第一話 その死因、軽すぎません?
「うわぁぁぁぁああ!」
僕は階段から転げ落ちた。
……ドンッ!
痛ぇ……頭がゴンってなって……世界がグルンって回って……。
「え、これもしかして……死んだ?」
――そう、僕の死因は「打撲」。
交通事故でも心臓発作でもなく、ただの打撲。
これぞまさに……「だぼくで死んだ僕」。
……うん、自分で言ってて寒い。
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気づけば真っ白な空間に、妙にハイテンションな女神が立っていた。
「おめでとうございます! あなたは打撲で死にました!」
「祝うな!」
「でも安心してください。あなたは異世界に転生します!」
「その前にもうちょっと死因に同情してくれない?」
女神はニコニコと笑って言った。
「転生特典は、**『ダジャレを言うと現実になる能力』**です!」
「えっ、そんな中途半端なチート!?」
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そして異世界。
オークに囲まれた僕は叫んだ。
「え、やばい、食われる! ……あっ、そうだ! “オークだけに、オークション形式で勝負だ!”」
すると突然、競り人が現れた。
「オークの肉、一頭丸ごと! スタートは銀貨三枚からァ!!」
オークたちは「ブホォ!?」と混乱し、そのまま自分たちを競り落とし始めた。
「……マジで現実になるのかよ」
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さらに旅の途中でスライムに遭遇。
「スライムって……吸うライム? 爽やかドリンク?」
すると本当に巨大ライムジュースが現れ、スライムがジュルルルと吸い込まれて消滅した。
「おぉぉ……俺のダジャレ、最強じゃね!?」
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女神の声が空から響く。
「あなたは“ダジャレ神”として、この世界を救うのです!」
「待って、世界救うのに語呂合わせって……めっちゃ軽いんですけど!」
最後まで読んでいただき誠に有難うございます。第二話、第三話も楽しみにお待ちください。