの場合、魔術器を造りだすのを目的としている。材料がもともと魔力を帯びているため、三つの応用の中では比較的手間のかからない応用ではある。
そして第二は魔力を持たない物に、魔力を定着させる方法。日用品から、儀式の魔術具などその用途は幅広い。その幅広さから一般的に『魔術』と認識されているもの、と言っても過言ではないだろう。魔術師本人の魔力に関係してくるため、『簡単』『難しい』などと一言に言えないところが、この応用の奥深さを表しているかもしれない。
そして第三は武器への応用。この方法は第一、第二の応用を含んでいるので、きわめて難易度が高い。魔術的な問題だけではなく、技術的な問題もあるため、一番手間も時間もかかる応用だといわれている。簡単に言ってしまえば、良い魔術師だけでは良い魔術武器は出来ず、かと言って、良い武器だけあっても魔術師の力が同等でなくては、良い魔術武器は出来ない。力のある魔術師、そして腕のある鍛冶屋の両者がいて、ようやく魔術武器ができるのだ。
~ロリー魔術書 258ページ~