第7話 騎士団長エドワルドは、兄オズワルドより背が少し高い。
よく晴れた日だった。
執務室の窓から、風といっしょにピンク色の花びらが舞い込んだ。
「さて、アリストラくん。今日から君は、王子殿下の護衛だ。気品を持ってくれよ。」
二人の視線は、私でも、王子でもない。その隣の、我が兄に注がれていた。
アリストラとリリアーナは目をこする。
「補佐官の、オズワルド-ヴィンステッドです。」
「「双子だ。」」
二人の目は好奇心で爛々と輝くが、オズワルドはムスッとしている。兄は気難しい性格だ。それ故に、この子たちを厳しく育ててくれるだろう。
「君たちの主人には、王宮の仕事だろうと問題ないように育てたと聞いていたのだけど。」
二人はブンブンと首を横に振った。知ったかぶりをしないのはいいことだ。それは、若さの特権だろうか。
「マナーや礼儀を学ぶ必要があるけれど、王子殿下と、私の兄についていれは、自然と身につくはずだから。」
オズワルドは眉間に皺を寄せたまま、ゆっくりと頷いた。
「お嬢さんは、別行動だよ。その剣は、アリストラくんのものか?」
魔法使いは、腰に二本の剣を刺していた。どちらも、リリアーナのものだろう。
重いから、持たせているのだか、持ってやっているのだか分からないが。
「リリアーナ嬢は私が思うに、騎士としては体力がないように思う。」
(剣士の方はすぐへばるし、魔法使いは軽率過ぎるし。)
自然と口元が綻んだ。鍛えがいがありそうだ。
「これまでは、二人で補い合って過ごしてきたようだけど、ずっとそういうわけにはいかないからね。」
二人は顔を見合わせた。自覚がないのだろう。
「私は第一騎士団に戻るけど、お嬢さんにもついてきてもらうよ。」
リリアーナは再び、ブンブンと首を横に振る。美しい銀髪が広がった。
「二か月だったら交代。早く一人前になってもらわないとね。」
その言葉は地雷だったようだ。二人は露骨に落ち込み、項垂れた。
抜け殻のようになったリリアーナの首根っこを掴み、引きずりながらドアを開けた。後ろで、若者たちの声がする。
「アリストラ、よろしくね。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
若い魔法使いは、気がついただろうか。
王子様は、心を閉ざしているようには見えなかっただろう。




