表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンを斬った女の初恋  作者: 9iyus
第四章 青春と剣
44/46

第10話 ドラゴンを斬った思い出

***


 三十三人のドラゴン討伐隊は、三手に分かれて山を彷徨っていた。山に入って、もう一ヶ月ほどになる。


「この山には、二体のドラゴンが住んでいるはずなのですが。」


 アリストラはため息を吐きながら言った。仲の良くなった友人たちとの散策は楽しいが、この旅の案内人としての責任を感じているのだろう。


 みんな、そろそろ木の根を枕にした野宿には嫌気がさし、ベッドが恋しくなっていた。


「そのドラゴンは、重力を操るんだろう。不思議だなあ。」


 リーバンスは、ブンブンと木の枝を振り回しながら言った。小柄ながら、この四人の子供たちの中で最も体力があった。干し肉を頬張りながら、先頭を歩く。


「リリー、そろそろ起きろよ。」


 子供の魔法使いは、せめて自分たちのせいで迷惑はかけまいと、声をかける。


「疲れているのだろう。寝かせてやればいい。」


 馬に乗ったカイン王子が、後ろから返事をする。リリアーナは、その背中にもたれてのんきに眠っていた。


 第二騎士団の騎士たちは、子供たちの後ろを、見守りながらゆっくりとついていく。


「ですが、カイン様。翼が風を切る音がしたのです。」


 アリストラは、耳が良い。しかし、この翼の音はこの一ヶ月で何度も聞いたものだった。


「アリス、王子様、あそこの丘の上まで競争しよう。」


「リーバンス、僕の話を聞いていたか。」


 やんちゃな二人は、走り出す。カインは、リリアーナを起こさないようそのまま静かに後を追う。


「——ドラゴンだ。」


 全員が丘に追いついた、その時だ。先にいたアリストラとリーバンスは、突然現れたドラゴンを、ポカンと見上げていた。


 バサバサと上空から現れたドラゴンは、大きな翼を仰ぎ、子供二人を軽々と吹き飛ばした。


 リリアーナはいつの間に起きていたのか、カインを引っ張り、素早く木の上に登った。


 騎士たちは、ドラゴンの前に出る。手前にいた二人は、ドラゴンの尻尾で吹っ飛ばされた。


「アリス、目を貫け。」


 リリアーナは、叫んだ。しかし、弓の名手の返事はない。


 見習い魔法使いと、見習い騎士は、木に叩きつけられて伸びていた。


 そうこうしているうちに、ドラゴンはドンと片足を踏み出した。その周りに大きな魔法陣が現れる。


「構えろ。」


 騎士の誰かが声を張り上げた。


 避けるには、その魔法陣は大きすぎた。騎士たちは剣を地面に突き刺した。


 山に入った猟師からの話だった。巻き込まれると、視界が反転し空に吸い込まれる。重量が反転するのだそうだ。


 騎士たちは、地面にしがみつく——


***


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ