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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第1章 邪神
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邪気の解放

昭公しょうこう…………国の第二十五代君主。三公により魯国を追放される。

季平きへい…………魯国の司徒しと。三公のひとり。三桓氏さんかんしと呼ばれる。

叔孫豹じょそんひょう…………魯国の司馬しば。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

孟献もうけん…………魯国の司空しくう。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

王子喬おうしきょう…………冥界より派遣された方士。


かん…………狸に似た隻眼せきがんあやかし。

「どこからどう見てもそうでしょ」

 王子喬おうしきょうは、その声に平然と応じた。

「人……ではないな。冥界の者か?」

「まあね」

何故なにゆえわしを解き放つ?」

「気紛れかな。僕が付け狙っていることを悟られるのは得策じゃないからね」

「……介象かいしょうか?」

「御名答。何か僕に手伝えることは?」

「余計な真似をしないことだ。それにしても、以前にも増して人が増えたようだな。減らしても減らしても、ごみのようにまた湧くと見える」

 暗闇の中で、王子喬は薄ら笑って続けた。

「相変わらず愚かな生き物だよ」

「それでこそ我が民に相応しい」

「障害は、天より遣われし方士ほうしだね」

「次こそ儂が天に返す」

「余計な真似はしないけど、教えておいてあげるよ」

「…………?」

 王子喬は、嬉嬉ききとして告げた。

「今は、二代介象になっているよ」

「……初代はどうした?」

「一緒にいるよ」

 闇からの声が含み笑うと、王子喬に返した。

たのしみが倍になった」

 すると――。

 おぞましいほどの邪気とみなぎるほどの覇気が、たちまちのうちに消え失せた。

 王子喬は、かんが立っていたはずのところから手探りで布切れの端を拾い上げると、再び息を吹き掛けた。

 讙による灯りが戻った。

 それにより、もう一体の讙がいたはずのところから造作もなく布切れを探し当てると、また息を吹き掛けた。


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